【基本】数直線上の2点間の距離
ここでは、数直線上の2点間の距離について考えていきます。
数直線上のある点と原点との距離
【基本】絶対値での内容と被りますが、復習も兼ねてもう一度見ておきましょう。
直線上の点に実数を対応させたものを、数直線と呼びます。下のようなものです。
普通は、上のように左右に伸びる直線で表し、右に行くほど大きい数を表します。
$0$ を表す原点は O で表します。他の点については、数直線上の点 P が実数 p に対応しているとき、「 P の座標は p である」といい、 $\mathrm{P}(p)$ と表します。
$1$ も $-1$ も、原点からの距離はともに $1$ であり、同じ値ですね。このような「原点からの距離」は、絶対値を用いて表します。例えば、 $\mathrm{ P }(p)$ のとき、 OP の長さは次のように表します。\[ \mathrm{ OP } = |p| \]
図でかくと、次のようになります。
本来、距離の表し方は p の符号によって変わるのですが、絶対値があれば一つの表し方で済むので楽ですね。
数直線上の2点間の距離
ある点と原点との距離を見ましたが、原点以外の2点の場合、 $\mathrm{ A }(a)$ と $\mathrm{ B }(b)$ との距離について考えてみましょう。数直線上に2つの点をとって、考えてみましょう。
そうすると、やはりこの場合も、位置関係によって表し方が違ってくることに気づきます。
もし、 B のほうが右にある、つまり、 $a\lt b$ の場合は、 AB 間の距離は $b-a$ となります。一方、 A のほうが右にある場合は、 $a-b$ となります。少しわかりにくいかもしれませんが、\[ a-b = -(b-a) \]となっています。このことから、「AB 間の距離は、 $b-a$ が0以上ならそのまま、負ならマイナスをつけた値」ということができます。こういう表現をまとめて表す方法がありましたね。先ほど見た絶対値です。絶対値を使えば\[ \mathrm{ AB } = |b-a| \]と書くことができます。もちろん、 $|a-b|$ と書いても構いません。大小関係が明らかなときは、単に大きい方から小さい方を引いて求めることができます。
原点との距離に帰着させて考える
数直線上の2点間の距離は、上で見たように絶対値で表すことができました。このことについて、1つ目の「原点との距離」に絡めて考えてみましょう。
AB 間の距離を直接考えるのではなく、2点を移動して考えてみましょう。点 A が原点に来るように、移動してみます。これは式で言えば、「 $a$ を引く」ということですね。同じ方向に同じ距離だけ移動させても、2点間の距離は変わりません。
この移動により、点 $\mathrm{ B }(b)$ は別の点 $\mathrm{ B }'$ に移るとしましょう。移動後の点の座標は $b-a$ となっています。
先ほどの図も、点 A が原点に来るようにずらしてみました。 AB 間の距離は、 $\mathrm{ OB' }$ 間の距離と等しいですね。これは原点と $\mathrm{ B }' (b-a)$ との距離です。原点との距離は絶対値で表現できるので、結局、2点間の距離は $|b-a|$ となる、ということです。
今はとてもシンプルな状況なので、移動を考える方が複雑になっているように感じるかもしれませんが、今後、ある点が原点にくるように全体を移動させる、ということはよく行います。こうした見方ができるように、慣れていきましょう。
おわりに
ここでは、数直線に関することを復習しながら、数直線上の2点間の距離について見てきました。原点との距離と同様、絶対値を使って簡単に表せることをおさえておきましょう。