京都大学 文系 2022年度 第3問 解説
問題編
問題
$xy$ 平面上の2直線 $L_1, L_2$ は直交し、交点の $x$ 座標は $\dfrac{3}{2}$ である。また、 $L_1,L_2$ はともに曲線 $C:y=\dfrac{x^2}{4}$ に接している。このとき、 $L_1,L_2$ および $C$ で囲まれる図形の面積を求めよ。
考え方
まずは、接線の方程式を求めましょう。2つの接線が $x=\dfrac{3}{2}$ のところで交わっている、ととらえると考えやすくなるかもしれません。
解答編
問題
$xy$ 平面上の2直線 $L_1, L_2$ は直交し、交点の $x$ 座標は $\dfrac{3}{2}$ である。また、 $L_1,L_2$ はともに曲線 $C:y=\dfrac{x^2}{4}$ に接している。このとき、 $L_1,L_2$ および $C$ で囲まれる図形の面積を求めよ。
解答
$L_1,L_2$ と $C$ との接点の $x$ 座標をそれぞれ $p,q$ とおく。
$y=\dfrac{x^2}{4}$ に接することから、 $L_1,L_2$ の傾きはそれぞれ $\dfrac{p}{2}$, $\dfrac{q}{2}$ となる。2直線は直交するので、傾きの積が $-1$ だから、 $p\ne 0$ であり、 $q=-\dfrac{4}{p}$ となることがわかる。
このことから、 $L_1$ の接線の方程式は
\begin{eqnarray}
y &=& \frac{p}{2}(x-p) +\frac{p^2}{4} \\[5pt]
&=& \frac{p}{2}x-\frac{p^2}{4} \\[5pt]
\end{eqnarray}となり、 $L_2$ の接線の方程式は
\begin{eqnarray}
y &=& \frac{q}{2}x-\frac{q^2}{4} \\[5pt]
&=& -\frac{2}{p}x-\frac{4}{p^2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となることがわかる。この2直線の交点の $x$ 座標が $\dfrac{3}{2}$ であり、ここでの $y$ 座標が一致することから
\begin{eqnarray}
\frac{p}{2} \cdot \frac{3}{2}-\frac{p^2}{4} &=& -\frac{2}{p}\cdot\frac{3}{2}-\frac{4}{p^2} \\[5pt]
\frac{3p}{4}-\frac{p^2}{4} &=& -\frac{3}{p}-\frac{4}{p^2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。両辺に $4p^2$ を掛けて整理すると
\begin{eqnarray}
p^4-3p^3-12p-16 &=& 0 \\[5pt]
(p+1)(p^3-4p^2+4p-16) &=& 0 \\[5pt]
(p+1)(p-4)(p^2+4) &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}となることから、 $p=-1,4$ となる。 $q=-\dfrac{4}{p}$ より、 $p,q$ のうち、片方が $-1$ でもう片方が $4$ であることがわかる。
2直線 $L_1,L_2$ の方程式は、これらを代入して $y=-\dfrac{1}{2}x-\dfrac{1}{4}$ と $y=2x-4$ だとわかる。対応する接線の $x$ 座標はそれぞれ $-1, 4$ であり、2直線は放物線より上にあることはないから、面積は次のように求めることができる。
\begin{eqnarray}
& &
\int_{-1}^{3/2} \left(\frac{1}{4}x^2+\frac{1}{2}x+\frac{1}{4}\right) dx
+\int_{3/2}^{4} \left(\frac{1}{4}x^2-2x+4\right) dx \\[5pt]
&=&
\int_{-1}^{4} \frac{1}{4}x^2 dx
+\int_{-1}^{3/2} \left(\frac{1}{2}x+\frac{1}{4}\right) dx
+\int_{3/2}^{4} \left(-2x+4\right) dx \\[5pt]
&=&
\left[ \frac{x^3}{12} \right]_{-1}^{4}
+\left[ \frac{x^2}{4}+\frac{x}{4} \right]_{-1}^{3/2}
+\left[ -x^2+4x \right]_{3/2}^{4} \\[5pt]
&=&
\frac{64+1}{12}
+\frac{1}{4} \left(\frac{9}{4}+\frac{3}{2}-1+1\right)
-16+16+\frac{9}{4}-6 \\[5pt]
&=&
\frac{65}{12}
+\frac{1}{4} \cdot \frac{15}{4}
-\frac{15}{4} \\[5pt]
&=&
\frac{65}{12}-\frac{45}{16} \\[5pt]
&=&
\frac{260-135}{48}=\frac{125}{48} \\[5pt]
\end{eqnarray}よって、求める面積は $\dfrac{125}{48}$ (答)
解説
交点から出発して、「この点を通る直線が曲線 $C$ に接する」という方法では考えづらいでしょう。接点のほうが情報が多いので、接点をメインにしていろいろ考えていくようにした方がいいです。上の解答では、接点から接線、交点と考えていき、接点の $x$ 座標を求める、という流れで解いています。
後半は少し計算が大変ですが、計算間違いに注意しましょう。理系の範囲の内容を使えばもう少し積分の計算を簡略化できますが、文系の場合は上のように愚直に計算していくことになります。