2017年11月に実施された、大学入試共通テスト導入に向けたプレテストの問題です。元の資料をできる限り再現していますが、一部でレイアウトが変わっています。画像は、大学入試センターのサイトから取得しています。
【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)
問題編
問題
$\def\myBox#1{\bbox[3px, border:2px solid]{\ \bf{ #1 }\ }}\def\mybox#1{\bbox[4px, border:1px solid gray]{\ #1\ }}$花子さんと太郎さんは、正四面体ABCD の各辺の中点を次の図のようにE, F, G, H, I, J としたときに成り立つ性質について、コンピュータソフトを使いながら、下のように話している。二人の会話を読んで、下の問いに答えよ。
花子:四角形FHJG は平行四辺形に見えるけれど、正方形ではないかな。太郎:4辺の長さが等しいことは、簡単に証明できそうだよ。
(1) 太郎さんは四角形FHJG の4辺の長さが等しいことを、次のように証明した。
【太郎さんの証明】
$\myBox{ア}$ により、四角形FHJG の各辺の長さはいずれも正四面体ABCD の1辺の長さの $\myBox{イ}$ 倍であるから、 4辺の長さが等しくなる。(i) $\myBox{ア}$ に当てはまる最も適当なものを、次の 0~4 のうちから一つ選べ。
0: 中線定理
1: 方べきの定理
2: 三平方の定理
3: 中点連結定理
4: 円周角の定理(ii) $\myBox{イ}$ に当てはまるものを、次の 0~4 のうちから一つ選べ。
0: $2$
1: $\dfrac{3}{4}$
2: $\dfrac{2}{3}$
3: $\dfrac{1}{2}$
4: $\dfrac{1}{3}$
(2) 花子さんは、太郎さんの考えをもとに、正四面体をいろいろな方向から見て、四角形FHJG が正方形であることの証明について、下のような構想をもとに、実際に証明した。
【花子さんの構想】
四角形において、4辺の長さが等しいことは正方形であるための $\myBox{ウ}$ 。さらに、対角線FJ とGH の長さが等しいことがいえれば、四角形FHJG が正方形であることの証明となるので、 $\triangle$ FJC と $\triangle$ GHD が合同であることを示したい。
しかし、この二つの三角形が合同であることの証明は難しいので、別の三角形の組に着目する。【花子さんの証明】
点F、点G はそれぞれAC、AD の中点なので、二つの三角形 $\myBox{エ}$ と $\myBox{オ}$ に着目する。 $\mybox{エ}$ と $\mybox{オ}$ は3辺の長さがそれぞれ等しいので合同である。このとき、 $\mybox{エ}$ と $\mybox{オ}$ は $\myBox{カ}$ で、FとG はそれぞれAC、AD の中点なので、FJ = GH である。
よって、四角形FHJG は、4辺の長さが等しく対角線の長さが等しいので正方形である。(i) $\myBox{ウ}$ に当てはまるものを、次の 0~3 のうちから一つ選べ。
0: 必要条件であるが十分条件でない
1: 十分条件であるが必要条件でない
2: 必要十分条件である
3: 必要条件でも十分条件でもない(ii) $\myBox{エ}$, $\myBox{オ}$ に当てはまるものが、次の 0~5 の中にある。当てはまるものを一つずつ選べ。ただし、 $\mybox{エ}$ と $\mybox{オ}$ の解答の順序は問わない。
0: $\triangle$ AGH
1: $\triangle$ AIB
2: $\triangle$ AJC
3: $\triangle$ AHD
4: $\triangle$ AHC
5: $\triangle$ AJD(iii) $\mybox{カ}$ に当てはまるものを、次の 0~3 のうちから一つ選べ。
0: 正三角形
1: 二等辺三角形
2: 直角三角形
3: 直角二等辺三角形四角形FHJG が正方形であることを証明した太郎さんと花子さんは、さらに、正四面体ABCD において成り立つ他の性質を見いだし、下のように話している。
花子:線分EI と辺CD は垂直に交わるね。太郎:そう見えるだけかもしれないよ。証明できる?
花子: $_{(\mathrm{ a })}$ 辺CD は線分AI ともBI とも垂直だから、 $_{(\mathrm{ b })}$ 線分EI と辺CD は垂直といえるよ。
太郎: そうか……。ということは、$_{(\mathrm{ c })}$ この性質は、四面体ABCD が正四面体でなくても成り立つ場合がありそうだね。
(3) 下線部(a) から下線部(b) を導く過程で用いる性質として正しいものを、次の 0~4 のうちからすべて選べ。 $\myBox{キ}$
0: 平面$\alpha$ 上にある直線l と平面$\alpha$ 上にない直線m が平行ならば、 $\alpha /\!/ m$ である。
1: 平面$\alpha$ 上にある直線l, m が点P で交わっているとき、点P を通り平面$\alpha$ 上にない直線n が直線l, m に垂直ならば、 $\alpha\perp n$ である。
2: 平面$\alpha$ と直線l が点P で交わっているとき、 $\alpha\perp l$ ならば、平面 $\alpha$ 上の点P を通るすべての直線m に対して、 $l\perp m$ である。
3: 平面$\alpha$ 上にある直線l, m がともに平面$\alpha$ 上にない直線n に垂直ならば、 $\alpha\perp n$ である。
4: 平面 $\alpha$ 上に直線l、平面$\beta$ 上に直線m があるとき、 $\alpha\perp \beta$ ならば、 $l\perp m$ である。
(4) 下線部(c) について、太郎さんと花子さんは正四面体でない場合についても考えてみることにした。
四面体ABCD において、AB、CD の中点をそれぞれE、I とするとき、下線部(b) が常に成り立つ条件について、次のように考えた。
太郎さんが考えた条件: AC = AD、BC = BD
花子さんが考えた条件: BC = AD、AC = BD四面体ABCD において、下線部(b) が成り立つ条件について正しく述べているものを、次の 0~3 のうちから一つ選べ。 $\myBox{ク}$
0: 太郎さんが考えた条件、花子さんが考えた条件のどちらにおいても常に成り立つ。
1: 太郎さんが考えた条件では常に成り立つが、花子さんが考えた条件では必ずしも成り立つとは限らない。
2: 太郎さんが考えた条件では必ずしも成り立つとは限らないが、花子さんが考えた条件では常に成り立つ。
3: 太郎さんが考えた条件、花子さんが考えた条件のどちらにおいても必ずしも成り立つとは限らない。
考え方
序盤の雰囲気から見ると簡単そうに感じますが、後半はかなりヘビーです。特に(3)(4)の難易度は高いです。
(3)は、今示そうとしていることが、一般的な言葉でどう表現されるかを考えないといけません。下線部(a)は3つの直線に関することなので、少なくとも3つの直線が出てくるものが関係しているだろう、などと推測してうまくつながるように試行錯誤しましょう。似たような選択肢ばかりで、混乱してきそうです。
(4)は、花子さんの条件をどう考えるかが重要です。下線部(a)は成り立ちませんが、だからといって下線部(b)が成り立たないとはいえません。本当に成り立たないかは、きちんと考える必要があります。