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東京大学 文系 2025年度 第1問 解説

問題編

問題

 $a$ を正の実数とする。座標平面において、放物線 $C: y = x^2$ 上の点 $\mathrm{P} (a, a^2)$ における $C$ の接線と直交し、$\mathrm{P}$ を通る直線を $\ell$ とおく。 $\ell$ と $C$ の交点のうち、$\mathrm{P}$ と異なる点を $\mathrm{Q}$ とおく。

(1) $\mathrm{Q}$ の $x$ 座標を求めよ。

 $\mathrm{Q}$ における $C$ の接線と直交し、 $\mathrm{Q}$ を通る直線を $m$ とおく。 $m$ と $C$ の交点のうち、$\mathrm{Q}$ と異なる点を $\mathrm{R}$ とおく。

(2) $a$ がすべての正の実数を動くとき、$\mathrm{R}$ の $x$ 座標の最小値を求めよ。

考え方

$\mathrm{P}$ から $\mathrm{Q}$ を考えるのと、 $\mathrm{Q}$ から $\mathrm{R}$ を考えるのは、まったく同じ流れです。この流れをうまく利用しましょう。

(2)で最小値を考えるときには、ある値以上をとることだけではなくて、その値そのものをとることがあるかまで確認しないといけない点に注意しましょう。


解答編

問題

 $a$ を正の実数とする。座標平面において、放物線 $C: y = x^2$ 上の点 $\mathrm{P} (a, a^2)$ における $C$ の接線と直交し、$\mathrm{P}$ を通る直線を $\ell$ とおく。 $\ell$ と $C$ の交点のうち、$\mathrm{P}$ と異なる点を $\mathrm{Q}$ とおく。

(1) $\mathrm{Q}$ の $x$ 座標を求めよ。

解答

(1)
放物線 $C$ の点 $\mathrm{P}$ における接線の傾きは $2a$ なので、 $\ell$ の傾きは $-\dfrac{1}{2a}$ である。よって、直線 $\ell$ の方程式は\[ y=-\dfrac{1}{2a}(x-a)+a^2 \]となる。これと $C$ との交点の $x$ 座標は
\begin{eqnarray} x^2+\dfrac{1}{2a}(x-a)-a^2 &=& 0 \\[5pt] x^2+\dfrac{1}{2a}x-\frac{1}{2}-a^2 &=& 0 \\[5pt] (x-a)\left(x+a+\dfrac{1}{2a}\right) &=& 0 \\[5pt] x &=& a,-a-\frac{1}{2a} \\[5pt] \end{eqnarray}である。よって、 $\mathrm{Q}$ の $x$ 座標は、 $-a-\dfrac{1}{2a}$ …(答)

解答編 つづき

問題

(2) $a$ がすべての正の実数を動くとき、$\mathrm{R}$ の $x$ 座標の最小値を求めよ。

解答

(2)
$b=-a-\dfrac{1}{2a}$ とすると、(1)と同様にすれば、 $\mathrm{R}$ の $x$ 座標は $-b-\dfrac{1}{2b}$ と書ける。

相加平均・相乗平均の関係より、\[ a+\dfrac{1}{2a}\geqq 2\sqrt{a\cdot\frac{1}{2a}}=\sqrt{2} \]が成り立つ(等号は $a=\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ のときに成り立つ)。 $a$ を大きくすれば $a+\dfrac{1}{2a}$ はいくらでも大きくできるので、 $b$ は $-\sqrt{2}$ 以下のすべての実数値をとりうる。

よって、 $b\leqq -\sqrt{2}$ のときに $-b-\dfrac{1}{2b}$ の最小値を求めればよい。 $c=-b$ とすれば、 $c\geqq \sqrt{2}$ のときに $c+\dfrac{1}{2c}$ の最小値を求めればいいことがわかる。。ここで、相加平均・相乗平均の関係より
\begin{eqnarray} c+\dfrac{1}{2c} &=& \dfrac{3}{4}c+\dfrac{1}{4}c+\dfrac{1}{2c} \\[5pt] & \geqq & \dfrac{3}{4}\sqrt{2} +2\sqrt{\dfrac{1}{4}c\cdot\frac{1}{2c}} \\[5pt] &=& \dfrac{3}{4}\sqrt{2} +\dfrac{1}{\sqrt{2}} \\[5pt] &=& \dfrac{5}{4}\sqrt{2} \end{eqnarray}

が成り立つ。等号は $c=\sqrt{2}$ のときに成り立つ。(このとき、 $\dfrac{1}{4}c=\dfrac{1}{2c}$ が成り立つ)。よって、求める最小値は $\dfrac{5}{4}\sqrt{2}$ …(答)

解説

$\mathrm{P}$ から $\mathrm{Q}$ を考えるのと、 $\mathrm{Q}$ から $\mathrm{R}$ を考えるのは、まったく同じ流れです。この流れを使えば、 $\mathrm{R}$ の $x$ 座標も $a$ を使って表すことができるのですが、そうしてしまうと複雑な式が出てくるだけで、その先に進めなくなってしまいます。

上の解答では、 $c+\dfrac{1}{2c}$ の最小値を考えるときに、相加平均・相乗平均の関係を使っています。 $c$ のとりうる範囲は正の実数全体ではなく $\sqrt{2}$ 以上の部分なので、\[ c+\dfrac{1}{2c}\geqq 2\sqrt{\frac{1}{2}} \]としても意味がありません。この等号が成立するのは $c=\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ のときですが、これは今考えている範囲 $c\geqq \sqrt{2}$ の外にあるからです。

そこで、ちょっとテクニカルな変形をして、相加平均・相乗平均の関係を使っています。等号が $c=\sqrt{2}$ のときに成立してほしいという気持ちと、 $\dfrac{1}{2c}$ は変形しにくいのでそのまま使いたいという気持ちをもとに考えると、 $\dfrac{1}{4}c=\dfrac{1}{2c}$ という関係式を使えばよさそうです。上の解答では、これを利用しています。

上の方法以外にも、\[ c+\dfrac{1}{2c}=t \]とおいて、 $\sqrt{2}$ 以上の解をもつような $t$ の範囲を考える、という方法もあります(こっちのほうが大変だけど一般的な方法です)。

なお、理系であれば、微分するという手もあります。

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