京都大学 文系 2023年度 第1問 解説
問題編
問題
次の各問に答えよ。
問1 $n$ を自然数とする。1個のさいころを $n$ 回投げるとき、出た目の積が $5$ で割り切れる確率を求めよ。
問2 次の式の分母を有理化し、分母に3乗根の記号が含まれない式として表せ。\[ \frac{55}{2\sqrt[3]{9}+\sqrt[3]{3}+5} \]
考え方
問1は、確率の基本的な問題です。
問2は、有理化をするだけの問題ですが、典型的なやり方が通じず、なかなかてこずります。やり方はいろいろあるので、試行錯誤しましょう。
解答編
問題
次の各問に答えよ。
問1 $n$ を自然数とする。1個のさいころを $n$ 回投げるとき、出た目の積が $5$ で割り切れる確率を求めよ。
解答
出た目の積が $5$ で割り切れない確率は、すべての目が $5$ 以外のときであるので、こうなる確率は $\left(\dfrac{5}{6}\right)^n$ である。
よって、出た目の積が $5$ で割り切れる確率は、$1-\left(\dfrac{5}{6}\right)^n$ …(答)
解答編 つづき
問題
問2 次の式の分母を有理化し、分母に3乗根の記号が含まれない式として表せ。\[ \frac{55}{2\sqrt[3]{9}+\sqrt[3]{3}+5} \]
解答
$a=\sqrt[3]{3}$ とすると、 $a^3=3$ である。よって
\begin{eqnarray}
& &
2\sqrt[3]{9}+\sqrt[3]{3}+5 \\[5pt]
&=&
2a^2+a+(2+3) \\[5pt]
&=&
a^3+2a^2+a+2 \\[5pt]
&=&
a^2(a+2)+a+2 \\[5pt]
&=&
(a^2+1)(a+2) \\[5pt]
\end{eqnarray}なので
\begin{eqnarray}
& &
\frac{55}{2\sqrt[3]{9}+\sqrt[3]{3}+5} \\[5pt]
&=&
\frac{55}{(a^2+1)(a+2)} \\[5pt]
&=&
\frac{55(a^4-a^2+1)(a^2-2a+4)}{(a^2+1)(a^4-a^2+1)(a+2)(a^2-2a+4)} \\[5pt]
&=&
\frac{55(3a-a^2+1)(a^2-2a+4)}{(a^6+1)(a^3+8)} \\[5pt]
&=&
\frac{55(3a-a^2+1)(a^2-2a+4)}{10\cdot 11} \\[5pt]
&=&
\frac{1}{2}(-a^2+3a+1)(a^2-2a+4) \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。 $(-a^2+3a+1)(a^2-2a+4)$ を展開すると
\begin{eqnarray}
& -a^4 & +2a^3 & -4a^2 & & \\
& & +3a^3 & -6a^2 & +12a & \\
& & & + a^2 & -2a & +4 \\
&=-a^4 & +5a^3 & -9a^2 & +10a & +4 \\
&=-3a & +15 & -9a^2 & +10a & +4 \\
&=-9a^2 & +7a & +19 & & \\
\end{eqnarray}となるので
\begin{eqnarray}
& &
2\sqrt[3]{9}+2\sqrt[3]{3}+5 \\[5pt]
&=&
\frac{1}{2}(-a^2+3a+1)(a^2-2a+4) \\[5pt]
&=&
\frac{1}{2}(-9a^2 +7a +19) \\[5pt]
&=&
\frac{1}{2}(-9\sqrt[3]{9} +7\sqrt[3]{3} +19) \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。(答)