【基本】正負の数の加法と減法の混じった計算
ここでは、正の数や負の数を含む、加法と減法が混じった計算の仕方を見ていきます。「項」についても見ていきます。
正負の数の加法と減法の混じった計算の例
【基本】正負の数の加法や【基本】正負の数の減法と加法の関係では、正の数や負の数の加法や減法について見てきました。これらのページでは、2つの数の和や差を求めました。ただ、もっとたくさんの数を含んだ計算を行うこともあります。
例えば、次の計算について考えてみましょう。\[ 3-6+8-7 \]基本的には、前から計算していきます。 $3-6$ を計算し、その答えに $8$ を足して、その答えから $7$ を引く。そうやってもいいのですが、【基本】正負の数の加法の性質で見たように、順番を入れ替えて計算したい場合はどうすればいいでしょうか。
上のリンク先で見たように、足し算の場合は、\[ (+2)+(-5)=(-5)+(+2) \]のように前後を入れ替えてもいいのでした。しかし、引き算の場合は、そうはいきません。 $(+2)-(-5)$ と $(-5)-(+2)$ を比べてみましょう。計算してみるとわかりますが、1つ目の答えは $7$ で、2つ目は $-7$ です。引き算の場合は、前後を入れ替えてしまうと答えが変わってしまいます。なので、単純に順番を入れ替えて計算することはできません。
しかし、【基本】正負の数の減法と加法の関係で見たように、引き算はすべて足し算に置き換えられるのでしたね。そして、足し算なら、順番を入れ替えてもいいのでした。なので、すべて足し算で考えてみましょう。
$(+2)-(-5)$ の例であれば、「負の数を引く」のは「正の数を足す」のと同じだったので、 $(+2)+(+5)$ と同じになります。足し算なら、順番を入れ替えてもいいので、 $(+5)+(+2)$ となります。このようにすれば、順番を入れ替えることができます。
では、冒頭の例ではどうでしょうか。\[ 3-6+8-7 \]の計算を考えてみましょう。これを、+の符号を省略せずに書くと、次のようになります。\[ (+3)-(+6)+(+8)-(+7) \]少しくどいですが、このようになります。ここで、引き算を足し算に置き換えましょう。\[ (+3)+(-6)+(+8)+(-7) \]正の数を引くことは、負の数を足すことと同じなので、このように変えることができます。こうなれば、ぜんぶ足し算なので、順番を入れ替えてもOKです。入れ替え方はいろいろありますが、ここでは、正の数、負の数に分けて、次のように入れ替えます。\[ (+3)+(+8)+(-6)+(-7) \]この式で、はじめの2つ、あとの2つを先に計算すると\[ (+11)+(-13)=-2 \]と求めることができます。こうして、順番を入れ替えて計算することができました。
すごく大変な気がしますが、これは計算の説明をしているから大変になっているだけです。次で見るように、もっと簡単に考えることができるので安心してください。
項
先ほどの計算を、もう一度見てみましょう。\[ 3-6+8-7 \]の計算をするときに、いろいろ変形をして\[ (+3)+(+8)+(-6)+(-7) \]という形にしました。この計算をせずに、再び引き算の形に戻すと、\[ (+3)+(+8)-(+6)-(+7) \]となり、さらに+の符号を省略して書けば、\[ 3+8-6-7 \]となります。これが一番はじめの式と同じになります。2つを並べてよく見てみましょう。
\begin{eqnarray}
& & 3-6+8-7 \\[5pt]
&=& 3+8-6-7
\end{eqnarray}2つの式を見比べると、 $-6$ と $+8$ が入れ替わっていることがわかります。 $6$ と $8$ の入れ替えではありません。数字だけでなく、前の符号とセットで入れ替わっていることに注意しましょう。
このように、加法と減法が混じった計算では、数字とその前にある符号をまとめてセットにすれば、順番を入れ替えて計算をしても、同じ結果になります。
正負の数の加法・減法では、「数字とその前にある符号をまとめたもの」を、項(term) といいます。例えば、 $3-6+8-7$ なら、 $3,-6,8,-7$ の4つの数字が項となります。 $3-6+8-7$ は、この4つの項の和なので、項を入れ替えて足しても同じ結果になります。 $3+8-6-7$ とか $8-7-6+3$ などとしても、同じ4つの項の和を表しているので、答えは変わりません。
例題
最後に計算の練習をしてみましょう。
(1) $-4+8-9$
(2) $10-16-(-18)-9$
(1)は、 $+8$ と $-4$ を入れ替えて計算してみましょう。
\begin{eqnarray}
& & -4+8-9 \\[5pt]
&=& 8-4-9 \\[5pt]
&=& 8-13 \\[5pt]
&=& -5
\end{eqnarray}となります。
(2)は、まず、 $-(-18)$ を足し算にしてから、正の数の和、負の数の和でまとめて計算してみましょう。
\begin{eqnarray}
& & 10-16-(-18)-9 \\[5pt]
&=& 10-16+18-9 \\[5pt]
&=& 10+18-16-9 \\[5pt]
&=& 28-25 \\[5pt]
&=& 3
\end{eqnarray}このように計算できます。
おわりに
ここでは、正の数や負の数の加法と減法が混じった計算を見てきました。必ず順番を入れ替えないといけない、というわけではありません。ただ、入れ替える場合には、数字だけでなく、前にある符号もセットにして入れ替えないといけない、という点に注意しましょう。