センター試験 数学I・数学A 2014年度 第1問 [2] 解説
問題編
問題
集合 U を $U=\{n\mid n$ は $5\lt\sqrt{n}\lt6$ を満たす自然数 $\}$ で定め、また、 U の部分集合 P, Q, R, S を次のように定める。
$P=\{n \mid n\in U$ かつ n は $4$ の倍数 $\}$
$Q=\{n \mid n\in U$ かつ n は $5$ の倍数 $\}$
$R=\{n \mid n\in U$ かつ n は $6$ の倍数 $\}$
$S=\{n \mid n\in U$ かつ n は $7$ の倍数 $\}$全体集合を U とする。集合 P の補集合を $\overline{P}$ で表し、同様に $Q,R,S$ の補集合をそれぞれ $\overline{Q},\overline{R},\overline{S}$ で表す。
(1) U の要素の個数は[タチ]個である。
(2) 次の 0 ~ 4 で与えられた集合のうち、空集合であるものは[ツ]、[テ]である。
[ツ]、[テ]に当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つずつ選べ。ただし、[ツ]、[テ]の解答の順序は問わない。
0: $P\cap R$
1: $P\cap S$
2: $Q\cap R$
3: $P\cap \overline{Q}$
4: $R\cap \overline{Q}$(3) 集合 X が集合 Y の部分集合であるとき、 $X\subset Y$ と表す。このとき、次の 0 ~ 4 のうち、部分集合の関係について成り立つものは[ト]、[ナ]である。
[ト]、[ナ]に当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つずつ選べ。ただし、[ト]、[ナ]の解答の順序は問わない。
0: $P\cup R \subset \overline{Q}$
1: $S\cap \overline{Q} \subset P$
2: $\overline{Q}\cap \overline{S} \subset \overline{P}$
3: $\overline{P}\cup \overline{Q} \subset \overline{S}$
4: $\overline{R}\cap \overline{S} \subset \overline{Q}$
考え方
これは、面倒ですが、要素を書き出して考えるしかありません。といっても、個数は少ないのでそんなに大変な作業ではないです。
(3)の後半は、ド・モルガンの法則を使って考えたほうがいいでしょう。
各選択肢の要素を1つ1つチェックしていかないといけないので、間違えずに慎重に解いていきましょう。
解答編
問題
集合 U を $U=\{n\mid n$ は $5\lt\sqrt{n}\lt6$ を満たす自然数 $\}$ で定め、また、 U の部分集合 P, Q, R, S を次のように定める。
$P=\{n \mid n\in U$ かつ n は $4$ の倍数 $\}$
$Q=\{n \mid n\in U$ かつ n は $5$ の倍数 $\}$
$R=\{n \mid n\in U$ かつ n は $6$ の倍数 $\}$
$S=\{n \mid n\in U$ かつ n は $7$ の倍数 $\}$全体集合を U とする。集合 P の補集合を $\overline{P}$ で表し、同様に $Q,R,S$ の補集合をそれぞれ $\overline{Q},\overline{R},\overline{S}$ で表す。
(1) U の要素の個数は[タチ]個である。
解説
$5\lt\sqrt{n}\lt6$ という条件は $25\lt n\lt 36$ という条件と同値です。なので、 n は $26$ から $35$ までの整数なので、 U の個数は、10個となります。
解答
タチ:10
解答編 つづき
問題
(2) 次の 0 ~ 4 で与えられた集合のうち、空集合であるものは[ツ]、[テ]である。
[ツ]、[テ]に当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つずつ選べ。ただし、[ツ]、[テ]の解答の順序は問わない。
0: $P\cap R$
1: $P\cap S$
2: $Q\cap R$
3: $P\cap \overline{Q}$
4: $R\cap \overline{Q}$
解説
U の要素は、 $26$ から $35$ までの整数なので、それぞれの集合は次のように書けます。$P=\{ 28,32 \}$
$Q=\{ 30,35 \}$
$R=\{ 30 \}$
$S=\{ 28,35 \}$
これから、 $P\cap R$ は空集合であることが分かります。また、 $P\cap S=\{ 28 \}$ 、$Q\cap R=\{ 30 \}$ なので、これらは空集合ではありません。
また、 $\overline{Q}=\{ 26,27,28,29,31,32,33,34 \}$ なので、 $P\cap \overline{Q}=\{ 28,32 \}$ です。 $R\cap \overline{Q}$ は空集合になります。
解答
ツテ:0,4参考
解答編 つづき
問題
(3) 集合 X が集合 Y の部分集合であるとき、 $X\subset Y$ と表す。このとき、次の 0 ~ 4 のうち、部分集合の関係について成り立つものは[ト]、[ナ]である。
[ト]、[ナ]に当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つずつ選べ。ただし、[ト]、[ナ]の解答の順序は問わない。
0: $P\cup R \subset \overline{Q}$
1: $S\cap \overline{Q} \subset P$
2: $\overline{Q}\cap \overline{S} \subset \overline{P}$
3: $\overline{P}\cup \overline{Q} \subset \overline{S}$
4: $\overline{R}\cap \overline{S} \subset \overline{Q}$
解説
$P=\{ 28,32 \}$, $Q=\{ 30,35 \}$, $R=\{ 30 \}$, $S=\{ 28,35 \}$ を踏まえて、個別に見ていきます。なお、 $\cup$ が「または」、 $\cap$ が「かつ」の意味です。
0: $P\cup R \subset \overline{Q}$
$P\cup R=\{28,30,32\}$ です。 $30$ が $P\cup R$ の要素なのに、 $\overline{Q}$ の要素ではないので、これは成り立ちません。
1: $S\cap \overline{Q} \subset P$
$S\cap \overline{Q}=\{ 28 \}$ であり、これは $P$ に含まれます。なので、これは成り立ちます。
2: $\overline{Q}\cap \overline{S} \subset \overline{P}$
これは、ド・モルガンの法則を使って変形した方がいいですね(参考:【標準】ド・モルガンの法則(集合))。ド・モルガンの法則から、この関係は、次と同じ内容になります。\[ Q \cup S \supset P \]しかし、 $Q\cup S=\{ 28,30,35 \}$ であり、 $32$ という要素が入っていないので、これは成り立ちません。
3: $\overline{P}\cup \overline{Q} \subset \overline{S}$
これも、ド・モルガンの法則を使って、次のように変形します。\[ P \cap Q \supset S \]$P\cap Q$ は空集合なので、これは成り立ちません。
4: $\overline{R}\cap \overline{S} \subset \overline{Q}$
ド・モルガンの法則から、次のように変形できます。\[ R \cup S \supset Q \]$R\cup S=\{28,30,35\}$ であり、 $Q=\{30,35\}$ なので、これは成り立ちます。
以上から、1と4が成り立つことが分かります。