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【基本】内分点と外分点の位置ベクトル

ここでは、位置ベクトルの理解を深めるため、内分点と外分点の位置ベクトルについて見ていきます。

📘 目次

内分点と外分点の復習

内分点・外分点は、線分をある比で分ける点のことです。【基本】平面上での内分点と外分点などで扱っています。

例えば、線分 AB を $m:n$ に内分する点を P とすると、 P は線分 AB 上の点で\[ \mathrm{ AP }:\mathrm{ PB }=m:n \]を満たすということです。

また、点 Q が線分 AB を $m:n$ に外分する点である、というのは、 Q は線分 AB の延長線上にある点で\[ \mathrm{ AQ }:\mathrm{ QB }=m:n \]を満たすということです。 $m\gt n$ なら、上の図のように、点 Q は線分 ABB 側の延長線上にあり、 $m\lt n$ なら、点 QA 側の延長線上にあります。

比が線分の長さを表しています。内分点も外分点も直線上にありますが、線分上にあるのが内分点、ないのが外分点です。線分の内側か外側か、に対応させて考えると覚えやすいです。

内分点と外分点の位置ベクトル

さて、2点 A, B を結んでできる線分 AB を、 $m:n$ に内分する点について考えましょう。これらを位置ベクトルを使ってどう表されるかを見ていきます。

まず、 A, B の位置ベクトルを、それぞれ $\vec{a}$, $\vec{b}$ とします。また、点 P の位置ベクトルを $\vec{p}$ とします。

P は内分点だから、\[ \mathrm{ AP }:\mathrm{ PB }=m:n \]が成り立ちます。よって、\begin{eqnarray} \overrightarrow{ \mathrm{ OP } } &=& \overrightarrow{ \mathrm{ OA } }+\overrightarrow{ \mathrm{ AP } } \\[5pt] &=& \overrightarrow{ \mathrm{ OA } }+\frac{m}{m+n}\overrightarrow{ \mathrm{ AB } } \\[5pt] \end{eqnarray}が成り立ちます。これを位置ベクトルで書きましょう(参考:【基本】位置ベクトル)。 \begin{eqnarray} \vec{p} &=& \vec{a}+\frac{m}{m+n}(\vec{b}-\vec{a}) \\[5pt] &=& \frac{(m+n-m)\vec{a}+m\vec{b} }{m+n} \\[5pt] &=& \frac{n\vec{a}+m\vec{b} }{m+n} \\[5pt] \end{eqnarray}と書けます。分子は、 $\mathrm{ AP }:\mathrm{ PB }=m:n$ と見比べると、外側同士、内側同士の積と対応していますね。

続いて、外分点の位置ベクトルを求めましょう。

$m\gt n$ とします。大きさによって、点の位置が A 側か B 側かが変わるため、どちらが大きいかを仮定します。ただ、逆の場合も同じように考えればOKです。

このとき、 ABAQ の長さの比が $(m-n):m$ となっているため、
\begin{eqnarray} \overrightarrow{ \mathrm{ OQ } } &=& \overrightarrow{ \mathrm{ OA } }+\overrightarrow{ \mathrm{ AQ } } \\[5pt] &=& \overrightarrow{ \mathrm{ OA } }+\frac{m}{m-n}\overrightarrow{ \mathrm{ AB } } \\[5pt] \end{eqnarray}となります。よって、 Q の位置ベクトル $\vec{q}$ は \begin{eqnarray} \vec{q} &=& \vec{a}+\frac{m}{m-n}(\vec{b}-\vec{a}) \\[5pt] &=& \frac{(m-n-m)\vec{a}+m\vec{b} }{m-n} \\[5pt] &=& \frac{-n\vec{a}+m\vec{b} }{m-n} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。先ほどの内分点の式で、 $n$ を $-n$ に置き換えたものになっています。

まとめると、次のようになります。

内分点・外分点の位置ベクトル
2点 $\mathrm{ A }(\vec{a})$, $\mathrm{ B }(\vec{b})$ を結んでできる線分 AB を、 $m:n$ に内分する点を P、 $m:n$ に外分する点を Q とする。これらの位置ベクトルを、それぞれ $\vec{p}$, $\vec{q}$ とするとき、次の式が成り立つ。(なお、 $m=n$ のときには、外分点は考えない)
\[ \vec{p}=\frac{n\vec{a}+m\vec{b} }{m+n},\ \vec{q}=\frac{-n\vec{a}+m\vec{b} }{m-n} \]

例えば、2点 $\mathrm{ A }(\vec{a})$, $\mathrm{ B }(\vec{b})$ を結んでできる線分 AB を $2:1$ に内分する点の位置ベクトルは $\dfrac{\vec{a}+2\vec{b} }{3}$ となり、 $2:1$ に外分する点の位置ベクトルは $-\vec{a}+2\vec{b}$ となります。

【基本】平面上での内分点と外分点で得られた式と見比べてみましょう。よく似た式になっていることがわかります。

おわりに

ここでは、内分点と外分点の位置ベクトルについて見てきました。座標で考えたときと似た式が得られます。結果は、一見すると複雑ですが、比の外側同士・内側同士の積と対応させることができるので、それほど覚えにくくはないでしょう。

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