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共通テスト 数学II・数学B 2024年度 第4問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【第3問~第5問から2問選択】

問題編

問題

(1) 数列 $\{a_n\}$ が\[ a_{n+1}-a_n=14 \quad(n=1,2,3,\cdots) \]を満たすとする。

 $a_1=10$ のとき、 $a_2=\myBox{アイ}$, $a_3=\myBox{ウエ}$ である。

 数列 $\{a_n\}$ の一般項は、初項 $a_1$ を用いて\[ a_n=a_1+\myBox{オカ}(n-1) \]と表すことができる。

(2) 数列 $\{b_n\}$ が\[ 2b_{n+1}-b_n+3=0 \quad(n=1,2,3,\cdots) \]を満たすとする。

 数列 $\{b_n\}$ の一般項は、初項 $b_1$ を用いて\[ b_n=\left(b_1+\myBox{キ}\right) \left(\frac{\myBox{ク}}{\myBox{ケ}}\right)^{n-1}-\myBox{コ} \]と表すことができる。

(3) 太郎さんは\[ (c_n+3)(2c_{n+1}-c_n+3)=0 \ (n=1,2,3,\cdots)\ \cdots ① \]を満たす数列 $\{c_n\}$ について調べることにした。

(i)
・数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_1=5$ のとき、 $c_2=\myBox{サ}$ である。
・数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_3=-3$ のとき、 $c_2=\myBox{シス}$, $c_1=\myBox{セソ}$ である。

(ii) 太郎さんは、数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_3=-3$ となる場合について考えている。

 $c_3=-3$ のとき、 $c_4$ がどのような値でも\[ (c_3+3)(2c_4-c_3+3)=0 \]が成り立つ。

・数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_3=-3, c_4=5$ のとき
 $c_1=\mybox{セソ}$, $c_2=\mybox{シス}$, $c_3=-3$, $c_4=5$, $c_5=\myBox{タ}$
である。

・数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_3=-3, c_4=83$ のとき
 $c_1=\mybox{セソ}$, $c_2=\mybox{シス}$, $c_3=-3$, $c_4=83$, $c_5=\myBox{チツ}$
である。

(iii) 太郎さんは(i)と(ii)から、 $c_n=-3$ となることがあるかどうかに着目し、次の命題Aが成り立つのではないかと考えた。

命題A 数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_1\ne -3$ であるとする。このとき、すべての自然数 $n$ について $c_n\ne -3$ である。

 命題Aが真であることを証明するには、命題Aの過程を満たす数列 $\{c_n\}$ について、 $\dBox{テ}$ を示せばよい。

 実際、このようにして命題Aが真であることを証明できる。

 $\dbox{テ}$ について、最も適当なものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つ選べ。

 0: $c_2\ne -3$ かつ $c_3\ne -3$ であること

 1: $c_{100}\ne -3$ かつ $c_{200}\ne -3$ であること

 2: $c_{100}\ne -3$ かつ $c_{101}\ne -3$ であること

 3: $n=k$ のとき $c_n\ne -3$ が成り立つと仮定すると、 $n=k+1$ のときも $c_n\ne -3$ が成り立つこと

 4: $n=k$ のとき $c_n=-3$ が成り立つと仮定すると、 $n=k+1$ のときも $c_n=-3$ が成り立つこと

(iv) 次の (I), (II), (III) は、数列 $\{c_n\}$ に関する命題である。

(I) $c_1=3$ かつ $c_{100}=-3$ であり、かつ①を満たす数列 $\{c_n\}$ がある。

(II) $c_1=-3$ かつ $c_{100}=-3$ であり、かつ①を満たす数列 $\{c_n\}$ がある。

(III) $c_1=-3$ かつ $c_{100}=3$ であり、かつ①を満たす数列 $\{c_n\}$ がある。

 (I), (II), (III)の真偽の組合せとして正しいものは $\dBox{ト}$ である。

 $\dbox{ト}$ の解答群

 0: (I)真 (II)真 (III)真
 1: (I)真 (II)真 (III)偽
 2: (I)真 (II)偽 (III)真
 3: (I)真 (II)偽 (III)偽
 4: (I)偽 (II)真 (III)真
 5: (I)偽 (II)真 (III)偽
 6: (I)偽 (II)偽 (III)真
 7: (I)偽 (II)偽 (III)偽

考え方

(1)(2)は、教科書でも出てくるレベルの問題です。

(3)では特殊な漸化式を考えます。(iii)では証明方法を考える問題です。共通テストでは出ないと思っていた人もいるかもしれませんが、証明についてもおさえておかないといけないということですね。

(3)(iv)は、(iii)で示したことを使って、数列が存在するかどうか、作れるかどうかを考えましょう。


【第3問~第5問から2問選択】

解答編

問題

(1) 数列 $\{a_n\}$ が\[ a_{n+1}-a_n=14 \quad(n=1,2,3,\cdots) \]を満たすとする。

 $a_1=10$ のとき、 $a_2=\myBox{アイ}$, $a_3=\myBox{ウエ}$ である。

 数列 $\{a_n\}$ の一般項は、初項 $a_1$ を用いて\[ a_n=a_1+\myBox{オカ}(n-1) \]と表すことができる。

解説

(1)
数列 $\{a_n\}$ は、公差が $14$ の等差数列なので、初項が $10$ なら $a_2=24$, $a_3=38$ となります。

また、一般項は\[ a_n=a_1+14(n-1) \]とかけます。

解答

アイウエ:2438 (2点)
オカ:14 (2点)

解答編 つづき

問題

(2) 数列 $\{b_n\}$ が\[ 2b_{n+1}-b_n+3=0 \quad(n=1,2,3,\cdots) \]を満たすとする。

 数列 $\{b_n\}$ の一般項は、初項 $b_1$ を用いて\[ b_n=\left(b_1+\myBox{キ}\right) \left(\frac{\myBox{ク}}{\myBox{ケ}}\right)^{n-1}-\myBox{コ} \]と表すことができる。

解説

(2)
$2b_{n+1}-b_n+3=0$ に対し、 $2x-x+3=0$ とすると $x=-3$ なので
\begin{eqnarray} 2(b_{n+1}+3)-(b_n+3)=0 \end{eqnarray}が成り立ちます。これより\[ b_{n+1}+3=\frac{1}{2}(b_n+3) \]なので、数列 $\{b_n+3\}$ は初項が $b_1+3$ で公比が $\dfrac{1}{2}$ の等比数列なので\[ b_n+3=\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}(b_1+3) \]となります。よって、一般項は\[ b_n=(b_1+3)\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}-3 \]と表すことができます。

解答

キクケコ:3123 (3点)

解答編 つづき

問題

(3) 太郎さんは\[ (c_n+3)(2c_{n+1}-c_n+3)=0 \ (n=1,2,3,\cdots)\ \cdots ① \]を満たす数列 $\{c_n\}$ について調べることにした。

(i)
・数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_1=5$ のとき、 $c_2=\myBox{サ}$ である。
・数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_3=-3$ のとき、 $c_2=\myBox{シス}$, $c_1=\myBox{セソ}$ である。

解説

(3)
(i)
$c_1=5$ のとき、漸化式で $n=1$ とすると
\begin{eqnarray} (c_1+3)(2c_2-c_1+3) &=& 0 \\[5pt] 8(2c_2-5+3) &=& 0 \\[5pt] 2c_2 &=& 2 \\[5pt] c_2 &=& 1 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

また、 $c_3=-3$ のとき、漸化式で $n=2$ とすると
\begin{eqnarray} (c_2+3)(2c_3-c_2+3) &=& 0 \\[5pt] (c_2+3)(-6-c_2+3) &=& 0 \\[5pt] (c_2+3)(-c_2-3) &=& 0 \\[5pt] (c_2+3)^2 &=& 0 \\[5pt] c_2 &=& -3 \end{eqnarray}となります。同様に $n=1$ とした式から $c_1=-3$ が得られます。

解答

サ:1 (1点)
シスセソ:-3-3 (2点)

解答編 つづき

問題

(ii) 太郎さんは、数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_3=-3$ となる場合について考えている。

 $c_3=-3$ のとき、 $c_4$ がどのような値でも\[ (c_3+3)(2c_4-c_3+3)=0 \]が成り立つ。

・数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_3=-3, c_4=5$ のとき
 $c_1=\mybox{セソ}$, $c_2=\mybox{シス}$, $c_3=-3$, $c_4=5$, $c_5=\myBox{タ}$
である。

・数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_3=-3, c_4=83$ のとき
 $c_1=\mybox{セソ}$, $c_2=\mybox{シス}$, $c_3=-3$, $c_4=83$, $c_5=\myBox{チツ}$
である。

解説

(ii)
$c_4=5$ のとき、漸化式で $n=4$ とした式は、 $c_1=5$ のときに漸化式で $n=1$ としたときと同様に計算できるので、 $c_5=1$ となります。

$c_4=83$ のとき、漸化式で $n=4$ とした式は、
\begin{eqnarray} (c_4+3)(2c_5-c_4+3) &=& 0 \\[5pt] (83+3)(2c_5-83+3) &=& 0 \\[5pt] 2c_5-80 &=& 0 \\[5pt] c_2 &=& 40 \end{eqnarray}となります。

解答

タ:1
チツ:40

解答編 つづき

問題

(iii) 太郎さんは(i)と(ii)から、 $c_n=-3$ となることがあるかどうかに着目し、次の命題Aが成り立つのではないかと考えた。

命題A 数列 $\{c_n\}$ が①を満たし、 $c_1\ne -3$ であるとする。このとき、すべての自然数 $n$ について $c_n\ne -3$ である。

 命題Aが真であることを証明するには、命題Aの過程を満たす数列 $\{c_n\}$ について、 $\dBox{テ}$ を示せばよい。

 実際、このようにして命題Aが真であることを証明できる。

 $\dbox{テ}$ について、最も適当なものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つ選べ。

 0: $c_2\ne -3$ かつ $c_3\ne -3$ であること

 1: $c_{100}\ne -3$ かつ $c_{200}\ne -3$ であること

 2: $c_{100}\ne -3$ かつ $c_{101}\ne -3$ であること

 3: $n=k$ のとき $c_n\ne -3$ が成り立つと仮定すると、 $n=k+1$ のときも $c_n\ne -3$ が成り立つこと

 4: $n=k$ のとき $c_n=-3$ が成り立つと仮定すると、 $n=k+1$ のときも $c_n=-3$ が成り立つこと

解説

(iii)
命題A:数列 $\{c_n\}$ が ① を満たし、 $c_1\ne -3$ であるとする。このとき、すべての自然数 $n$ について $c_n\ne -3$ である。

上の命題Aを示すには、数学的帰納法を用いて、「 $n=k$ のとき $c_n\ne -3$ が成り立つと仮定すると、 $n=k+1$ のときも $c_n\ne -3$ が成り立つこと」を示せばいいです。

問題文に、「実際、命題Aが真であることを証明できる」とありますが、実際にやってみます。

$c_k\ne -3$ とし、 ① が成り立つとすると、 $2c_{k+1}-c_k+3=0$ が成り立ちます。もし $c_{k+1}=-3$ なら $c_k=-3$ となり、仮定に矛盾するので、たしかに $c_{k+1}\ne-3$ となります。よって、数学的帰納法から、すべての自然数 $n$ について $c_n\ne -3$ となることが示せました。

解答

テ:3 (3点)

解答編 つづき

問題

(iv) 次の (I), (II), (III) は、数列 $\{c_n\}$ に関する命題である。

(I) $c_1=3$ かつ $c_{100}=-3$ であり、かつ①を満たす数列 $\{c_n\}$ がある。

(II) $c_1=-3$ かつ $c_{100}=-3$ であり、かつ①を満たす数列 $\{c_n\}$ がある。

(III) $c_1=-3$ かつ $c_{100}=3$ であり、かつ①を満たす数列 $\{c_n\}$ がある。

 (I), (II), (III)の真偽の組合せとして正しいものは $\dBox{ト}$ である。

 $\dbox{ト}$ の解答群

 0: (I)真 (II)真 (III)真
 1: (I)真 (II)真 (III)偽
 2: (I)真 (II)偽 (III)真
 3: (I)真 (II)偽 (III)偽
 4: (I)偽 (II)真 (III)真
 5: (I)偽 (II)真 (III)偽
 6: (I)偽 (II)偽 (III)真
 7: (I)偽 (II)偽 (III)偽

解説

(iv)
(I) は $c_1\ne -3$ なので、先ほど示したことから、 $c_{100}\ne -3$ です。なので、偽です。

(II) は、 $c_k=-3$ なら $c_{k+1}$ はどんな値でも ① を満たすことから、 $c_1$ 以降、ずっと $-3$ を選び続ければ、 $c_{100}=-3$ とすることもできます。よって真です。

(III) は、 $k=1,2,3\cdots,99$ に対して $c_k=-3$ とすれば、 $c_{100}$ は何を選んでもいいです。なので、 $c_{100}=3$ とすることもできます。よって真です。

解答

ト:4 (4点)

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