なかけんの数学ノート

【応用】すべてがある値になることを示す問題

ここでは、「すべての変数がある値になること」を示す問題を考えます。

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すべてがある値になること

例題
$x+y+z=xy+yz+za=3$ のとき、 x, y, z はすべて $1$ になることを示しなさい。

【応用】少なくとも1つがある値になることを示す問題では、「 x, y, z の少なくとも1つが $1$ である」ことを示すために、\[ (x-1)(y-1)(z-1)=0 \]を示しました。こうすることで、考えやすくなりましたね。

このように、日本語の条件を式で書く方法を、この例題で使うとどうなるでしょうか。値が1つに決まる条件を、式で表現するとどうなるでしょう

これは、考えてもなかなか思いつかないので、結論を書いてしまいますが「 $a^2=0$ なら $a=0$ 」ということを応用します。2乗してゼロなら、その値はゼロだと確定します。なので、「2乗してゼロ」という式を使えば、「値が1つに決まる」ことを表現できるようになります。

今の場合、0ではなくて1だと言いたいので、次の式が示すことができれば、結論を示せます。\[ (x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2=0 \]これを満たすなら、 $x,y,z$ はすべて $1$ でないといけませんからね。

これを示すという方針で、左辺を展開すると、次のようになります。
\begin{eqnarray}
& &
(x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2 \\[5pt]
&=&
x^2+y^2+z^2 -2(x+y+z)+3 \\[5pt]
&=&
x^2+y^2+z^2 -3 \\[5pt]
\end{eqnarray}最後は、1つ目の条件を使いました。

問題は、 $x^2+y^2+z^2$ の部分です。条件式を見ると、直接使えるものはありませんが、 $x+y+z$ を2乗すれば、必要なパーツが出てくることがわかります。また、そのときに出てくる不要な部分は、もう1つの条件を使うことができますね。これらより、
\begin{eqnarray}
& &
(x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2 \\[5pt]
&=&
x^2+y^2+z^2 -3 \\[5pt]
&=&
(x+y+z)^2 -2(xy+yz+zx) -3 \\[5pt]
&=&
3^2 -2\times 3 -3 \\[5pt]
&=&
0
\end{eqnarray}が得られます。よって、 $x,y,z$ はいずれも $1$ であることが示せました。

日本語の条件を式で表現する方法は、知らない状態で思いつくことはかなり難しいです。これを機会に覚えておきましょう。

もしも直接示すなら

この問題を、真正面から解くのはかなりやっかいです。「すべて $1$ 」という条件を式で書かずに解いてみると、以下のようになります。

2つの条件式 $x+y+z=3$ と $xy+yz+zx=3$ に分けて考えます。普通の発想ならば、1つ目の条件式から、文字を減らして考えよう、と出発するでしょう。これより\[ z=3-x-y \]が得られます。

これを2つ目の条件式に代入して
\begin{eqnarray}
xy+z(x+y) &=& 3\\[5pt]
xy+(3-x-y)(x+y) &=& 3\\[5pt]
xy+3x+3y -x^2-xy -xy-y^2 &=& 3\\[5pt]
3x+3y -x^2 -xy-y^2 &=& 3\\[5pt]
x^2 +(y-3)x +y^2-3y+3 &=& 0\\[5pt]
\end{eqnarray}となります。

これは、もう因数分解することはできません。そこで、左辺を平方完成をしてみましょう。
\begin{eqnarray}
& &
x^2 +(y-3)x +y^2-3y+3 \\[5pt]
&=&
\left(x +\frac{y-3}{2}\right)^2 -\frac{y^2-6y+9}{4}+y^2-3y+3 \\[5pt]
&=&
\left(x +\frac{y-3}{2}\right)^2 +\frac{3y^2-6y+3}{4} \\[5pt]
&=&
\left(x +\frac{y-3}{2}\right)^2 +\frac{3(y-1)^2}{4} \\[5pt]
\end{eqnarray}このようになります。これが $0$ になることから、まず後半部分は $0$ でないといけません。なので、 $y=1$ が得られます。また、前半部分より\[ x+\frac{y-3}{2}=0 \]だから、 $x=1$ も得られます。 $x+y+z=3$ だから $z=1$ も得られます。よって、すべて $1$ になることがわかります。

ただ、後半で使った、平方完成をするという発想はなかなか出てきません。文字を減らす発想で考えても、ゴールまでたどり着くのは相当難しいでしょう。

もう少し簡単に直接示すなら

「途中で平方完成するなんて絶対思いつかないよ!」という人もいるでしょう。書いておいてこんなことを言うのも変ですが、僕も、普通は思いつかないと思っています。

なので、もう少し思いつけるんじゃないかという別解も書いておきます。

「すべて $1$ であることを示す」というのは、少し扱いにくいんですね。しかし、「すべて $0$ であることを示す」なら、少し扱いやすくなります。

つまり、 $X=x-1$, $Y=y-1$, $Z=z-1$ とおいて、 $X,Y,Z$ がすべて $0$ であることを示す、という方針で考えてみましょう。

こうすると、元の条件はどうなるでしょうか。 $x=X+1$, $y=Y+1$, $z=Z+1$ と変形できることから、まず次の条件式が得られます。
\begin{eqnarray}
x+y+z &=& 3 \\[5pt]
(X+1)+(Y+1)+(Z+1) &=& 3 \\[5pt]
X+Y+Z &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}そして、もう1つの条件から、次が得られます。
\begin{eqnarray}
xy+yz+zx &=& 3 \\[5pt]
(X+1)(Y+1)& &\\
+(Y+1)(Z+1)& &\\
+(Z+1)(X+1) &=& 3 \\[5pt]
XY+X+Y+1 & & \\
+YZ+Y+Z+1 & & \\
+ZX+Z+X+1 &=& 3 \\[5pt]
XY+YZ+ZX &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}なお、途中で、 $X+Y+Z=0$ を使っています。

さて、2つ目の条件式から $XY+Z(X+Y)=0$ となります。また、1つ目の条件から $X+Y=-Z$ なので\[ XY=Z^2 \]が得られます。同様に、 $YZ=X^2$ と $ZX=Y^2$ も得られます。これらを2つ目の条件に入れると\[ X^2+Y^2+Z^2=0 \]が得られるため、 $X,Y,Z$ がすべて $0$ であることがわかります。よって、 $x,y,z$ がすべて $1$ であることがわかります。

この式変形なら、まだ思いつきそうです。「すべて $0$ であることを示す」ために、新しい文字 $X, Y, Z$ を使いましたが、こうした手法はよく使います。なので、この示し方なら、頑張れば思いつけるレベルだと思います。

おわりに

ここでは、すべての変数がある値になることを示す問題を考えました。2乗してゼロなら、2乗しなくてもゼロ、という性質を使って、条件を式で表現する方法を見ました。知らないと思いつくのが難しい発想なので、これを機会に覚えておきましょう。

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対象者: 数学II
分野: 式と証明
トピック: 等式と不等式の証明
レベル: 応用
キーワード: 式の計算
更新日:2017/05/22