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センター試験 数学II・数学B 2014年度追試 第5問 解説

【選択問題】(第3問~第6問から2問選択)

問題編

問題

 $\def\myBox#1{\bbox[3px, border:2px solid]{\ \bf{ #1 }\ } }\def\mybox#1{\bbox[4px, border:1px solid gray]{\ #1\ } }$ある自動車の4月21日から4月30日までの毎日の走行距離とガソリンの消費量を調べたところ、次のデータが得られた。ただし、表の数値はすべて正確な値であり、四捨五入されていないものとする。

日付走行距離
(km)
消費量
(リットル)
4月21日18.01.2
4月22日17.01.1
4月23日17.51.4
4月24日20.01.3
4月25日19.51.2
4月26日19.01.5
4月27日18.01.0
4月28日19.51.3
4月29日20.51.7
4月30日21.01.3
平均値 $\mathsf{A}$ 1.30
分散 1.60 $\mathsf{B}$
 以下、小数の形で解答する場合、指定された桁数の一つ下の桁を四捨五入し、解答せよ。途中で割り切れた場合、指定された桁まで 0 にマークすること。

(1) この自動車の4月21日から4月30日までの走行距離の平均値 $\mathsf{A}$ は $\myBox{アイ}.\myBox{ウエ}$ km である。また、ガソリンの消費量の分散 $\mathsf{B}$ の値は $\myBox{オ}.\myBox{カキク}$ であり、中央値は $\myBox{ケ}.\myBox{コサ}$ リットルである。

(2) 走行距離とガソリンの消費量の相関図(散布図)として適切なものは $\myBox{シ}$ であり、相関係数の値は $\myBox{ス}.\myBox{セソタ}$ である。ただし、 $\myBox{シ}$ については、当てはまるものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。

(3) さらに、同じ自動車について、5月1日から5月6日までの毎日の走行距離とガソリンの消費量を調べたところ、次のデータが得られた。ただし、表の数値はすべて正確な値であり、四捨五入されていないものとする。

日付走行距離
(km)
消費量
(リットル)
5月1日20.51.6
5月2日25.51.8
5月3日22.01.3
5月4日22.51.8
5月5日20.51.6
5月6日27.02.1
平均値 23.00 1.70
分散 6.00 0.060

 5月1日から5月6日までの6日間の走行距離とガソリンの消費量の相関係数の値は0.750である。また、4月21日から5月6日までの16日間の走行距離とガソリンの消費量の相関係数の値を r とする。16日間の相関図を考えることにより、 $\myBox{チ}$ である。 $\myBox{チ}$ にあてはまるものを、次の 0 から 6 のうちから一つ選べ。

 0: $r\lt -1$
 1: $r=-1$
 2: $-1 \lt r \lt 0$
 3: $r=0$
 4: $0 \lt r \lt 1$
 5: $r=1$
 6: $r\gt 1$

 次に、この自動車の4月21日から5月6日までの16日間の走行距離の平均値と分散の値について考えよう。16日間の平均値を M とするとき、 M は $\myBox{ツテ}.\myBox{トナ}$ kmである。
 4月21日から4月30日までの走行距離を順に $x_1, x_2, \cdots, x_{10}$ とおき、これらの平均値を m、分散の値を $s^2$ とする。また\[ T=(x_1-M)^2+(x_2-M)^2+\cdots+(x_{10}-M)^2 \]を考える。 k を 1 から 10 までの自然数として $(x_k-M)^2$ は
\begin{eqnarray} (x_k-M)^2 &=& \{ (x_k-m)+(m-M) \}^2 \\ &=& (x_k-m)^2+2(x_k-m)(m-M)+(m-M)^2 \\ \end{eqnarray}と変形できるから\[ T=\myBox{ニ} \]と表すことができる。 $\myBox{ニ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。

 0: $10s^2 +10(m-M)^2$
 1: $20s^2 +10(m-M)^2$
 2: $10s^2 +20(m-M)^2$
 3: $20s^2 +20(m-M)^2$

したがって、 $T=\myBox{ヌネ}.\myBox{ノハ}$ である。さらに、5月1日から5月6日までの走行距離についても、同様の計算を行うことにより、16日間の走行距離の分散の値は $\myBox{ヒ}.\myBox{フヘ}$ であることが導かれる。

考え方

(1)は定義に基づいて計算するだけです。(2)の散布図は、違う点を探して比較しましょう。相関係数は少し計算が面倒ですが、地道に求めるしかありません。(3)は散布図がどういう形になるかを考えて答えましょう。計算は必要ありません。

ここまでは基本的で簡単な問題が続きますが、最後の16日間の分散の箇所だけ少し難易度が上がります。 T の式を変形する部分は、ヒントにある変形式の各項の和がどうなるかを考えましょう。また、 $s^2$ が分散なので、代入するときに間違って2乗をしないようにしましょう。


【選択問題】(第3問~第6問から2問選択)

解答編

問題

 $\def\myBox#1{\bbox[3px, border:2px solid]{\ \bf{ #1 }\ } }\def\mybox#1{\bbox[4px, border:1px solid gray]{\ #1\ } }$ある自動車の4月21日から4月30日までの毎日の走行距離とガソリンの消費量を調べたところ、次のデータが得られた。ただし、表の数値はすべて正確な値であり、四捨五入されていないものとする。

日付走行距離
(km)
消費量
(リットル)
4月21日18.01.2
4月22日17.01.1
4月23日17.51.4
4月24日20.01.3
4月25日19.51.2
4月26日19.01.5
4月27日18.01.0
4月28日19.51.3
4月29日20.51.7
4月30日21.01.3
平均値 $\mathsf{A}$ 1.30
分散 1.60 $\mathsf{B}$
 以下、小数の形で解答する場合、指定された桁数の一つ下の桁を四捨五入し、解答せよ。途中で割り切れた場合、指定された桁まで 0 にマークすること。

(1) この自動車の4月21日から4月30日までの走行距離の平均値 $\mathsf{A}$ は $\myBox{アイ}.\myBox{ウエ}$ km である。また、ガソリンの消費量の分散 $\mathsf{B}$ の値は $\myBox{オ}.\myBox{カキク}$ であり、中央値は $\myBox{ケ}.\myBox{コサ}$ リットルである。

解説

走行距離の平均値を求めます。仮平均を18とすると、この仮平均からの差を足し合わせたものは
\begin{eqnarray} & & 0 +(-1 )+(-0.5) +2 +1.5 \\ & & +1 +0 +1.5 +2.5 +3 \\ &=& 10 \\ \end{eqnarray}となるので、平均値は\[ 18+\frac{10}{10}=19.00 \]となります。

ガソリンの消費量の分散を求めるために、各値の平均値との差の2乗の和を計算します。
\begin{eqnarray} & & (-0.1)^2 +(-0.2)^2 +0.1^2 +0^2 +(-0.1)^2 \\ & & +0.2^2 +(-0.3)^2 +0^2 +0.4^2 +0^2 \\ &=& 0.01 +0.04 +0.01 +0.01 +0.04 +0.09 +0.16 \\ &=& 0.36 \\ \end{eqnarray}となります。これを個数10でわったものが分散なので、分散は\[ \frac{0.36}{10}=0.036 \]となります。

ガソリン消費量の中央値を求めるには、まず値を小さい順に並べます。
\begin{eqnarray} 1.0, \ 1.1, \ 1.2, \ 1.2, \ 1.3, \ 1.3, \ 1.3, \ 1.4, \ 1.5, \ 1.7 \end{eqnarray}となります。データの数が10個なので、5番目と6番目の平均が中央値となります。よって\[ \frac{1.3+1.3}{2}=1.30 \]となります。

解答

アイウエ:1900
オカキク:0036
ケコサ:130

参考

解答編 つづき

問題

(2) 走行距離とガソリンの消費量の相関図(散布図)として適切なものは $\myBox{シ}$ であり、相関係数の値は $\myBox{ス}.\myBox{セソタ}$ である。ただし、 $\myBox{シ}$ については、当てはまるものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。

解説

散布図は、各選択肢を比べて違う点を探し、消去法で考えていきましょう。

散布図の左側から順番に見ていくと、走行距離が18kmの点で違いがあります。表を見ると、消費量は1.2と1.0なので、1と3の選択肢は間違っていることがわかります。

次に、0と2で違う点を探しましょう。すると、走行距離19kmの点で違いがあります。消費量は1.5なので、0ではないことがわかります。

以上から、2と求められます。

相関係数は、共分散をそれぞれの標準偏差で割ったものです。標準偏差は分散の平方根なので、表とオカキクの結果からわかります。共分散を求めましょう。

共分散は、偏差(平均からの差)の積を足して、個数で割ったものです。偏差の積は次のようになります。

日付走行距離
偏差
消費量
偏差
偏差の積
4月21日-1-0.10.1
4月22日-2-0.20.4
4月23日-1.50.1-0.15
4月24日100
4月25日0.5-0.1-0.05
4月26日00.20
4月27日-1-0.30.3
4月28日0.500
4月29日1.50.40.6
4月30日200
以上から、偏差の積を足したものを、個数10で割ると
\begin{eqnarray} & & \frac{0.1 +0.4 -0.15 +0 -0.05 +0 +0.3 +0 +0.6 +0}{10} &=& \frac{1.2}{10} &=& 0.12 \end{eqnarray}となります。これが共分散の値です。これから、相関係数は \begin{eqnarray} \frac{0.12}{\sqrt{1.6}\sqrt{0.036} } &=& \frac{12}{\sqrt{16}\sqrt{36} } \\[5pt] &=& \frac{12}{24} \\[5pt] &=& 0.500 \end{eqnarray}と求められます。

解答

シ:2
スセソタ:0500

参考

解答編 つづき

問題

(3) さらに、同じ自動車について、5月1日から5月6日までの毎日の走行距離とガソリンの消費量を調べたところ、次のデータが得られた。ただし、表の数値はすべて正確な値であり、四捨五入されていないものとする。

日付走行距離
(km)
消費量
(リットル)
5月1日20.51.6
5月2日25.51.8
5月3日22.01.3
5月4日22.51.8
5月5日20.51.6
5月6日27.02.1
平均値 23.00 1.70
分散 6.00 0.060

 5月1日から5月6日までの6日間の走行距離とガソリンの消費量の相関係数の値は0.750である。また、4月21日から5月6日までの16日間の走行距離とガソリンの消費量の相関係数の値を r とする。16日間の相関図を考えることにより、 $\myBox{チ}$ である。 $\myBox{チ}$ にあてはまるものを、次の 0 から 6 のうちから一つ選べ。

 0: $r\lt -1$
 1: $r=-1$
 2: $-1 \lt r \lt 0$
 3: $r=0$
 4: $0 \lt r \lt 1$
 5: $r=1$
 6: $r\gt 1$

解説

4月21日から30日までのデータでは相関係数が正であり、5月1日から6日までのデータでも相関係数が正です。どちらも、散布図が右肩上がり、というデータなので、これらを混ぜても、やはり散布図は右肩上がりとなります。よって、選択肢の4か5にしぼられます。

選択肢5は、散布図で見たときに、各点が一直線上にないといけませんが、今のデータではそんなことは起こりません。4月21日から30日までの散布図を見るとわかります。以上から、16日間の相関係数は $0\lt r \lt 1$ となります。

なお、相関係数の絶対値は1以下なので、選択肢の0や6は絶対に起こりません。

解答

チ:4

参考

解答編 つづき

問題

 次に、この自動車の4月21日から5月6日までの16日間の走行距離の平均値と分散の値について考えよう。16日間の平均値を M とするとき、 M は $\myBox{ツテ}.\myBox{トナ}$ kmである。

解説

16日間の走行距離の平均値を求めるには、16日間の走行距離の和を16で割れば求められます。

前半10日間の走行距離の和は、平均値に10を掛ければ求められます。また、後半6日間の走行距離の和は、平均値に6を掛ければ求められます。よって、16日間の走行距離の平均値は、
\begin{eqnarray} \frac{19\times 10 + 23\times 6}{16} &=& \frac{328}{16} \\[5pt] &=& 20.50 \end{eqnarray}と求められます。

解答

ツテトナ:2050

参考

解答編 つづき

問題

 4月21日から4月30日までの走行距離を順に $x_1, x_2, \cdots, x_{10}$ とおき、これらの平均値を m、分散の値を $s^2$ とする。また\[ T=(x_1-M)^2+(x_2-M)^2+\cdots+(x_{10}-M)^2 \]を考える。 k を 1 から 10 までの自然数として $(x_k-M)^2$ は
\begin{eqnarray} (x_k-M)^2 &=& \{ (x_k-m)+(m-M) \}^2 \\ &=& (x_k-m)^2+2(x_k-m)(m-M)+(m-M)^2 \\ \end{eqnarray}と変形できるから\[ T=\myBox{ニ} \]と表すことができる。 $\myBox{ニ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。

 0: $10s^2 +10(m-M)^2$
 1: $20s^2 +10(m-M)^2$
 2: $10s^2 +20(m-M)^2$
 3: $20s^2 +20(m-M)^2$

したがって、 $T=\myBox{ヌネ}.\myBox{ノハ}$ である。さらに、5月1日から5月6日までの走行距離についても、同様の計算を行うことにより、16日間の走行距離の分散の値は $\myBox{ヒ}.\myBox{フヘ}$ であることが導かれる。

解説

文章中にある式\[ (x_k-M)^2 = (x_k-m)^2+2(x_k-m)(m-M)+(m-M)^2 \]で、左辺を $k=1$ から $k=10$ まで足したものが T となります。このとき、右辺がどうなるか考えてみましょう。

まず、1項目は\[ (x_1-m)^2+(x_2-m)^2+\cdots+(x_{10}-m)^2 \]となります。これを個数10で割ったものが分散になるので、この値は $10s^2$ となります。

2項目は
\begin{eqnarray} & & 2(x_1-m)(m-M)+2(x_2-m)(m-M)+\cdots+2(x_{10}-m)(m-M) \\ &=& 2(m-M)\{ (x_1-m)+(x_2-m)+\cdots+(x_{10}-m)\} \\ &=& 2(m-M)\{ x_1+x_2+\cdots+x_{10} -10m\} \\ \end{eqnarray}となります。 m は平均なので、波かっこの中は $0$ となるため、2項目は $0$ になることがわかります。

3項目は $(m-M)^2$ を10回足すことになるので $10(m-M)^2$ となります。

以上から\[ T=10s^2+10(m-M)^2 \]が成り立つことがわかります。

$s^2$ は分散なので $6$, $m$ は10日間の平均なので $19$, $M$ は16日間の平均なので $20.5$ だから、これらを代入して
\begin{eqnarray} T &=& 10 \times 1.6 +10(19-20.5)^2 \\ &=& 16 +22.5 \\ &=& 38.50 \\ \end{eqnarray}と求められます。

同様に考えると、5月1日から6日までの走行距離について、偏差の2乗の和を計算した結果は
\begin{eqnarray} & & 6 \times 6 +6(23-20.5)^2 \\ &=& 36 +37.5 \\ &=& 73.5 \\ \end{eqnarray}となります。

よって、16日間の走行距離の分散の値は
\begin{eqnarray} \frac{38.5+73.5}{16} = \frac{112}{16} = 7.00 \end{eqnarray}と求められます。

解答

ニ:0
ヌネノハ:3850
ヒフヘ:700

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