【基本】n乗の展開
【基本】三次式の展開では、3乗の展開を考えましたが、ここではもっと大きな数になったときに展開の式がどうなるかを見ていきます。
2乗と3乗の展開の復習
n 乗の展開を考える前に、2乗と3乗の展開を振り返りましょう。
まず、2乗の展開は次のようになります。\[ (x+y)^2=x^2+2xy+y^2 \]続いて、3乗の展開です。途中の式も書いてみましょう。
\begin{eqnarray}
& &
(x+y)^3 \\[5pt]
&=&
(x+y)\times (x^2 +2xy +y^2) \\[5pt]
&=&
x(x^2 +2xy +y^2) \\
& &
+y(x^2 +2xy +y^2) \\[5pt]
\end{eqnarray}これを展開して同類項を縦に並べてみると、
\begin{eqnarray}
& x^3 & +2x^2y &+xy^2 &\\
& & +x^2y &+2xy^2 &+y^3 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。2乗を展開したときに出てくる係数を、1つ横にずらして足す、という構造になっています。同類項をまとめて\[ (x+y)^3 = x^3 +3x^2y +3xy^2 +y^3 \]が得られます。
4乗の展開
上と同じように計算すると、4乗の場合も
\begin{eqnarray}
& &
(x+y)^4 \\[5pt]
&=&
x(x^3 +3x^2y +3xy^2 +y^3) \\
& &
+y(x^3 +3x^2y +3xy^2 +y^3) \\[5pt]
\end{eqnarray}となり、同類項を縦にそろえて並べると
\begin{eqnarray}
& x^4 & +3x^3y &+3x^2y^2 &+ xy^3 & \\
& & + x^3y &+3x^2y^2 &+3xy^3 & +y^4 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。4乗の場合も、3乗を展開したときに出てくる係数を1つずらして足す、という構造になっています。さらに計算して、
\begin{eqnarray}
& &
(x+y)^4 \\
&=&
x^4 +4x^3y +6x^2y^2 +4xy^3 +y^4 \\
\end{eqnarray}となります。
係数に着目してみよう
上の計算で出てきた「同類項を縦にそろえて並べる」ところを見ると、3乗の場合は2乗の式を1つずらして足す、4乗の場合は3乗の式を1つずらして足す、という構造になっています。係数だけを抜き出すと、3乗の場合は
\begin{eqnarray}
& & 1 & +2 &+1 & \\
& & & +1 &+2 &+1 \\[5pt]
&=& 1 & +3 &+3 &+1 \\[5pt]
\end{eqnarray}となり、4乗の場合は
\begin{eqnarray}
& & 1 & +3 &+3 &+1 & \\
& & & +1 &+3 &+3 & +1 \\[5pt]
&=& 1 & +4 &+6 &+4 & +1 \\[5pt]
\end{eqnarray}となっています。この流れでいくと、5乗の場合には、
\begin{eqnarray}
& & 1 & +4 &+6 &+4 & +1 & \\
& & & +1 &+4 &+6 & +4 & +1\\[5pt]
&=& 1 & +5 &+10 &+10 & +5 & +1\\[5pt]
\end{eqnarray}という係数になることが予想できます。実際に計算した結果を書くと
\begin{eqnarray}
& &
(x+y)^5 \\
&=&
x^5 +5x^4y +10x^3y^2 +10x^2y^3 +5xy^4 +y^5 \\
\end{eqnarray}となります。
このことから、「係数をずらして足す、という操作を続けていけば、何乗でも求められる」ことがわかります。ただ、上のやり方を使うだけでは、順番に計算していかないと係数を求めることができません。
しかし、実は、順番に計算していかなくても、いきなり n 乗を展開した式の係数を求めることは可能です。そのやり方については、すぐ後で見ることになります(参考:【基本】n乗の展開と二項定理)が、とりあえずこの記事ではここまでです。
おわりに
ここでは、 n 乗の展開について見てきました。「係数をずらして足す」を繰り返せば、何乗の係数でも求めることができる、ということを見ました。もっと直接的に求める方法については、この後の記事で見ていくことにします。