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【基本】和の公式(1からnまでの和)

ここでは、1から n までの自然数の和について見ていきます。とてもよく出てくる公式が登場します。

📘 目次

1から100までの和

ガウスという天才数学者に関して、次のようなエピソードが残っています。算数の先生が黒板に\[ 1+2+3+\cdots+100 \]と書き、生徒たちに「1から100までの和」を計算するように言ったんですね。答えを出すのにしばらく時間がかかるだろう、と先生は予想していたのですが、当時7歳だったガウスは、「5050」とすぐに答えて、先生を驚かしたそうです。

このとき、ガウスは次のように考えていました。最初の1と最後の100をペアにすると、和は101。2と99をペアにすると、これも和は101。同じように、前からと後ろからの数をペアにすると、101がどんどんできます。このペアが50組作れるので、\[ 101 \times 50=5050 \]と計算していました。

ノーヒントでこれを思いつくのは、なかなか難しいですね。今ではこの考え方は、この高校数学の数列で学ぶ内容となっています。

先ほどのようにペアを作るやり方では、個数が奇数の場合に困ってしまいます。そこで、次のようにしてみます。
\begin{eqnarray} 1 & +2 & +3 & +\cdots & +97 & +99 &+100 \\ 100 & +99 & +98 & +\cdots & +3 & +2 &+1 \\ \end{eqnarray}1行目にはそのままの式、2行目には足す順番を反対にした式です。これを上下に足せば、 101 が 100個できあがります。1行目と2行目は同じ和なので、半分にして\[ 101 \times 100 \div 2 =5050 \]で計算できますね。

自然数の和

先ほどの内容を踏まえて、今度は、 $1$ から $n$ までの自然数の和を求めてみましょう。

まず、そのまま足した式を書いてみます。\[ 1+2+3+\cdots+n \]これに対して、足す順番を入れ替えたものも併せて考えればいいのでしたね。入れ替えると、\[ n+(n-1)+(n-2)+\cdots+1 \]となります。これを上下に足すことを考えましょう。そうすると、 i 項目では、 $i$ と $n-i+1$ を足すことになり、和は $n+1$ となります。これが n 個出てきます。必要なものは、足す順番を入れ替える前のものだけなので、半分にしたものが答えです。つまり、$1$ から $n$ までの自然数の和は\[ \frac{1}{2}n(n+1) \]となります。

自然数の和
1からn までの自然数の和は、次のように求められる。
\[ 1+2+3+\cdots+n=\frac{1}{2}n(n+1) \]

等差数列の和だと思って出すこともできます。初項が $1$ で、末項が $n$ で、項数が $n$ なのだから、【基本】等差数列の和で見た通り\[ \frac{1}{2}n(n+1) \]と求めることができます。

この公式は、今後いろんな場面で出てくるので、覚えておきましょう。

なお、この公式を図形的に考えることもできます。【発展】和の公式(1からnまでの和)と四角形#nまでの和と長方形を参照してください。

奇数の和

上の話に関連して、奇数の和も求めることができます。きれいな式になるので、少し見てみましょう。

$1$ から $2n$ までの自然数をすべて足すと、先ほど求めたことから、\[ \frac{1}{2}\times 2n(2n+1)=2n^2+n \]となります。この $2n$ 個の自然数の中には、 $2,4,6,\cdots, 2n$ という n 個の偶数と、 $1,3,5,\cdots, (2n-1)$ という n 個の奇数が含まれています。

$2,4,6,\cdots, 2n$ の和は、 $1$ から $n$ までの和を2倍したものなので\[ 2\times \frac{1}{2}n(n+1)=n^2+n \]となります。よって奇数の和は、自然数の和から偶数の和を引いて\[ (2n^2+n)-(n^2+n)=n^2 \]となります。

奇数の和
$1$ から $(2n-1)$ までの奇数の和は、次のように求められる。
\[ 1+3+5+\cdots+(2n-1)=n^2 \]

きれいな式になりますね。実際いくつか計算してみると
\begin{eqnarray} 1+3 &=& 4 = 2^2 \\[5pt] 1+3+5 &=& 9 = 3^2 \\[5pt] 1+3+5+7 &=& 16 = 4^2 \\[5pt] \end{eqnarray}となり、確かに、 $n^2$ となっています。

この式も、等差数列の和だと思って導くことができます。初項が $1$ で、末項が $2n-1$ で、項数が $n$ なので、
\begin{eqnarray} \frac{1}{2}n\{1+(2n-1)\} = n^2 \end{eqnarray}となります。確かに、あってますね。

自然数の和と比べると使う場面はやや少ないですが、結果がきれいなので、覚えておくといいでしょう。また、等差数列の和の公式から導けるようになっておくと、なおいいです。

なお、この奇数の和も、図形的に考えることができます。nまでの和と長方形 from 【発展】和の公式(1からnまでの和)と四角形#奇数の和と正方形を参照してください。

おわりに

ここでは、自然数の和、奇数の和についてみてきました。特に、自然数の和は今後もよく出てくるので、覚えておきましょう。

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