【基本】階差数列
ここでは、階差数列について見ていきます。
平方の数列について調べてみよう
次のような数列について考えてみましょう。\[1,4,9,16,25,36,49,\cdots\]自然数を2乗したものが並んでいます。この数列の第 n 項は、 $n^2$ となります。
この数列は、等差数列でも等比数列でもありません。差も比も一定ではないからです。でも、差に注目すると、ある性質があることに気が付きます。
第2項と初項の差、第3項と第2項の差、…と計算して並べると、次のようになります。\[ 3,5,7,9,11,13,\cdots \]これは、等差数列になっていますね。初項が $3$ で、公差が $2$ です。
このように、ある数列に対して、隣り合う2つの項の差をとって新しく数列を作ることができます。このようにしてできる数列のことを、階差数列(sequence of differences) と呼びます。
もとの数列の特徴がわかりにくい場合でも、階差数列の特徴はわかりやすい、ということがあります。そのため、階差数列を考えることが、もとの数列を考えるためのカギになることがあります。
階差数列からもとの数列に戻るには
上の例では、\[1,4,9,16,25,36,49,\cdots\]という数列の階差数列を考えると\[ 3,5,7,9,11,13,\cdots \]となり、等差数列になることがわかりましたね。初項が $3$ で、公差が $2$ なので、階差数列の一般項は\[ 3+2(n-1)=2n+1 \]となります。
階差数列が分かっても、もとの数列の性質に話を戻せなければ、あまり意味がありませんね。ここからは、階差数列からもとの数列に戻る方法を考えましょう。
もとの数列\[1,4,9,16,25,36,49,\cdots\]の、例えば第4項について考えてみましょう。階差数列の一般項が分かっていることを前提とすると、初項から第2項、第2項から第3項、第3項から第4項の値はすぐにわかります。式で書けば、\[
1+(2\cdot1+1)+(2\cdot2+1)+(2\cdot3+1) \]です。もとの数列の初項に、差を足し合わせていけばいいんですね。
これを応用すれば、もとの数列の一般項も求めることができます。第 n 項は、もとの数列の初項に、階差数列の項を足していけばいいんですね。第 n 項を求めるためには、階差数列の $n-1$ 項までを足せばいいので、
\begin{eqnarray}
1+\sum_{k=1}^{n-1} (2k+1)
\end{eqnarray}を計算すればいいことがわかります。なお、細かいですが、これは $n\geqq 2$ の場合でしか成り立ちません。 $n=1$ のときは、あとで別枠で考えます。
上の和を計算すると、和の公式も使って、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
& &
1+\sum_{k=1}^{n-1} (2k+1) \\[5pt]
&=&
1+2\sum_{k=1}^{n-1} k +\sum_{k=1}^{n-1} 1 \\[5pt]
&=&
1+2\cdot\frac{1}{2}(n-1)n +(n-1) \\[5pt]
&=&
1+n^2-n +n-1 \\[5pt]
&=&
n^2 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。確かに、もとの数列の一般項が出てきました。
先ほど、 $n=1$ の場合を後で考える、と書きましたが、 $n=1$ のときも、成り立つことが確かめられますね。
このように、階差数列の一般項が求められる場合は、階差数列の和を使ってもとの数列の一般項を求めることができます。なので、階差数列は大事なんですね。
おわりに
ここでは、階差数列の定義、また、階差数列を使うと何がいいのか、ということを見ました。階差数列の一般項からもとの数列の一般項を計算できることがある、というのが大事な点です。
階差数列からもとの数列に戻すときに、和を求めることになります。和の公式をよく使うので、復習しておきましょう。