【基本】和の公式(1からnまでの和)
ここでは、1から n までの自然数の和について見ていきます。とてもよく出てくる公式が登場します。
自然数の和
一般項が $a_n=n$ となる数列 $\{a_n\}$ を考えてみましょう。これは、 $1$ から順番に数字が並んでいる数列です。差が一定なので、この数列は等差数列になります。
この数列の、初項から第 n 項までの和を求めてみましょう。【基本】等差数列の和の内容を使って求めることができますが、ここではもう一度算出方法を振り返りながら求めることにします。
まず、そのまま足した式を書いてみます。\[ 1+2+3+\cdots+n \]これに対して、足す順番を入れ替えたものも併せて考えればいいのでしたね。入れ替えると、\[ n+(n-1)+(n-2)+\cdots+1 \]となります。これを上下に足すことを考えましょう。そうすると、 i 項目では、 $i$ と $n-i+1$ を足すことになり、和は $n+1$ となります。これが n 個出てきます。必要なものは、足す順番を入れ替える前のものだけなので、結果は\[ \frac{1}{2}n(n+1) \]となります。
\[ 1+2+3+\cdots+n=\frac{1}{2}n(n+1) \]
例えば、1から100までの和であれば、\[ \frac{1}{2} \times 100 \times (100+1)=5050 \]と求められます。直接足すよりも簡単に求められます。
等差数列の和だと思って出すこともできます。初項が $1$ で、末項が $n$ で、項数が $n$ なのだから、【基本】等差数列の和で見た通り\[ \frac{1}{2}n(n+1) \]と求めることができます。
この公式は、今後いろんな場面で出てくるので、覚えておきましょう。
奇数の和
上の話に関連して、奇数の和も求めることができます。きれいな式になるので、少し見てみましょう。
$1$ から $2n$ までの自然数をすべて足すと、先ほど求めたことから、\[ \frac{1}{2}\times 2n(2n+1)=2n^2+n \]となります。この $2n$ 個の自然数の中には、 $2,4,6,\cdots, 2n$ という n 個の偶数と、 $1,3,5,\cdots, (2n-1)$ という n 個の奇数が含まれています。
$2,4,6,\cdots, 2n$ の和は、 $1$ から $n$ までの和を2倍したものなので\[ 2\times \frac{1}{2}n(n+1)=n^2+n \]となります。よって奇数の和は、自然数の和から偶数の和を引いて\[ (2n^2+n)-(n^2+n)=n^2 \]となります。
\[ 1+3+5+\cdots+(2n-1)=n^2 \]
きれいな式になりますね。実際いくつか計算してみると
\begin{eqnarray}
1+3 &=& 4 = 2^2 \\[5pt]
1+3+5 &=& 9 = 3^2 \\[5pt]
1+3+5+7 &=& 16 = 4^2 \\[5pt]
\end{eqnarray}となり、確かに、 $n^2$ となっています。
この式も、等差数列の和だと思って導くことができます。初項が $1$ で、末項が $2n-1$ で、項数が $n$ なので、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{2}n\{1+(2n-1)\} = n^2
\end{eqnarray}となります。確かに、あってますね。
自然数の和と比べると使う場面はやや少ないですが、結果がきれいなので、覚えておくといいでしょう。また、等差数列の和の公式から導けるようになっておくと、なおいいです。
おわりに
ここでは、自然数の和、奇数の和についてみてきました。特に、自然数の和は今後もよく出てくるので、覚えておきましょう。
これらの和の式は、図形的に考えるとおもしろい性質がわかります。その話は、【発展】和の公式(1からnまでの和)と四角形で見ることにしましょう。