京都大学 文系 2016年度 第4問 解説
問題編
【問題】
四面体$\mathrm{ OABC }$が次の条件をみたすならば、それは正四面体であることを示せ。
条件:頂点A、B、Cからそれぞれの対面を含む平面へ下ろした垂線は対面の重心を通る。ただし、四面体にある頂点の対面とは、その頂点を除く他の3つの頂点がなす三角形のことをいう。
【考え方】
重心や垂直を表現するにはベクトルが使いやすいので、ベクトルを使って条件を書いていきます。すべての長さが等しくなることを目指して変形していきます。
(2016/2/28 追記:当初「重心」のところを「外心」と読み間違っていましたので、訂正しました。)
解答編
【問題】
四面体$\mathrm{ OABC }$が次の条件をみたすならば、それは正四面体であることを示せ。
条件:頂点A、B、Cからそれぞれの対面を含む平面へ下ろした垂線は対面の重心を通る。ただし、四面体にある頂点の対面とは、その頂点を除く他の3つの頂点がなす三角形のことをいう。
【解答】
$\overrightarrow{ \mathrm{ OA } }=\vec{ a }$、$\overrightarrow{ \mathrm{ OB } }=\vec{ b }$、$\overrightarrow{ \mathrm{ OC } }=\vec{ c }$とおき、三角形OBCの重心を$\mathrm{ G_A }$とおく。
このとき、$\overrightarrow{ \mathrm{ OG_A } }=\frac{1}{3}(\vec{ b }+\vec{ c })$なので、\[\overrightarrow{ \mathrm{ AG_A } }=\frac{1}{3}(\vec{ b }+\vec{ c }-3\vec{ a })\]となる。条件より、これは$\vec{ b }$と垂直なので、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{3}(\vec{ b }+\vec{ c }-3\vec{ a })\cdot \vec{ b }&=&0 \\
|\vec{ b }|^2+\vec{ c }\cdot \vec{ b }-3\vec{ a }\cdot \vec{ b }&=&0 \quad \cdots (1)
\end{eqnarray}が成り立つ。また、$\vec{ c }$とも垂直なので、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{3}(\vec{ b }+\vec{ c }-3\vec{ a })\cdot \vec{ c }&=&0 \\
\vec{ b }\cdot \vec{ c }+|\vec{ c }|^2-3\vec{ a }\cdot \vec{ c }&=&0 \quad \cdots (2)
\end{eqnarray}も成り立つ。
三角形OCA、三角形OABに対しても同様にすると
\begin{eqnarray}
|\vec{ c }|^2+\vec{ a }\cdot \vec{ c }-3\vec{ b }\cdot \vec{ c }&=&0 \quad \cdots (3) \\
\vec{ c }\cdot \vec{ a }+|\vec{ a }|^2-3\vec{ b }\cdot \vec{ a }&=&0 \quad \cdots (4) \\
|\vec{ a }|^2+\vec{ b }\cdot \vec{ a }-3\vec{ c }\cdot \vec{ a }&=&0 \quad \cdots (5) \\
\vec{ a }\cdot \vec{ b }+|\vec{ b }|^2-3\vec{ c }\cdot \vec{ b }&=&0 \quad \cdots (6)
\end{eqnarray}が成り立つ。
(2)-(3)、(4)-(5)、(6)-(1)から、
\begin{eqnarray}
\vec{ b }\cdot \vec{ c } &=& \vec{ a }\cdot \vec{ c } \\
\vec{ c }\cdot \vec{ a } &=& \vec{ b }\cdot \vec{ a } \\
\vec{ a }\cdot \vec{ b } &=& \vec{ c }\cdot \vec{ b }
\end{eqnarray}が成り立つ。
これらを(1)(3)(5)に代入すると、\[|\vec{ a }|^2=|\vec{ b }|^2=|\vec{ c }|^2=2\vec{ a }\cdot \vec{ b }\]であることがわかる。よって、OAとOBとOCの長さは等しい。
また、$\vec{ a }\cdot \vec{ b }=\frac{1}{2}|\vec{ a }||\vec{ b }|$なので、$\angle\mathrm{ AOB }$は60度であり、三角形OABは正三角形であることがわかる。同様に三角形OBCと三角形OCAも正三角形。
以上から、四面体OABCのすべての辺の長さが等しいので、正四面体となる。
【解答終】
【解説】