【基本】和の記号Σ
ここでは、和の記号を表す $\sum$ について見ていきます。
和の記号Σ
【基本】等差数列の和や【基本】等比数列の和、【基本】和の公式(1からnまでの和)などで、数列の和について見てきました。
こうした数列の和を式で書く場合、項数が少ない時には全部書けますが、項数が多いときや具体的に決まってないときには、すべてを書くことはできません。そのため、次のように「…」を使った表記になってしまいます。\[ a_1+a_2+a_3+\cdots +a_n \]これでも大きな問題が出ないこともありますが、「…」の部分にあいまいさは残ります。
数学の世界では、こうしたあいまいさを排除するため、 $\sum$ という記号を用いて、和を表します。具体的には、下の式で、左辺を右辺の意味で定義します。\[ \sum_{k=1}^n a_k = a_1+a_2+a_3+\cdots +a_n \]$\Sigma$ の下にある $k=1$ の部分が「 $\sum$ の後の式を、 $k=1$ とした場合から足し合わせる」ということを表していて、 $\sum$ の上にある $n$ の部分が、「 $\sum$ の後の式を、 $k=n$ とした場合まで足し合わせる」ことを表しています。なお、 k は1つずつ増やしていきます。
$\sum$ は「シグマ」と呼びます。ギリシャ文字の1つです(参考:ギリシャ文字一覧)。
Σを使った具体例
$\sum$ の記号について、もう少し見ていきましょう。今までにないタイプの数学の記号ですからね。
例えば、 $\displaystyle \sum_{k=p}^q a_k$ というのは、何を表すか考えてみましょう。下の部分を見ると $k=p$ となっています。これは k の部分が増えていくことと、スタートが p であることを表しています。また、上の部分は q となっているので、 k は q まで増えていく、ということです。つまり、この式は、数列 $\{a_n\}$ の第 p 項から第 q 項までの和を表していることになります。
また、【基本】和の公式(1からnまでの和)で見た内容を $\sum$ を使って書くと、次のようになります。\[ \sum_{k=1}^n k = 1+2+\cdots+n = \frac{1}{2}n(n+1) \]
これを見て、例えば「 k を1ずつではなく、2ずつ増やしていきたい」と思った場合にはどうすればいいでしょうか。その場合は、 $\sum$ の後ろを次のように変えます。\[ \sum_{k=1}^n 2k = 2+4+\cdots+2n \]こうすれば、偶数の和になります。
また、奇数の和は\[ \sum_{k=1}^n (2k-1) = 1+3+\cdots+(2n-1) \]となります。 $2k-1$ をカッコでくくっていますが、こう書くことで、「 $2k-1$ の和なんだな」ということがわかります。カッコがないと、「 $2k$ の和から $1$ を引く」とも読めるので、わかりづらいですね。複数の読み取り方ができないように書くようにしましょう。
等差数列の和は、奇数の和と同じように書くことができます。等比数列の場合は、次のようになります。\[ \sum_{k=1}^n 5^k = 5+25+125+\cdots+5^n \]
$\sum$ の下の部分は $k=1$ と書くことが多いですが、別の文字でも構いません。ただし、 $\sum$ の後ろの文字との対応に注意しましょう。つまり、次の式のうち、前の2つは同じですが、3つ目は前2つとは異なります。\[ \sum_{k=1}^n a_k,\ \sum_{j=1}^n a_j,\ \sum_{j=1}^n a_k \]3つ目の $\displaystyle \sum_{j=1}^n a_k$ は、 $j=1$ から $j=n$ までを足すのですが、 j を変化しても $a_k$ の値は変わりません。なので、同じ値を n 回足すことになるので、\[ \displaystyle \sum_{j=1}^n a_k=n a_k \]となります。文字の対応をきちんと考えないと、間違った和を考えることになってしまいます。
おわりに
ここでは、和の記号である $\sum$ について見てきました。これから目にするのは $\displaystyle \sum_{k=1}^n$ の形がほとんどですが、そうでない特殊ケースも含めて見ておきました。