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【基本】空間ベクトル

ここでは、空間ベクトルや空間ベクトルの演算などについて見ていきます。平面のときを思い出しながら見ていきます。

📘 目次

空間ベクトル

【基本】ベクトル で見たように、平面でのベクトルは、向きと大きさをもったもの、でした。空間ベクトルは、これを空間で考えるだけです。

空間内に2点 $\mathrm{A,B}$ をとります。 $\mathrm{A}$ から $\mathrm{B}$ の向きに、線分 $\mathrm{AB}$ と同じ長さの大きさをもつベクトルを $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と表します。

$\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ に対し、 $\mathrm{A}$ を始点、 $\mathrm{B}$ を終点と呼びます。

また、平面のときと同じように、一文字で $\vec{a}$ などと表すこともあります。

$\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ の大きさとは、線分 $\mathrm{AB}$ の長さのことで、記号では $|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|$ と表します。

2つのベクトルの向きと大きさが等しいとき、2つのベクトルは等しいといいます。

これらは、すべて平面のときと同じです。考えている場所が、平面から空間に変わっただけです。

空間ベクトルの足し算

【基本】ベクトルの足し算では、平面でのベクトルの足し算を見ました。しりとりのように計算する方法と平行四辺形を作る方法、2通りありましたが、結果は同じものになりました。

空間のときも同じように定義します。

上のような四面体があったとします。このとき、\[ \overrightarrow{\mathrm{AB}}+\overrightarrow{\mathrm{BC}} \]は、しりとりのように考えて、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ となります。この計算は空間で行っていますが、 $\mathrm{A,B,C}$ を含む平面での計算と考えれば、平面の計算とまったく同じことをしているとわかります。

$\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ との和のような場合には、$\mathrm{C}$ が $\mathrm{A}$ や $\mathrm{B}$ にくるように $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ を平行移動するなどをしてから計算すればいいです。

交換法則 $\vec{a}+\vec{b}=\vec{b}+\vec{a}$ や、結合法則 $(\vec{a}+\vec{b})+\vec{c}=\vec{a}+(\vec{b}+\vec{c})$ も成り立ちます。

空間ベクトルの引き算

【基本】ベクトルの引き算で見た通り、平面の場合、 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ ベクトルを引く場合は、 $\overrightarrow{\mathrm{BA}}$ を足す、と考えます。空間の場合も同じです。

上のような四面体があったとします。 $\overrightarrow{\mathrm{CD}} - \overrightarrow{\mathrm{AD}}$ を計算してみます。これは、後半の順番を変えて、符号も変えて\[ \overrightarrow{\mathrm{CD}} - \overrightarrow{\mathrm{AD}} = \overrightarrow{\mathrm{CD}} + \overrightarrow{\mathrm{DA}} = \overrightarrow{\mathrm{CA}} \]となります。

$\overrightarrow{\mathrm{BA}}$ は $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ の逆ベクトルといいます。ベクトルを引く場合は、逆ベクトルを足すことで求めます。

$\overrightarrow{\mathrm{AB}}-\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ や $\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\overrightarrow{\mathrm{BA}}$ は、 長さが $0$ のベクトルとなります。これは特別に零ベクトルという名前がついていて、 $\vec{0}$ で表します。

空間ベクトルの定数倍

【基本】ベクトルの定数倍で見たように、ベクトルの $k$ 倍とは、長さが $k$ 倍のベクトルだと定義しました。空間のときも同じです。

空間内の2点 $\mathrm{A,B}$ に対し、 $\vec{a}=\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ とします。

$k$ が正の場合は、 $k \overrightarrow{\mathrm{AB}}$ は、向きが同じで、長さが $k$ 倍のベクトルです。

$k$ が負の場合は、 $k \overrightarrow{\mathrm{AB}}$ は、向きが反対で、長さが $k$ 倍のベクトルです。

$k$ が $0$ の場合は、 $\vec{0}$ です。

【基本】ベクトルの和の定数倍で見たように、平面の場合に成り立つ以下の内容は、空間の場合でも成り立ちます。

  • $k(l\vec{a})=(kl)\vec{a}$
  • $(k+l)\vec{a}=k\vec{a}+l\vec{a}$
  • $k(\vec{a}+\vec{b})=k\vec{a}+k\vec{b}$

おわりに

ここでは、空間ベクトルを導入し、和、差、定数倍に関する計算について見てきました。平面のときと同じでしたね。つまり、空間では図をかくのが大変ですが、平面のときと同じように計算ができるというのは実は大きなメリットです。今後、いろいろ問題を解いていくと、空間ベクトルのよさがわかっていくはずです。

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