京都大学 文系 2023年度 第4問 解説
問題編
問題
数列 $\{a_n\}$ は次の条件を満たしている。
\begin{eqnarray} a_1 &=& 3 \\[5pt] a_n &=& \frac{S_n}{n}+(n-1)\cdot 2^n\quad(n=2,3,4,\cdots) \\[5pt] \end{eqnarray}ただし、 $S_n=a_1+a_2+\cdots+a_n$ である、このとき、数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。
考え方
普通は、 $S_n$ を消して $a_n$ だけの式に変形することが多いですが、今の場合は、 $\dfrac{S_n}{n}$ を1つのかたまりと考えて解くこともできます。 $a_n$ の式で表すこともできますが、計算が少し面倒になります。
解答編
問題
数列 $\{a_n\}$ は次の条件を満たしている。
\begin{eqnarray} a_1 &=& 3 \\[5pt] a_n &=& \frac{S_n}{n}+(n-1)\cdot 2^n\quad(n=2,3,4,\cdots) \\[5pt] \end{eqnarray}ただし、 $S_n=a_1+a_2+\cdots+a_n$ である、このとき、数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。
解答
$n=1,2,3,\cdots$ のとき、
\begin{eqnarray}
a_n &=& \frac{S_n}{n}+(n-1)\cdot 2^n \\[5pt]
a_{n+1} &=& \frac{S_{n+1}}{n+1}+n\cdot 2^{n+1}
\end{eqnarray}が成り立つ。 $a_{n+1}=S_{n+1}-S_n$ なので、
\begin{eqnarray}
S_{n+1}-S_n &=& \frac{S_{n+1}}{n+1}+n\cdot 2^{n+1} \\[5pt]
\frac{n}{n+1} S_{n+1}-S_n &=& n\cdot 2^{n+1} \\[5pt]
\frac{S_{n+1}}{n+1} -\frac{S_n}{n} &=& 2^{n+1} \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立つ。よって、 $n\geqq 2$ のとき
\begin{eqnarray}
\frac{S_n}{n} &=& \frac{S_1}{1}+\sum_{k=1}^{n-1} 2^{k+1} \\[5pt]
&=& 3+\frac{4(2^{n-1}-1)}{2-1} \\[5pt]
&=& 3+(2^{n+1}-4) \\[5pt]
&=& 2^{n+1}-1 \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。 $n=1$ のとき、最後の式は $3$ なので、 $n=1$ のときも成り立つ。
このことから
\begin{eqnarray}
a_n &=& \frac{S_n}{n}+(n-1)\cdot 2^n \\[5pt]
&=& 2^{n+1}-1+(n-1)\cdot 2^n \\[5pt]
&=& (n+1)\cdot 2^n-1 \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。(答)
解説
$a_n$ の式で考える場合は次のようになります。まず、初めの式を変形して\[ S_n=na_n-n(n-1)2^n \]とします。 $S_{n+1}-S_n=a_{n+1}$ なので、
\begin{eqnarray}
a_{n+1} &=& (n+1)a_{n+1}-(n+1)n2^{n+1}-na_n+n(n-1)2^n \\[5pt]
0 &=& na_{n+1}-(n+1)n2^{n+1}-na_n+n(n-1)2^n \\[5pt]
0 &=& a_{n+1}-(n+1)2^{n+1}-a_n+(n-1)2^n \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。これより
\begin{eqnarray}
a_{n+1}-a_n &=& (n+1)2^{n+1}-(n-1)2^n \\[5pt]
&=& 2(n+1)2^n-(n-1)2^n \\[5pt]
&=& (n+3)2^n \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。階差がわかったので、等差×等比の和を求めれば、一般項が求められます。