【基本】文字を使った式で表そう(整数を表す場合)
ここでは、いろいろな整数を、文字を使って表す方法について見ていきます。
文字が整数や自然数を表しているとき
今まで、いろいろな数量を、文字を使った式で表してきました(参考:【基本】文字を使った式で表そう(単位が異なる場合))。その多くは、文字は小数を含めた、いろいろな数を代表していました。
一方、状況によっては、文字を使って、自然数や整数だけを表したいときもあります。【基本】文字を使った式で表そうでは、正方形の数を $x$ 個と置きましたが、この $x$ は自然数だけを表したいですね。
こういう場合は、話のはじめや問題文のはじめに、「 $x$ が整数のとき」とか「 $x$ は自然数とする」と断りが入っているのが普通です。
このページでは、文字が整数や自然数を表しているときに、いろいろな整数や自然数を文字を使った式で表してみます。
偶数や奇数を表そう
$n$ を整数とします。このとき、 $2n$ がどんな数を表しているか、考えてみましょう。
$n$ が整数ということは、 $1,2,3$ とか $0$ とか $-1,-2,-3$ といった数を表している、ということです。これらを代入すると、 $2n$ の値は次のようになります。
$n$ | $2n$ |
---|---|
-3 | -6 |
-2 | -4 |
-1 | -2 |
0 | 0 |
1 | 2 |
2 | 4 |
3 | 6 |
このことからもわかる通り、 $2n$ は偶数を表しています。偶数というのは、2で割り切れる整数のことです(負の数も含みます)。 $2n$ は「 $2$ と、ある整数との積」を表していることから、 $2n$ が偶数を表していることがわかるでしょう。
では、 $2n+1$ はどんな数を表しているでしょうか。上の表の右側の数字にそれぞれ $1$ を足してみればわかる通り、奇数を表しています。奇数とは、2で割って1余る整数(負の数も含みます)のことです。偶数に $1$ を足したものなので、奇数になることがわかるでしょう。
同じように考えれば、例えば、3の倍数や、5で割って2余る整数も、文字を使った式で表すことができます。 $n$ を整数とすると、3の倍数は、 $3n$ と表すことができ、5で割って2余る整数は $5n+2$ と表すことができます。
2桁の自然数を表そう
自然数を表すときに、「2桁の自然数」というように、桁数を指定して表したい場合があります。こういう場合の表し方も見ていきましょう。
$a$ を1から9までの整数、 $b$ を0から9までの整数を表すとします。このとき、「十の位が $a$ で、一の位が $b$ の自然数」はどのような式で表されるでしょうか。
具体的な数で考えると、十の位が3で一の位が5の自然数というのは、35と書きます。この流れで、「十の位が $a$ で、一の位が $b$ の自然数なら、 $ab$ と書くのかな?」と思ってしまいがちですが、こうではありません。文字の場合、続けて書くと積を表してしまいます。 $a=3$, $b=5$ の場合、 $ab$ は $3\times 5=15$ のことであり、35にはなりません。十の位と一の位を掛けてもダメなので、この式の表し方は正しくありません。
ではどうするかというと、さきほどの「35」を使って説明すると、これを2つのパートに分解します。35は、30と5の和ですね。このように、各桁の情報を分解して足したものだ、と考えてみると、式がうまく作れます。
「十の位が $a$ で、一の位が $b$ の自然数」なら、何と何を足せばいいでしょうか。十の位が $a$ ということは、 $a$ を10倍したものを足す、ということですね。一の位が $b$ ということは、 $b$ をそのまま足すということです。こうして、\[ 10a+b \]と表されることがわかります。これに、 $a=3$, $b=5$ を代入すると、たしかに35になることがわかるでしょう。
2桁の自然数を表す場合は、各桁の情報を分解して足す、という式になります。
例題
(1) $n$ を整数とします。このとき、 $3n+1$ はどのような数を表していますか。
(2) 十の位が $5$ で一の位が $a$ の2桁の自然数があります。この自然数を $a$ を使った式で表しましょう。ただし、 $a$ は $0$ から $9$ までの整数とします。
(1)の $3n+1$ は、整数を3倍して1足したものです。3の倍数に1を足したものなので、「3で割ると1余る整数」を表していることがわかります。
(2)で十の位が $5$ で一の位が $a$ である2桁の自然数は、 $50$ と $a$ とに分解できることから、この2つを合わせた $50+a$ という式で表すことができます。これが答えです。
$53$ と同じように考えて $5a$ としてはいけないことに注意しましょう。 $5a$ だと $5$ と $a$ との積を表してしまうことになり、求めたいものとは違ったものになってしまいます。
おわりに
ここでは、整数や自然数を、文字を使った式で表す方法を見てきました。将来、ここで見た内容を使って、いろいろな整数の性質を調べることができるようになります。特に、2桁の数を表す方法は間違いやすいので注意しましょう。また、文字を使って表すことで、どんなメリットがあるかが気になる人は、【標準】文字で整数を表して何がうれしいんだろう?を見てみましょう。