東京大学 理系 2006年度後期 第3問 解説
問題編
【問題】
数列の和の公式
\begin{eqnarray} & & \sum_{k=1}^n k =\frac{1}{2}n(n+1) \ , \\[5pt] & & \sum_{k=1}^n k^2 =\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) \ , \\[5pt] & & \sum_{k=1}^n k^3 =\left\{\frac{1}{2}n(n+1)\right\}^2 \\[5pt] \end{eqnarray}などについて、次のような一般的な考察をしてみよう。$p,n$を自然数とする。
(1) $p+1$次多項式$S_p(x)$があって、数列の和$\displaystyle \sum_{k=1}^n k^p$が$S_p(n)$と表されることを示せ。
(2) qを自然数とする。(1)の多項式$S_1(x),S_3(x),\cdots,S_{2q-1}(x)$に対して、\[ \sum_{j=1}^q a_j S_{2j-1}(x) = x^q(x+1)^q \]が恒等式となるような定数$a_1,\cdots ,a_q$をqを用いて表せ。
(3) qを2以上の自然数とする。(1)の多項式$S_2(x),S_4(x),\cdots,S_{2q-2}(x)$に対して、\[ \sum_{j=1}^{q-1} b_j S_{2j}(x) = x^{q-1}(x+1)^{q-1}(cx+q) \]が恒等式となるような定数cと$b_1,\cdots ,b_{q-1}$をqを用いて表せ。
(4) pを3以上の奇数とする。このとき、\[ \frac{d}{dx}S_p(x)=pS_{p-1}(x) \]を示せ。
【考え方】
時間内に正解にたどり着くことを想定しているのか。そんな疑問が出るくらい、難しくて計算力の必要な問題です。
(1)はべき乗の和の公式の導き方を知っていれば、それを応用することができます。3乗の和の公式を導くときに、教科書などに方法は載っているはずですが、これを覚えていなければ手を付けることは難しいでしょう。
(2)(3)は、恒等式なので両辺の係数を比較するのが常套手段です。ただ、計算が大変です。特に(3)は時間内で正解にたどり着くのは相当難しいです。
(4)は、(2)(3)を使うのが見え見えです。(2)と(3)の答えを見比べるとどう使えばいいかはわかるでしょう。(4)も計算が必要ですが、(3)が解ける人には(4)は楽な問題です。
解答編
【問題】
数列の和の公式
\begin{eqnarray} & & \sum_{k=1}^n k =\frac{1}{2}n(n+1) \ , \\[5pt] & & \sum_{k=1}^n k^2 =\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) \ , \\[5pt] & & \sum_{k=1}^n k^3 =\left\{\frac{1}{2}n(n+1)\right\}^2 \\[5pt] \end{eqnarray}などについて、次のような一般的な考察をしてみよう。$p,n$を自然数とする。
(1) $p+1$次多項式$S_p(x)$があって、数列の和$\displaystyle \sum_{k=1}^n k^p$が$S_p(n)$と表されることを示せ。
【解答】
(1)
$p=1$のときは、$S_1(x)=\frac{1}{2}(x^2+x)$とすればよい。
mを2以上の自然数とし、題意を満たす$S_1(x),\cdots,S_{m-1}(x)$が存在したとする。
自然数kについて、二項定理から
\begin{eqnarray}
(k+1)^{m+1}
&=&
\sum_{i=0}^{m+1} {}_{m+1}\mathrm{ C }_i k^i \\[5pt]
&=&
k^{m+1} +(m+1)k^m + 1 +\sum_{i=1}^{m-1} {}_{m+1}\mathrm{ C }_i k^i \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立つから、
\begin{eqnarray}
k^m
&=&
\frac{1}{m+1}\left\{ (k+1)^{m+1} -k^{m+1} -1 -\sum_{i=1}^{m-1} {}_{m+1}\mathrm{ C }_i k^i \right\} \ \cdots (A)
\end{eqnarray}が成り立つ。
ここで、
\begin{eqnarray}
\sum_{k=1}^n \{ (k+1)^{m+1} -k^{m+1} \} = (n+1)^{m+1} -1
\end{eqnarray}であり、
\begin{eqnarray}
\sum_{k=1}^n \sum_{i=1}^{m-1} {}_{m+1}\mathrm{ C }_i k^i
&=&
\sum_{i=1}^{m-1} \sum_{k=1}^n {}_{m+1}\mathrm{ C }_i k^i \\[5pt]
&=&
\sum_{i=1}^{m-1} {}_{m+1}\mathrm{ C }_i \sum_{k=1}^n k^i \\[5pt]
&=&
\sum_{i=1}^{m-1} {}_{m+1}\mathrm{ C }_i S_i(n) \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立つ。
よって、(A)で$k=1$から$k=n$まで足し合わせると、
\begin{eqnarray}
\sum_{k=1}^n k^m
&=&
\frac{1}{m+1}\left\{ (n+1)^{m+1} -1 -n -\sum_{i=1}^{m-1} {}_{m+1}\mathrm{ C }_i S_i(n) \right\}
\end{eqnarray}が成り立つ。このことから、
\begin{eqnarray}
S_m(x)
&=&
\frac{1}{m+1}\left\{ (x+1)^{m+1} -1 -x -\sum_{i=1}^{m-1} {}_{m+1}\mathrm{ C }_i S_i(x) \right\}
\end{eqnarray}とすれば、右辺は$m+1$次の多項式なので、$S_m(x)$も$m+1$次多項式であり、$\displaystyle S_m(n) = \sum_{k=1}^n k^m$となる。
よって、数学的帰納法により、任意の自然数pについて、題意を満たす$S_p(x)$が存在することが示された。
【解答終】
【解説】
m乗の和を考えるときに、$m+1$乗を考えています。この方法は、3乗の和の公式を導くときに一般的に使われる方法を応用したものです。3乗の和の公式の導き方は教科書にも載っていますが、この方法をパッと思い出せないとこの問題を解くことは難しいでしょう。
【問題】
(2) qを自然数とする。(1)の多項式$S_1(x),S_3(x),\cdots,S_{2q-1}(x)$に対して、\[ \sum_{j=1}^q a_j S_{2j-1}(x) = x^q(x+1)^q \]が恒等式となるような定数$a_1,\cdots ,a_q$をqを用いて表せ。
【解答】
(2)
多項式$T_p(x)$が(1)の条件を満たすとすると、すべての自然数nについて$S_p(n)=T_p(n)$が成り立つ。$S_p(x)-T_p(x)=0$は高々$p+1$次の方程式なので、これを満たすxが$p+2$個以上あるとすると恒等的に0になるしかない。よって、各pについて、(1)の多項式$S_p(x)$は1つしかない。
(1)の解答中より、
\begin{eqnarray}
S_m(x)
&=&
\frac{1}{m+1}\left\{ (x+1)^{m+1} -1 -x -\sum_{i=1}^{m-1} {}_{m+1}\mathrm{ C }_i S_i(x) \right\}
\end{eqnarray}であり、$S_1(0)=0$と合わせると、すべての自然数mについて$S_m(0)=0$であることがわかる。
\[ \sum_{j=1}^q a_j S_{2j-1}(x) = x^q(x+1)^q \]を(B)と置く。$x=0$のときは両辺は0となり一致する。もしすべての自然数nに対して、(B)の両辺で$x=n$としたものと$x=n-1$としたものの差が一致すれば、数学的帰納法により、すべての自然数nに対して$x=n$としたときに(B)が成り立つことがわかる。(B)の両辺の次数は$2q$なので、両辺が一致するxの値が$2q+1$個以上あれば、(B)は恒等式となる。
以上のことから、(B)の両辺で$x=n$としたものと$x=n-1$としたものの差が一致するような定数$a_1,\cdots ,a_q$を求めればよいことがわかる。
$\displaystyle S_{2j-1}(n) = \sum_{k=1}^n k^{2j-1}$なので、\[ S_{2j-1}(n) -S_{2j-1}(n-1) =n^{2j-1} \]が成り立つ。
また、(B)の右辺で$x=n$のときと$x=n-1$のときの差は\[ n^q(n+1)^q -(n-1)^q n^q = n^q \left\{ (n+1)^q -(n-1)^q \right\} \]となる。
よって、(B)で、$x=n$としたものと$x=n-1$としたものの差は
\begin{eqnarray}
\sum_{j=1}^q a_j n^{2j-1}
&=&
n^q \left\{ (n+1)^q -(n-1)^q \right\} \\[5pt]
&=&
n^q \left\{ \sum_{k=0}^q {}_q\mathrm{ C }_k n^k -\sum_{k=0}^q {}_q\mathrm{ C }_k n^k (-1)^{q-k} \right\} \\[5pt]
&=&
\sum_{k=0}^q {}_q\mathrm{ C }_k n^{k+q} \left\{ 1 -(-1)^{q-k} \right\} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。
これがすべての自然数nに対して成り立つとき、nをxに置き換えれば、xの各次数の係数が等しくなる。よって、上の式のnの各次数の係数を比較すればよい。
右辺にある$\left\{ 1 -(-1)^{q-k} \right\}$は、$q-k$が偶数のときに0、奇数のときに2となる。また、$k+q=(q-k)+2k$なので、$q-k$と$k+q$の偶奇は一致する。
よって、$m=2j$のとき、両辺の$n^m$の係数は0である。
また、$m=2j-1$のとき、左辺の$n^m$の係数は$a_j$となる。右辺は$\sum$の中で$k+q=2j-1$とすればよいので、$2{}_q\mathrm{ C }_{2j-q-1}$となる。ただし、$0\leqq k \leqq q$以外の場合は0である。よって、$n^m$の係数が0にならないようなjの範囲は、$0\leqq 2j-q-1 \leqq q$より$\frac{1+q}{2}\leqq j \leqq \frac{1+2q}{2}$となる。jは整数なので、$\frac{1+q}{2}\leqq j \leqq q$となる。
以上から、
\begin{eqnarray}
a_j
=
\begin{cases}
2 {}_q\mathrm{ C }_{2j-q-1} & (\frac{1+q}{2}\leqq j \leqq q) \\
0 & (上以外)
\end{cases}
\end{eqnarray}が得られる。このとき、すべての自然数nに対して、(B)で$x=n$としたものと$x=n-1$としたものの差が恒等式になるので、(B)も恒等式となる。よって、これが求めるものである。
【解答終】
【解説】
両辺が多項式なので、無限個のxについて両辺が等しくなるなら、両辺は恒等的に等しくなります。上の解答では、このことを用いて、xが自然数のときに、両辺の各係数が等しくなるようにしています。
【問題】
(3) qを2以上の自然数とする。(1)の多項式$S_2(x),S_4(x),\cdots,S_{2q-2}(x)$に対して、\[ \sum_{j=1}^{q-1} b_j S_{2j}(x) = x^{q-1}(x+1)^{q-1}(cx+q) \]が恒等式となるような定数cと$b_1,\cdots ,b_{q-1}$をqを用いて表せ。
【解答】
(3)
\[ \sum_{j=1}^{q-1} b_j S_{2j}(x) = x^{q-1}(x+1)^{q-1}(cx+q) \]を(C)とする。$S_m(0)=0$より、$x=0$のとき両辺は一致する。(2)と同様に、(C)で$x=n$としたものと$x=n-1$としたものとの差を考える。これがすべての自然数nについて一致すれば、(C)は恒等式となる。
(C)で$x=n$としたものと$x=n-1$としたものとの差を計算すると、左辺は次のようになる。
\begin{eqnarray}
\sum_{j=1}^{q-1} b_j S_{2j}(n) -\sum_{j=1}^{q-1} b_j S_{2j}(n-1)
&=&
\sum_{j=1}^{q-1} b_j n^{2j}
\end{eqnarray}
一方、右辺は次のようになる。
\begin{eqnarray}
& &
n^{q-1}(n+1)^{q-1}(cn+q) -(n-1)^{q-1}n^{q-1}(cn-c+q) \\[5pt]
&=&
n^{q-1} \left\{(n+1)^{q-1}(cn+q) -(n-1)^{q-1}(cn-c+q)\right\} \\[5pt]
&=&
n^{q-1} \left\{\sum_{k=0}^{q-1} {}_{q-1}\mathrm{ C }_{k} n^k (cn+q) -\sum_{k=0}^{q-1} {}_{q-1}\mathrm{ C }_{k} n^k (-1)^{q-1-k} (cn-c+q)\right\} \\[5pt]
&=&
\sum_{k=0}^{q-1} \left\{ {}_{q-1}\mathrm{ C }_{k} n^{q+k-1} (cn+q) -{}_{q-1}\mathrm{ C }_{k} n^{q+k-1} (-1)^{q-k-1} (cn-c+q)\right\} \\[5pt]
&=&
\sum_{k=0}^{q-1} {}_{q-1}\mathrm{ C }_{k} n^{q+k} c \{1-(-1)^{q-k-1}\} \\[5pt]
& &
+\sum_{k=0}^{q-1} {}_{q-1}\mathrm{ C }_{k} n^{q+k-1} \{ q-(-1)^{q-k-1} (-c+q) \} \quad \cdots (D) \\[5pt]
\end{eqnarray}
両辺の係数を比較すると、$m=2j-1$のとき、左辺の$n^m$の係数は0である。また、右辺は(D)の一つ目の$\sum$で$q+k=2j-1$とし、2つ目の$\sum$で$q+k-1=2j-1$とすればいいので、
\begin{eqnarray}
& &
{}_{q-1}\mathrm{ C }_{2j-q-1} c \{1-(-1)^{q-(2j-q-1)-1}\} +{}_{q-1}\mathrm{ C }_{2j-q} \{ q-(-1)^{q-(2j-q)-1} (-c+q) \} \\
&=&
{}_{q-1}\mathrm{ C }_{2j-q} \{ q + (-c+q) \} \\
\end{eqnarray}となる。よって、両辺が一致するとき、$c=2q$となる。
また、$m=2j$のとき、左辺の$n^m$の係数は$b_j$である。右辺は(D)の一つ目の$\sum$で$q+k=2j$とし、2つ目の$\sum$で$q+k-1=2j$とすればよく、両方の係数が0でない場合は、
\begin{eqnarray}
& &
{}_{q-1}\mathrm{ C }_{2j-q} c \{1-(-1)^{q-(2j-q)-1}\}
+{}_{q-1}\mathrm{ C }_{2j-q+1} \{ q-(-1)^{q-(2j-q+1)-1} (-c+q) \} \\[5pt]
&=&
{}_{q-1}\mathrm{ C }_{2j-q} \cdot 2c
+{}_{q-1}\mathrm{ C }_{2j-q+1} \{ q-(-c+q) \} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。ここで、$c=2q$を代入すると
\begin{eqnarray}
& &
4q{}_{q-1}\mathrm{ C }_{2j-q} + 2q{}_{q-1}\mathrm{ C }_{2j-q+1} \\[5pt]
&=&
4q\frac{(q-1)!}{(2j-q)!(2q-2j-1)!} + 2q\frac{(q-1)!}{(2j-q+1)!(2q-2j-2)!} \\[5pt]
&=&
\frac{ 4(2j-q+1) +2(2q-2j-1) }{(2j-q+1)!(2q-2j-1)!} q! \\[5pt]
&=&
( 4j+2 ) {}_{q}\mathrm{ C }_{2j-q+1} \quad \cdots (E) \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。
なお、(D)の$\sum$の中のkは、$0\leqq k\leqq q-1$を満たす。よって、(D)の一つ目の$\sum$で係数が0でないのは、$0\leqq 2j-q\leqq q-1$、つまり$\frac{q}{2}\leqq j \leqq \frac{2q-1}{2}$のときとなる。また、(D)の二つ目の$\sum$では$0\leqq 2j-q+1\leqq q-1$、つまり$\frac{q-1}{2}\leqq j \leqq q-1$のときとなる。
rを整数として$q=2r$と書けるとき、係数が0でないためのjに関する条件は、ともに$r\leqq j \leqq 2r-1$となるので、$b_j$は(E)と一致する。
$q=2r-1$と書けるとき、係数が0でないためのjに関する条件は、それぞれ$r\leqq j \leqq 2r-1$と$r-1\leqq j \leqq 2r-1$になる。よって、$q=2r-1$で、$r\leqq j \leqq 2r-1$のときは、$b_j$は(E)と一致する。
$q=2r-1$で、$j=r-1$のとき(D)の$n^m$の係数は
\begin{eqnarray}
& &
2q {}_{q-1}\mathrm{ C }_{2j-q+1} \\[5pt]
&=&
2(2r-1) {}_{2r-2}\mathrm{ C }_{2(r-1)-(2r-1)+1} \\[5pt]
&=&
2(2r-1) {}_{2r-2}\mathrm{ C }_0 \\[5pt]
&=&
4r-2 \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。また、このときの(E)は
\begin{eqnarray}
& &
( 4j+2 ) {}_{q}\mathrm{ C }_{2j-q+1} \\[5pt]
&=&
\{ 4(r-1)+2 \} {}_{2r-1}\mathrm{ C }_{2(r-1)-(2r-1)+1} \\[5pt]
&=&
(4r-2) {}_{2r-1}\mathrm{ C }_0 \\[5pt]
&=&
4r-2 \\[5pt]
\end{eqnarray}となるから、結局このときも$b_j$は(E)と一致する。
以上から、
\begin{eqnarray}
& & c=2q \\
& & b_j
=
\begin{cases}
( 4j+2 ) {}_{q}\mathrm{ C }_{2j-q+1} & (\frac{q-1}{2}\leqq j \leqq q-1) \\
0 & (上以外)
\end{cases}
\end{eqnarray}とすれば、(C)は恒等式となるので、これが求めるものとなる。
【解答終】
【解説】
発想としては(2)と同じですが、右辺の形が複雑になったため、計算量が一気に増えています。
qの偶奇によって状況が少し変わることにも注意して計算していく必要があります。(E)で2つの二項係数を1つにまとめていますが、この式変形は次の(4)で必要になります。この式変形をしないと、(2)の$a_j$との関係を使うことができません。
【問題】
(4) pを3以上の奇数とする。このとき、\[ \frac{d}{dx}S_p(x)=pS_{p-1}(x) \]を示せ。
【解答】
(4)
$p=3$のとき、$S_3(x)=\frac{1}{4}(x^4+2x^3+x^2)$、$S_2(x)=\frac{1}{6}(2x^3+3x^2+x)$なので、
\begin{eqnarray}
\frac{d}{dx}S_3(x)
&=&
\frac{4x^3+6x^2+2x}{4} \\[5pt]
&=&
\frac{2x^3+3x^2+x}{2} \\[5pt]
&=&
3S_2(x)
\end{eqnarray}が成り立つ。
mを2以上の自然数とし、$p=3,\cdots.2m-1$に対して\[ \frac{d}{dx}S_p(x)=pS_{p-1}(x) \]が成り立つとする。このとき、$p=2m+1$に対してもこれが成り立つことを示す。
(2)より、\[ \sum_{j=1}^q a_j S_{2j-1}(x) = x^q(x+1)^q \]がすべての自然数qに対して成り立つので、$q=m+1$として両辺を微分すると
\begin{eqnarray}
\sum_{j=1}^{m+1} a_j \frac{ dS_{2j-1} }{dx}
&=&
\frac{ d }{dx} \{ x^{m+1}(x+1)^{m+1} \} \\
&=&
(m+1) x^m(x+1)^{m+1} +(m+1) x^{m+1}(x+1)^m \\
&=&
(m+1) x^m (x+1)^m \{ (x+1)+x \} \\
&=&
(m+1) x^m (x+1)^m (2x+1) \quad \cdots (F)\\
\end{eqnarray}となる。また、(3)で$q=m+1$とすると、右辺は\[ x^{q-1}(x+1)^{q-1}(2qx+q) = (m+1) x^m (x+1)^m (2x+1) \]なので、(F)の右辺と一致する。よって、(3)の左辺と(F)の左辺は一致するから、
\begin{eqnarray}
\sum_{j=1}^{m} b_j S_{2j}(x)
&=&
\sum_{j=1}^{m+1} a_{j} \frac{ dS_{2j-1} }{dx} \\
&=&
a_1 \frac{ dS_1 }{dx} + \sum_{j=1}^{m} a_{j+1} \frac{ dS_{2j+1} }{dx} \quad \cdots (G)
\end{eqnarray}が成り立つ。今考えている範囲では$q\gt 1$であり、(2)より$j\lt \frac{1+q}{2}$のときは$a_j=0$なので、$a_1=0$、つまり(G)の右辺の第1項は0である。
さらに、仮定より$1\leqq j \leqq m-1$のとき、$\displaystyle \frac{ dS_{2j+1} }{dx} = (2j+1) S_{2j}(x)$であり、(2)(3)から、$(2j+1)a_{j+1}=b_j$なので、(G)より
\begin{eqnarray}
\sum_{j=1}^{m} a_{j+1} \frac{ dS_{2j+1} }{dx}
&=&
\sum_{j=1}^{m} (2j+1)a_{j+1} S_{2j}(x)
\\[5pt]
a_{m+1} \frac{ dS_{2m+1} }{dx}
+\sum_{j=1}^{m-1} (2j+1)a_{j+1} S_{2j}{dx}
&=&
\sum_{j=1}^{m} (2j+1)a_{j+1} S_{2j}(x)
\\[5pt]
a_{m+1} \frac{ dS_{2m+1} }{dx}
&=&
(2m+1)a_{m+1} S_{2m}(x)
\\[5pt]
\frac{ dS_{2m+1} }{dx}
&=&
(2m+1) S_{2m}(x)
\end{eqnarray}となり、$p=2m+1$に対しても成り立つ。
以上から、数学的帰納法により、3以上の奇数pに対して\[ \frac{d}{dx}S_p(x)=pS_{p-1}(x) \]が成り立つことが示された。
【解答終】
【解説】
(2)を微分したものと(3)との共通部分を見比べれば、与式を示すためにどう使えばいいかはわかるでしょう。ただ、そのためには、(2)とうまく結びつくように、(3)を変形しておく必要があります。