【基本】和の公式(3乗の和)
ここでは、 $1^3$ から $n^3$ までの3乗の和を求める公式について見ていきます。
3乗の和の公式
ここでは、次の和について考えていきます。\[ 1^3+2^3+3^3+\cdots +n^3 \]この和を n を使った式でかくことを考えます。
発想としては、2乗の和のときと同じです(参考:【基本】和の公式(2乗の和))。少し式が複雑になりますが、同じように計算していきましょう。
まず、次の式について考えます。\[ (k+1)^4-k^4 \]唐突な感じがしますが、2乗の和で考えたときと同様、この式を複数使うことで3乗の和が求められるようになります。
展開した結果は、こうなります。\[ (k+1)^4-k^4=4k^3 +6k^2 +4k +1 \]この式で、 $k=1,2,3,\cdots$ としていくと、次のようになります。
\begin{eqnarray} 2^4 -1^4 &=& 4\cdot 1^3 & +6\cdot 1^2 &+ 4\cdot 1 +1 \\[5pt] 3^4 -2^4 &=& 4\cdot 2^3 & +6\cdot 2^2 &+ 4\cdot 2 +1 \\[5pt] 4^4 -3^4 &=& 4\cdot 3^3 & +6\cdot 3^2 &+ 4\cdot 3 +1 \\[5pt] \end{eqnarray}こうして、左辺同士、右辺同士を足すことを考えましょう。すると、左辺は、 $2^4,3^4$ などが打ち消し合い、最後の式の1項目と最初の式の $-1^4$ だけが残ります。右辺は縦に足しましょう。1項目の和は3乗の和、2項目からは2乗の和、3項目からは1乗の和、4項目からは定数の和が出てきます。1項目の部分が求めたいものですね。そして、2項目以降は、すでに和の公式があります。以上から、3乗の和を導くことができます。
$k=n$ とすると、次のようになります。\[ (n+1)^4 -n^4 = 4\cdot n^3 +6\cdot n^2 + 4\cdot n +1 \]よって、 n 個の式を足し、さらに
\begin{eqnarray}
1+2+3+\cdots+n &=& \frac{1}{2} n(n+1) \\[5pt]
1^2+2^2+3^2+\cdots+n^2 &=& \frac{1}{6} n(n+1)(2n+1) \\[5pt]
\end{eqnarray}となることも使えば、3乗の和を $S$ とおくと
\begin{eqnarray}
(n+1)^4-1 &=& 4S +6\cdot\frac{1}{6} n(n+1)(2n+1) +4\cdot \frac{1}{2} n(n+1) +n
\end{eqnarray}となることがわかります。これを計算していきましょう。
\begin{eqnarray}
(n+1)^4-1 &=& 4S +n(n+1)(2n+1) +2n(n+1) +n \\[5pt]
4S &=& (n+1)^4-1 -n(n+1)(2n+1) -2n(n+1) -n \\[5pt]
&=& (n+1)^4 -n(n+1)(2n+1) -2n(n+1) -(n+1) \\[5pt]
&=& (n+1)\{ (n+1)^3 -n(2n+1) -2n-1 \} \\[5pt]
&=& (n+1)\{ (n+1)^3 -n(2n+1) -(2n+1) \} \\[5pt]
&=& (n+1)\{ (n+1)^3 -(n+1)(2n+1) \} \\[5pt]
&=& (n+1)^2\{ (n+1)^2 -(2n+1) \} \\[5pt]
&=& (n+1)^2\{ n^2+2n+1 -(2n+1) \} \\[5pt]
&=& n^2(n+1)^2 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。よって、\[ S=\frac{1}{4}n^2(n+1)^2 =\left\{\frac{1}{2}n(n+1)\right\}^2 \]と表すことができます。
3乗の和は、1乗の和・2乗の和に比べると出番は少ないです。ただ、式をよく見ると「1乗の和を2乗したもの」となっており、覚えやすい形をしていますね。
おわりに
ここでは、3乗の和の公式を見てきました。導く方法は2乗の和のときと同じですが、計算が少し煩雑ですね。ただ、結果は覚えやすいですので、頭に入れておきましょう。