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【基本】独立試行

ここでは、「独立試行」について見ていきます。「さいころを2回ふったときの、1回目と2回目」などが、独立試行の例です。

📘 目次

くじをひく

あたりが1本、はずれが9本あるくじから、1本のくじをひく試行を2回行うとしましょう。ちなみに、試行とは「結果が確定的でない実験や観測」のことです(参考:【基本】確率の基本事項)。

もし、1回目にひいたくじを戻すとしたら、2回目にひくときは、「あたりが1本、はずれが9本」のままなので、1回目に引くときと全く同じ状況ですよね。しかも、1回目にあたりをひこうが、はずれをひこうが、2回目にあたりをひく確率は変わりません。

1回目の試行の結果が2回目の試行の結果に影響を与えることはないし、逆に、2回目の試行の結果が1回目の試行の結果に影響を与えることもありません。

一方、1回目にひいたくじを戻さないとしたら、どうでしょうか。もし1回目であたりがでたら、2回目は何をひいてもはずれです。1回目がはずれなら、2回目は「あたりが1本、はずれが8本」という状況になります。

この場合は、先ほどとは違って、1回目の試行の結果が2回目の試行の結果に影響を与えてしまいます。

1回目のくじを戻すかどうかで、2回目の結果に影響を与えるかどうかが変わってきます。

独立試行

「1回目の引いたくじを戻す」例のように、2つの試行について、その結果が他方の結果に影響しない場合、これらの試行は独立(independent) である、といいます。また、これらは独立な試行(independent trial) である、ともいいます。

独立な試行の例は、上の「1回目の引いたくじを戻してくじを2回引くときの、1回目の試行と2回目の試行」のほかに、「さいころを2回ふるときの、1回目の試行と2回目の試行」や「大小2つのさいころを同時にふるときの、大をふる試行と小をふる試行」などがあります。互いに結果に影響を及ぼさなければ、独立な試行になります。

一方、上の「1回目の引いたくじを戻さずにくじを2回引くときの、1回目の試行と2回目の試行」のように、その結果が他方に影響を与える場合は、独立とはいいません。

なぜ独立な試行が重要か

この「独立試行」というものをなぜ考えるかというと、独立試行なら確率を求めやすくなるからなんですね。

詳しくは【基本】独立試行の確率で見ますが、シンプルな例で少しだけ性質をみてみます。

「さいころを2回ふったとき、1回目が3以上、2回目が2以下となる確率」を求めてみます。普通に計算するなら、さいころを2回ふったときの目の出方が $6^2$ 通りであることと、「1回目が3以上、2回目が2以下」となる場合の数が $4\times 2$ 通りであることから、\[ \frac{4\times 2}{6^2}=\frac{2}{9} \]と求めることになります。

しかし、独立な試行の場合は、それぞれの確率を掛けて求められるようになるんですね。今の場合であれば、1回目が3以上となる確率は $\dfrac{4}{6}$ であり、2回目が2以下となる確率は $\dfrac{2}{6}$ であり、これをかけて\[ \frac{4}{6} \times \frac{2}{6}=\frac{2}{9} \]と求めることができます。上の答えと一致していますね。

独立な試行であれば、2つでも3つでも同じように分割して考えることができます。こうした性質を持っているため、独立試行は重要な概念なんですね。

おわりに

ここでは、独立試行について見てきました。結果が他方の結果に影響を与えるかどうかで、独立がどうかが変わってくるんでしたね。独立試行の確率については、【基本】独立試行の確率で見ることにします。

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