京都大学 文系 2023年度 第5問 解説
問題編
問題
整式 $f(x)$ が恒等式\[ f(x)+\int_{-1}^1 (x-y)^2f(y)dy = 2x^2+x+\dfrac{5}{3} \]を満たすとき、 $f(x)$ を求めよ。
考え方
練習をしたことがないと、初手がわからない問題です。係数を文字で置くか、積分の値を文字で置くか、どちらの方針でも解けるでしょう。計算は少し面倒です。
解答編
問題
整式 $f(x)$ が恒等式\[ f(x)+\int_{-1}^1 (x-y)^2f(y)dy = 2x^2+x+\dfrac{5}{3} \]を満たすとき、 $f(x)$ を求めよ。
解答
まず、
\begin{eqnarray}
& &
\int_{-1}^1 (x-y)^2f(y)dy \\[5pt]
&=&
\int_{-1}^1 (x^2-2xy+y^2)f(y)dy \\[5pt]
&=&
x^2 \int_{-1}^1 f(y)dy
-2x \int_{-1}^1 yf(y)dy
+\int_{-1}^1 y^2f(y)dy
\end{eqnarray}なので、この式の次数は高々2である。よって、\[ f(x)=-\int_{-1}^1 (x-y)^2f(y)dy +2x^2+x+\dfrac{5}{3} \]の右辺の次数は高々2だから、実数 $a,b,c$ を使って、\[ f(x)=ax^2+bx+c \]とおくことができる。
このとき
\begin{eqnarray}
& &
\int_{-1}^1 (x-y)^2f(y)dy \\[5pt]
&=&
x^2 \int_{-1}^1 f(y)dy
-2x \int_{-1}^1 yf(y)dy
+\int_{-1}^1 y^2f(y)dy
\\[5pt]
&=&
x^2 \int_{-1}^1 (ay^2+by+c)dy \\[5pt]
& & -2x \int_{-1}^1 (ay^3+by^2+cy)dy \\[5pt]
& & +\int_{-1}^1 (ay^4+by^3+cy^2)dy \\[5pt]
&=&
x^2 \left[\frac{ay^3}{3}+\frac{by^2}{2}+cy\right]_{-1}^1 \\[5pt]
& & -2x \left[\frac{ay^4}{4}+\frac{by^3}{3}+\frac{cy^2}{2}\right]_{-1}^1 \\[5pt]
& & +\left[\frac{ay^5}{5}+\frac{by^4}{4}+\frac{cy^3}{3}\right]_{-1}^1 \\[5pt]
&=&
x^2 \left(\frac{2a}{3}+2c\right)
-2x \cdot \frac{2b}{3}
+\left(\frac{2a}{5}+\frac{2c}{3}\right) \\[5pt]
&=&
\left(\frac{2a}{3}+2c\right)x^2 -\frac{4b}{3}x +\frac{2a}{5}+\frac{2c}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}だから
\begin{eqnarray}
ax^2+bx+c +\left(\frac{2a}{3}+2c\right)x^2 -\frac{4b}{3}x +\frac{2a}{5}+\frac{2c}{3} &=& 2x^2+x+\frac{5}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。両辺の係数を比較して、次の3つの式が得られる。
\begin{eqnarray}
a+\frac{2a}{3}+2c &=& 2 \\[5pt]
b-\frac{4b}{3} &=& 1 \\[5pt]
c+\frac{2a}{5}+\frac{2c}{3} &=& \frac{5}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}2つ目の式より、 $b=-3$ であることがわかる。1つ目と3つ目の式から $a=0$ と $c=1$ であることがわかる。
以上から、 $f(x)=-3x+1$ …(答)