【応用】少なくとも1つがある値になることを示す問題

ここでは、「少なくとも1つの変数がある値になること」を示す問題を考えます。等式の証明ではなさそうですが、等式の証明として解けることがあります。

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少なくとも1つがある値になること

例題
$x+y+z=\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}=1$ のとき、 x, y, z のうち1つは $1$ であることを示しなさい。

まず、単純にやるなら、 $x+y+z=1$ から、文字を減らそうかな、と考えるのが自然です。この式から\[ z=1-x-y \]が得られます。

もう1つの条件式を変形すると
\begin{eqnarray}
\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z} &=& 1 \\[5pt] yz+zx+xy &=& xyz \\[5pt] (x+y-xy)z+xy &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。ここに、上の式 $z=1-x-y$ を代入すると
\begin{eqnarray}
(x+y-xy)(1-x-y)+xy &=& 0 \\[5pt] x+y-xy -x^2-xy+x^2y -xy-y^2+xy^2 +xy &=& 0 \\[5pt] x+y-2xy -x^2+x^2y -y^2+xy^2 &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。最後は、 $xy$ だけ少し計算しました。

続いてこれを因数分解していきます。まず x の降べきの順にして因数分解をします。
\begin{eqnarray}
(y-1)x^2 +(y^2-2y+1)x +(-y^2+y) &=& 0 \\[5pt] (y-1)x^2 +(y-1)^2x -y(y-1) &=& 0 \\[5pt] (y-1)\{ x^2 +(y-1)x -y \} &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。次に波かっこの中を y の降べきの順にして因数分解をします。
\begin{eqnarray}
(y-1)\{ (x-1)y +x^2-x \} &=& 0 \\[5pt] (y-1)\{ (x-1)y +x(x-1) \} &=& 0 \\[5pt] (y-1)(x-1)(y+x) &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。因数分解に慣れていないと、なかなか計算が大変ですね。

最後の結果から、 $x-1=0$ または $y-1=0$ または $x+y=0$ のどれかが成り立つことがわかります。もし $x+y=0$ なら、 $x+y+z=1$ という条件式から $z=1$ が得られます。そのため、結局、 x, y, z のどれか1つは $1$ になることがわかります。

これで、示したいことが示せました。

少なくとも1つがある値になること別解

上のように解いてもいいのですが、別の切り口で考えてみましょう。

上の解き方では、2つの条件式を組み合わせて因数分解をしていき、\[ (y-1)(x-1)(y+x) = 0 \]という式を導きました。これから、「 $x-1=0$ または $y-1=0$ または $x+y=0$ のどれかが成り立つ」ことがわかるのでしたね。

上の解答では、この「 $abc=0$ だから、どれか1つは0だ」という論法を一番最後で使いましたが、一番最初から使うという発想で考え直してみましょう。

上の例題で示したかったことは、「 $x=1$ または $y=1$ または $z=1$ 」が成り立つことです。これは、上の論法の逆にあたる次の式\[ (x-1)(y-1)(z-1)=0 \]が成り立つことと同じですね。なので、上の例題を示したければ、この等式が成り立つことを示せればいいんですね。

この方法は、必ずうまくいくという保証はないですが、スッキリ解けるケースもあります。上の式を示そうという方針で、左辺を展開していくと
\begin{eqnarray}
& &
(x-1)(y-1)(z-1) \\[5pt] &=&
(xy-x-y+1)(z-1) \\[5pt] &=&
xyz -xz -yz +z \\
& & -xy+x+y-1 \\[5pt] &=&
xyz -(xy+yz+zx) \\
& & +(x+y+z)-1 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。条件式から、 $x+y+z=1$ が成り立ちます。また、 $\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}=1$ から、 $xy+yz+zx=xyz$ が得られます。なので、最後の式は $0$ であることが示せました。

$(x-1)(y-1)(z-1)=0$ なので、 x, y, z のどれか1つは $1$ であることがわかります。これで証明終わりです。

1つ目の解き方と比べれば、因数分解がないため、だいぶ計算が楽です。しかし、「 $x=1$ または $y=1$ または $z=1$ 」と聞いて、「 $(x-1)(y-1)(z-1)=0$ を示せばいいんだ」と気付くのは至難の業ですね。

おわりに

ここでは、「少なくとも1つがある値を持つことを示す」問題を考えました。式で書かれていない条件を式で書いて示すのはとても難しいですが、難関大学の入試なら出題されることもあります。