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東京大学 文系 2024年度 第1問 解説

問題編

問題

 座標平面上で、放物線 $C: ax^2+bx+c$ が2点 $\mathrm{P}(\cos\theta,\sin\theta)$, $\mathrm{Q}(-\cos\theta,\sin\theta)$ を通り、点 $\mathrm{P}$ と点 $\mathrm{Q}$ のそれぞれにおいて円 $x^2+y^x=1$ と共通の接線を持っている。ただし、 $0^{\circ}\lt \theta\lt 90^{\circ}$ とする。

(1) $a,b,c$ を $s=\sin\theta$ を用いて表せ。

(2) 放物線 $C$ と $x$ 軸で囲まれた図形の面積 $A$ を $s$ を用いて表せ。

(3) $A\geqq \sqrt{3}$ を示せ。

考え方

(1)は、放物線の接線の傾きは微分で、円の接線の傾きは図形的な性質から求めます。(3)は微分をして最小値を考えるか、不等式を変形していくことになります。考えにくければ、 $s^2$ を別の文字において考えてもいいかもしれません。


解答編

問題

 座標平面上で、放物線 $C: ax^2+bx+c$ が2点 $\mathrm{P}(\cos\theta,\sin\theta)$, $\mathrm{Q}(-\cos\theta,\sin\theta)$ を通り、点 $\mathrm{P}$ と点 $\mathrm{Q}$ のそれぞれにおいて円 $x^2+y^x=1$ と共通の接線を持っている。ただし、 $0^{\circ}\lt \theta\lt 90^{\circ}$ とする。

(1) $a,b,c$ を $s=\sin\theta$ を用いて表せ。

解答

(1)
$\mathrm{OP}$ の傾きは $\tan\theta$ なので、この点における円の接線の傾きは $-\dfrac{1}{\tan\theta}$ である。同様に、点 $\mathrm{Q}$ における円の接線の傾きは $\dfrac{1}{\tan\theta}$ である。

$y=ax^2+bx+c$ について、 $y'=2ax+b$ なので、点 $\mathrm{P,Q}$ における放物線 $C$ の接線の傾きは、それぞれ $2a\cos\theta+b$, $-2a\cos\theta+b$ となる。共通の接線を持つという条件から
\begin{eqnarray} 2a\cos\theta+b &=& -\frac{1}{\tan\theta} \\[5pt] -2a\cos\theta+b &=& \frac{1}{\tan\theta} \\[5pt] \end{eqnarray}の2つの式が成り立つ。辺々足して、 $b=0$ が得られる。また \begin{eqnarray} 2a\cos\theta &=& -\frac{1}{\tan\theta} =-\frac{\cos\theta}{\sin\theta} \\[5pt] a &=& -\frac{1}{2s} \\[5pt] \end{eqnarray}が得られる。

点 $\mathrm{P}$ は放物線上の点だから
\begin{eqnarray} a(\cos\theta)^2+b\cos\theta+c &=& \sin\theta \\[5pt] -\frac{1}{2s}\cos^2\theta+c &=& s \\[5pt] \end{eqnarray}となる。相互関係より、 $\cos^2\theta=1-s^2$ なので、 \begin{eqnarray} c &=& s+\frac{1-s^2}{2s} \\[5pt] &=& \frac{2s^2+1-s^2}{2s} \\[5pt] &=& \frac{s^2+1}{2s} \\[5pt] \end{eqnarray}となる。

よって、 $a=-\dfrac{1}{2s}$, $b=0$, $c=\dfrac{s^2+1}{2s}$ …(答)

解答編 つづき

問題

(2) 放物線 $C$ と $x$ 軸で囲まれた図形の面積 $A$ を $s$ を用いて表せ。

解答

(2)
放物線 $C$ と $x$ 軸との交点の $x$ 座標は
\begin{eqnarray} ax^2+bx+c &=& 0 \\[5pt] -\dfrac{1}{2s}x^2+\dfrac{s^2+1}{2s} &=& 0 \\[5pt] x^2-(s^2+1) &=& 0 \\[5pt] x &=& \pm\sqrt{s^2+1} \\[5pt] \end{eqnarray}となる。 $\alpha=\sqrt{s^2+1}$ とおく。 $x^2$ の係数は負なので、 $-\alpha\lt x\lt \alpha$ では $ax^2+bx+c$ は正なので、面積 $A$ は \begin{eqnarray} A &=& \int_{-\alpha}^{\alpha} (ax^2+bx+c) dx \\[5pt] &=& \frac{1}{2s} \int_{-\alpha}^{\alpha} (-x^2+s^2+1) dx \\[5pt] &=& \frac{1}{s} \int_0^{\alpha} (-x^2+s^2+1) dx \\[5pt] &=& \frac{1}{s} \left[-\frac{x^3}{3}+(s^2+1)x\right]_0^{\alpha} \\[5pt] &=& \frac{1}{s} \left(-\frac{\alpha^3}{3}+(s^2+1)\alpha\right) \\[5pt] \end{eqnarray}となる。ここで、 $\alpha=\sqrt{s^2+1}$ なので \begin{eqnarray} A &=& \frac{1}{s} \left(-\frac{\alpha^3}{3}+\alpha^2\cdot \alpha\right) \\[5pt] &=& \frac{1}{s} \cdot \frac{2\alpha^3}{3} \\[5pt] &=& \frac{2(s^2+1)^{\frac{3}{2}}}{3s} \\[5pt] \end{eqnarray}となる。(答)

解答編 つづき

問題

(3) $A\geqq \sqrt{3}$ を示せ。

解答

(3)
\begin{eqnarray} & & A \geqq \sqrt{3} \\[5pt] & \iff & \frac{2(s^2+1)^{\frac{3}{2}}}{3s} \geqq \sqrt{3} \\[5pt] & \iff & \frac{4(s^2+1)^3}{9s^2} \geqq 3 \\[5pt] & \iff & 4(s^2+1)^3 \geqq 3\cdot 9s^2 \\[5pt] & \iff & 4s^6+12s^4+12s^2+4 \geqq 27s^2 \\[5pt] & \iff & 4s^6+12s^4-15s^2+4 \geqq 0 \\[5pt] & \iff & (2s^2-1)(2s^4+7s^2-4) \geqq 0 \\[5pt] & \iff & (2s^2-1)^2(s^2+4) \geqq 0 \\[5pt] \end{eqnarray}となる。ここで、最後の不等式が成り立つので、 $A\geqq \sqrt{3}$ が成り立つ。(終)

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