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【基本】比例式

ここでは、比例式について見ていきます。恒等式の証明の際、条件式に比例式が出てくることもあるので、扱い方を覚えておきましょう。

📘 目次

比例式

比は、小学生のときにも見ましたが、\[ 1:2 \]などと表されるものですね。例えば、「xy の値は $1:2$ だ」といえば、「y を基準にしたときの x の割合は、 $2$ を基準にしたときの $1$ の割合(=0.5)と等しい」という意味で、簡単に言えば、「yx の2倍」という意味になります。

また、 $a:b$ という比に対して、 $\dfrac{a}{b}$ を「比の値」というんでしたね。

比や比の値が等しいことを表す等式のことを、比例式(proportional-expression) と言います。例えば、比が等しいことを表した次の等式\[ x:y = 1:2 \]や、比の値が等しいことを表した次の等式\[ \frac{x}{y}=\frac{1}{2} \]のような式を、比例式と呼びます。

連比

上で見た「比」は2つの数を比べていましたが、3つ以上の数を比べることもあります。例えば\[ 3:4:5 \]と比べることもあります。これも「比」と呼びますが、特に「連比」と呼ぶこともあります。

連比が等しいことを表す等式\[ a:b:c = 3:4:5 \]は、「c を基準にすると、 a の割合は $\dfrac{3}{5}$, b の割合は $\dfrac{4}{5}$ 」ということです。これは、 $a:c=3:5$ と $b:c=4:5$ の両方を混ぜたものだ、と考えることもできます。

比例式の性質

(ここでは、すべての文字は $0$ ではないとします)

「比が等しいこと」は、「割合が等しいこと」と同じです。そのため、\[ x:y=a:b \]という「比で表された」条件は\[
\frac{x}{y}:1 = \frac{a}{b}:1 \]ということなので、\[ \frac{x}{y}=\frac{a}{b} \]という「比の値で表された」条件と同じ意味になります。

また、最後の分数の式は、両辺を a で割って b を掛けた式\[ \frac{x}{a}=\frac{y}{b} \]とも同じです。さらに、この両辺に $ab$ を掛けた\[ bx=ay \]という条件とも同じです。これは、元の比の、外側同士と内側同士の積が等しい、という式になっています。

こうした言い換えは、どの形もよく使います。

次に、連比の場合を考えましょう。\[ x:y:z=a:b:c \]という条件があったとしましょう。これは、\[x:z=a:c\]という比と\[ y:z=b:c \]という比を組み合わせたものなので、先ほどの関係から\[ \frac{x}{a}=\frac{z}{c} \]という式と\[ \frac{y}{b}=\frac{z}{c} \]が同時に成り立つことと同じです。これを1つにまとめると\[ \frac{x}{a}=\frac{y}{b}=\frac{z}{c} \]となります。連比の場合は、この言い換えをよく使います。

最後に、もう一つよく使うテクニックを紹介しておきます。分数の形の条件式は、「$=k$」と置くと、扱いやすくなります。これは、実際に次の例題を解きながら見ていきましょう。

比例式を使った例題

例題
$a:b:c=1:2:3$ で、 $a+b+c=36$ のとき、 $a$ の値を求めなさい。

$a:b:c=1:2:3$ という条件を分数の形に変形すると、次のようになります。\[ \frac{a}{1}=\frac{b}{2}=\frac{c}{3} \]この値を k とおくと、\[ a=k,\ b=2k,\ c=3k \]となります。こうすると、 $a+b+c$ は、次のように $k$ だけの式で書くことができます。
\begin{eqnarray} & & a+b+c \\ &=& k+2k+3k \\ &=& 6k \\ \end{eqnarray}これが $36$ なので、 $k=6$ が得られます。また、 $a=k$ なので、 $a=6$ と求めることができます。

比を分数の形にし、その値を他の文字で置くと、考えやすくなることが多いです。覚えておきましょう。

ちなみに、今の場合は、もっとシンプルに解くこともできます。 $a:b:c=1:2:3$ から、 $a+b+c$ も同じように比で書くと\[ a:(a+b+c)=1:(1+2+3)=1:6 \]となります。これから\[ a:36=1:6 \]から $a=6$ となります。

ただ、この方法は、比例式の条件がシンプルなときにしか使えません。上のように、定数で置く方法は、比例式が複雑な場合でも使えるので、汎用性は高いです。

おわりに

ここでは、比例式について見てきました。比で表したり、分数で表したり、「=定数」と置いたり、いろいろな変形がありましたが、どれも使うので慣れておきましょう。

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