【基本】分数式の帯分数化
ここでは、分数式を帯分数の形に変換する方法や、その逆の変換の仕方について見ていきます。分数のときと関連させながら、考えていきます。
分数式の帯分数化
小学生の時、 $\dfrac{16}{3}$ を $5 \dfrac{1}{3}$ と変換する方法を習いました。 $5 \dfrac{1}{3}$ のように、分子が分母より小さいような分数のことを、帯分数というのでしたね。 $16$ を $3$ で割ったときの商が整数部分となり、余りが分子に現れます。
分数式の場合にも、これと似た変換をすることがあります。今後いろいろな計算をする場面で登場するので、ここで見ていきましょう。
例として、 $\dfrac{x^2}{x+1}$ という分数式を考えてみます。分数を帯分数にしたときと同じように変換するために、まずは、分子を分母で割ってみます。
【基本】整式の割り算などで見たやり方で計算すると、次のようになることがわかります。\[ x^2 = (x+1)(x-1)+1 \]つまり、商が $x-1$ で、余りが $1$ ということです。
$\dfrac{16}{3}$ を $5 \dfrac{1}{3}$ にした変形を見ながら考えると、この割り算の結果から $\dfrac{x^2}{x+1}$ は\[ x-1 + \frac{1}{x+1} \]となることがわかります。
ここで1つ注意が必要なのは、数字のときのように $(x-1)\dfrac{1}{x+1}$ とかいてはいけない、ということです。式の場合にこう書いてしまうと、「 $(x-1)$ と $\dfrac{1}{x+1}$ の掛け算」の意味になってしまいます。この2つの式は、掛け算ではなく足し算でつながっています。実際、次のような式変形を見ると分かると思います。
\begin{eqnarray}
& &
\frac{x^2}{x+1} \\[5pt]
&=&
\frac{(x+1)(x-1)+1}{x+1} \\[5pt]
&=&
\frac{(x+1)(x-1)}{x+1} +\frac{1}{x+1} \\[5pt]
&=&
x-1 +\frac{1}{x+1} \\[5pt]
\end{eqnarray}$+$ の記号は省略できないので、数字のときとは違って、この $+$ は書かないといけません。
数字のときは、帯分数の形にするということは、「分子の数が分母の数より小さくなる」ように変形することでした。一方、分数式の場合には、「分子の次数が分母の次数より小さくなる」ように変形することになります。
実際の変形方法を見てもわかる通り、計算の途中で整式の割り算が必要になるので、この計算方法もおさえておきましょう。
分数式の帯分数化の逆
今度は、逆に、整式と分数式を1つにまとめる計算を見ていきます。\[ a+\frac{3}{2a+1} \]という式を考えてみましょう。これを1つにまとめるには、 $a$ を $\dfrac{a}{1}$ だと考えて、通分をして足します(参考:【基本】分数式の足し算・引き算)。つまり、
\begin{eqnarray}
& &
a+\frac{3}{2a+1} \\[5pt]
&=&
\frac{a}{1}+\frac{3}{2a+1} \\[5pt]
&=&
\frac{a(2a+1)}{2a+1}+\frac{3}{2a+1} \\[5pt]
&=&
\frac{a(2a+1)+3}{2a+1} \\[5pt]
&=&
\frac{2a^2+a+3}{2a+1} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
上の計算は少しくどく書いていますが、慣れてくれば次のように計算しても構いません。
\begin{eqnarray}
& &
a+\frac{3}{2a+1} \\[5pt]
&=&
\frac{a(2a+1)+3}{2a+1} \\[5pt]
&=&
\frac{2a^2+a+3}{2a+1} \\[5pt]
\end{eqnarray}
おわりに
ここでは、分数式の帯分数化、つまり、分子の次数を分母の次数より小さくする式変形と、その逆の変形を見ました。ここで見た内容は、分数式が出てくる計算で当たり前のように行うので、よく身につけておきましょう。