【基本】軌跡
ここでは、軌跡について見ていきます。
軌跡
ある点が、別のある点から一定の距離だけ離れたところを動いている状況を想像してみましょう。
数学の世界では上のような図しか出てきませんが、ハンマー投げやジャイアントスイングを想像してもいいでしょう。このとき、動いている一番外側にある点は、どういう動きをしているでしょうか。しばらく見ていればすぐにわかると思いますが。
上のように追加するとわかりやすいですね。答えは、円です。
このように、ある条件を満たしながら点が動いたときにできる図形のことを軌跡(locus) といいます。上の例では結果は簡単に予想できましたが、予想しにくいものも、今後見ていくことになります。
軌跡を求めなさいといわれたら何をするか
これから、軌跡を求める問題をいくつか見ていきますが、そもそもこうした問題が出題された場合に、何をしないといけないか、何を答えないといけないのか、というのを整理しておきましょう。
まず、ゴールは「こういう図形だ」というのを答えることです。「中心がここで半径がいくらの円」とか「こういう直線」などというのが答えになります。
そして、それが答えだというために、大きく分けて、2つのことを示さないといけません。1つは「条件を満たす点は、その図形上にあること」、もう1つは「その図形上の点であれば、どの点であっても、与えられた条件を満たすこと」。
1つ目は、当然でしょう。どの図形なのかを特定しなければ答えにならないですからね。少しやっかいなのは、2つ目です。条件を満たさないものは、きちんと除かないといけません。
例えば、原点が中心で、半径が $1$ の円を考えてみましょう。 $\mathrm{ B }(1,0)$, $\mathrm{ C }(-1,0)$ とします。
このとき、「三角形 BCP が、BC を斜辺とする直角三角形となるように点 P が動くとき、 P の軌跡を求めなさい」と言われたとしましょう。
P が円周上にあるときは、直径に対する円周角なので、 $\angle \mathrm{ BPC }$ は直角です。 また、 P が円の内側にあるとき、外側にあるときは、 $\angle \mathrm{ BPC }$ が直角になることはありません。よって、 P の軌跡は、上にかいた円だと考える人がいるかもしれません。
しかし、条件の文に注意しなければいけません。 P が B, C と重なるときは条件を満たしません。これらのときは、三角形 BCP や角度を考えることができないですからね。
なので、「原点が中心で半径が $1$ の円、ただし、 $(1,0)$, $(-1,0)$ を除く」というのが答えになります。
簡単な問題なら、このような除外する点がなく、後半の確認部分は易しいことが多いのですが、難しい問題になってくるほど、後半部分が難しくなることが多いです。今後、注意してみていきましょう。
おわりに
ここでは、軌跡とは何か、問題に対して何をして何を答えるか、というのを見てきました。計算も何もしていないのでまだよくわからないかもしれませんが、何をするのかを知ることは重要なのでここでまとめておきました。具体的な問題は今後解いていくことにします。