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【標準】円のベクトル方程式

ここでは、円のベクトル方程式について見ていきます。直径が与えられた場合を考えていきます。

📘 目次

直径が与えられた場合の円のベクトル方程式

中心と半径が与えられた状況で円を考えることが多いですが、直径が与えられている場合もあります。ここでは、直径が与えられている場合に、円のベクトル方程式がどのように書けるかを見ていきましょう。

異なる2点 $\mathrm{ A }(\vec{a})$, $\mathrm{ B }(\vec{b})$ があったとします。このとき、線分 AB を直径とする円を考えます。

点 $\mathrm{ P }(\vec{p})$ がこの円周上にあるとしましょう。 PA, B と異なる場合は、 AP, BP をつなぐと、 AB が直径なので、 $\angle \mathrm{ APB }$ はつねに直角になります。ベクトルの世界では、直角と言えば「内積が $0$ 」ですね。これを式で書くと
\begin{eqnarray} \overrightarrow{ \mathrm{ AP } }\cdot\overrightarrow{ \mathrm{ BP } } &=& 0 \\[5pt] (\vec{p}-\vec{a})\cdot(\vec{p}-\vec{b}) &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。逆にこれを満たしている場合は、 $\angle \mathrm{ APB }=90^{\circ}$ なので、 P はこの円周上にあります。

また、 PA, B に一致する場合も、もちろん上の式を満たします。よって、上の式が、この円のベクトル方程式となります。

円のベクトル方程式
異なる2点 $\mathrm{ A }(\vec{a})$, $\mathrm{ B }(\vec{b})$ に対し、線分 AB を直径とする円のベクトル方程式は次で表すことができる。\[(\vec{p}-\vec{a})\cdot(\vec{p}-\vec{b}) = 0\]

もう1つの円のベクトル方程式との対応

さて、円のベクトル方程式は別の機会にも扱っていました。【基本】円のベクトル方程式です。ここでは、円の中心の位置ベクトルと半径から、ベクトル方程式を考えました。

上で見た内容を、この考え方でベクトル方程式を作ってみましょう。まず、中心の位置ベクトルですが、これは線分 AB の中点の位置ベクトルなので\[ \frac{\vec{a}+\vec{b} }{2} \]となります。また、半径は直径の半分なので\[ \frac{|\vec{a}-\vec{b}|}{2} \]となります。これらから、この円のベクトル方程式は\[
\left| \vec{p}-\frac{\vec{a}+\vec{b} }{2} \right| = \frac{|\vec{a}-\vec{b}|}{2} \]となることがわかります。

この2つのベクトル方程式は、同じ円に対するものなので、同じはずです。このことを確かめてみましょう。

後者の式の両辺は正なので、両辺を2乗し、計算していきます。
\begin{eqnarray} \left| \vec{p}-\frac{\vec{a}+\vec{b} }{2} \right|^2 &=& \frac{|\vec{a}-\vec{b}|^2}{4} \\[5pt] |\vec{p}|^2-\vec{p}\cdot(\vec{a}+\vec{b})+\left| \frac{\vec{a}+\vec{b} }{2} \right|^2 &=& \frac{|\vec{a}-\vec{b}|^2}{4} \\[5pt] |\vec{p}|^2-\vec{p}\cdot(\vec{a}+\vec{b})+\frac{|\vec{a}|^2+2\vec{a}\cdot\vec{b}+|\vec{b}|^2}{4} &=& \frac{|\vec{a}|^2-2\vec{a}\cdot\vec{b}+|\vec{b}|^2}{4} \\[5pt] |\vec{p}|^2-\vec{p}\cdot(\vec{a}+\vec{b})+\vec{a}\cdot\vec{b} &=& 0 \\[5pt] (\vec{p}-\vec{a})\cdot(\vec{p}-\vec{b}) &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}こうして、前者と一致することがわかりました。

見た目はかなり違いますが、きちんと一致することがわかりましたね。

おわりに

ここでは、直径から円のベクトル方程式を求める方法を見てきました。また、中心と半径から導かれる式と一致することも見ました。前者の式は覚えていないと思いつきにくい上、使えるケースが限られていますが、計算が簡単になることが多いです。どちらも同じ内容ですが、両方使えるようになっておくといいでしょう。

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