【基本】2点を通る直線のベクトル方程式
ここでは、2点を通る直線のベクトル方程式を見ていきます。
2点を通る直線のベクトル方程式
【基本】直線のベクトル方程式で見たように、ある直線が点 $\mathrm{ A }(\vec{a})$ を通り、 $\vec{0}$ でない $\vec{d}$ に平行だとすると、この直線上の点 P の位置ベクトル $\vec{p}$ は、媒介変数 t を用いて、\[ \vec{p}=\vec{a}+t\vec{d} \]と書けるのでした。
しかし、直線の傾きが分かっていることよりも、通る2点が分かっていることの方が多いです。例えば、三角形 ABC があって、 AB 上の点について考えたい、というような場合ですね。このように、直線が通る2点からベクトル方程式を表す方法を考えてみましょう。
異なる2点 $\mathrm{ A }(\vec{a})$, $\mathrm{ B }(\vec{b})$ に対し、直線 AB 上の点 P の位置ベクトル $\vec{p}$ について考えてみましょう。
ただ、これは難しいところはありません。上で見たベクトル方程式と関連付けて考えるなら、 $\vec{d}$ にあたる部分を $\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }$ にするだけですね。単に $\overrightarrow{ \mathrm{ OP } }=\overrightarrow{ \mathrm{ OA } }+t\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }$ と考えてもいいです。 $\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }=\vec{b}-\vec{a}$ と書けるので、
\begin{eqnarray}
\vec{p} &=& \vec{a}+t(\vec{b}-\vec{a}) \\[5pt]
&=& (1-t)\vec{a}+t\vec{b} \\[5pt]
\end{eqnarray}と表すことができます。これが直線 AB のベクトル方程式です。
この式の係数をよく見ると、和が $1$ になっていることがわかります。このことを分かりやすくするため、まったく同じことですが、次のように書くこともあります。\[ \vec{p}=s\vec{a}+t\vec{b} \quad (s+t=1) \]文字が増えてめんどくさくなるだけじゃないか、と思うかもしれませんが、それだけ「係数の和が $1$ 」ということが重要ということです。この s, t を使った表現の方が、使われることが多いです。
tの値と直線のベクトル方程式
【基本】直線のベクトル方程式でも見ましたが、ここでも、係数の値によって、表される点の位置がどう変わるかを見てみましょう。
$\vec{p}=(1-t)\vec{a}+t\vec{b}$ で考えると、 $t=0$ のときは $\vec{a}$ 、 $t=1$ のときは $\vec{b}$ なので、それぞれ、点 A, 点 B に対応することがわかります。
また、この式はもともと $\vec{p}=\vec{a}+t\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }$ であったことを思い出せば、 $t\lt 0$ のときは、線分 AB を A 側に延長した直線上に点 P があることがわかります。また、 $t\gt 1$ のときは、 B 側に延長した直線上にあります。また、 $0\leqq t \leqq 1$ のときは、線分 AB 上にあることもわかります。
おわりに
ここでは、2点を通る直線のベクトル方程式を見ました。傾きの表示が違っているだけで、本質的には「通る1点と傾き」が与えられている場合と同じでしたね。
係数によって、直線のどの部分を表すかが変わります。どのように変わるかもおさえておきましょう。