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【基本】空間ベクトルの成分

ここでは、空間ベクトルの成分について見ていきます。

📘 目次

空間ベクトルの成分

【基本】ベクトルの成分 では、平面ベクトルに成分を導入しました。上下方向と左右方向の2つに分けて、向きを表現する方法です。

空間の場合にも、向きを表現する方法として、成分を導入します。

その前に、単位ベクトルの話をします。単位ベクトル(unit vector) とは、大きさが $1$ のベクトルのことです。 $\vec{a}$ の大きさが $0$ 出ない場合は、 $\vec{a}$ の大きさで割れば、単位ベクトルになります。

単位ベクトルのうち、 $x$ 軸、 $y$ 軸、 $z$ 軸に平行なものを、基本ベクトル(standard unit vectors) といいます。それぞれ、 $\vec{e_1}$, $\vec{e_2}$, $\vec{e_3}$ で表します。

このとき、4点 $(0,0,0)$, $(1,0,0)$, $(0,1,0)$, $(0,0,1)$ は同一平面上にはないから、【基本】空間ベクトルの平行と分解 でも見たように、どんなベクトル $\vec{p}$ も、\[ \vec{p}=s\vec{e_1}+t\vec{e_2}+u\vec{e_3} \]と表すことができます。この $s,t,u$ を、それぞれ $x$ 成分、 $y$ 成分、 $z$ 成分といいます。

さらに、もっと省略して、それぞれの成分を使って、次のようにベクトルを表すこともあります。\[ \vec{p}=(s,t,u) \]このような表示を、 成分表示 といいます。座標のような書き方ですが、成分表示は向きと大きさを表すものであり、座標とは異なります。

ベクトルが等しいことと、成分が一致することは同値です。

空間ベクトルの成分と演算

【基本】空間ベクトル でも見たように、ベクトルの和・差・定数倍は、各成分の和・差・定数倍で計算します。これは空間ベクトルの場合も同じです。成分が1つ増えるだけです。

例えば、 $\vec{a}=(1,-2,0)$, $\vec{b}=(2,3,-1)$ の場合
\begin{eqnarray} & & \vec{a}+\vec{b}=(1+2,-2+3,0-1) =(3,1,-1) \\[5pt] & & \vec{a}-\vec{b}=(1-2,-2-3,0+1) =(-1,-5,1) \\[5pt] & & 3\vec{b}=(6,9,-3) \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

空間ベクトルの成分と大きさ

【基本】座標空間における点 でも見たように、原点と $(a,b,c)$ との距離は $\sqrt{a^2+b^2+c^2}$ で求められます。

このことから、$\vec{a}=(a_1,a_2,a_3)$ のときには、ベクトルの大きさは、$\sqrt{a_1^2+a_2^2+a_3^2}$ となります。このようにして、ベクトルの成分から大きさが求められます。

点の座標と空間ベクトル

空間内で2点 $\mathrm{A}(a_1,a_2,a_3)$, $\mathrm{B}(b_1,b_2,b_3)$ をとります。このとき、成分表示を使うと、
\begin{eqnarray} \overrightarrow{\mathrm{AB}} &=& \overrightarrow{\mathrm{OB}} - \overrightarrow{\mathrm{OA}} \\[5pt] &=& (b_1,b_2,b_3)-(a_1,a_2,a_3) \\[5pt] &=& (b_1-a_1, b_2-a_2, b_3-a_3) \\[5pt] \end{eqnarray}となります。また、このベクトルの大きさは \begin{eqnarray} \sqrt{(b_1-a_1)^2+(b_2-a_2)^2+(b_3-a_3)^2} \end{eqnarray}となることがわかります。

おわりに

ここでは、空間ベクトルの成分について見てきました。また、成分を使った計算や大きさの求め方なども見ました。いずれも、平面ベクトルのことがわかっていたら、それほどひっかかる内容ではないと思います。

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