【標準】二次曲線の標準化(平行移動によるもの)
ここでは、二次曲線の標準化を行う方法について見ていきます。平行移動による標準化のみを扱います。
二次曲線の標準化(平行移動によるもの)
【標準】二次曲線の平行移動で見た通り、二次曲線を x 軸方向に p、 y 軸方向に q だけ平行移動すると、もとの式で $x,y$ を $x-p,y-q$ に置き換えた式になることを見ました。
これを逆に使えば、いろいろな二次曲線に対して、どのように平行移動すれば、中心が原点となるような二次曲線になるかがわかる、とも言えます。具体例で見てみましょう。
$x,y$ の次数がともに2なので、二次曲線じゃないか、と予想できます。ただ、 $x,y$ の項が邪魔ですね。【基本】円の方程式(一般形)と似たように、平方完成をすることを考えましょう。次のように変形していきます。
\begin{eqnarray} 9x^2-36x+4y^2+8y+4 &=& 0 \\[5pt] 9(x-2)^2-36+4(y+1)^2-4+4 &=& 0 \\[5pt] 9(x-2)^2+4(y+1)^2 &=& 36 \\[5pt] \end{eqnarray}このことから、【標準】二次曲線の平行移動で見た内容を逆に用いれば、この図形は、 $9x^2+4y^2=36$ を x 軸方向に $2$、 y 軸方向に $-1$ だけ平行移動したものだ、ということがわかります。平行移動前の図形は \begin{eqnarray} \frac{x^2}{4}+\frac{y^2}{9}=1 \end{eqnarray}と書けるので、楕円ですね。なので、楕円 $\dfrac{x^2}{4}+\dfrac{y^2}{9}=1$ を x 軸方向に $2$、 y 軸方向に $-1$ だけ平行移動したもの、というのが答えになります。このように、 $x,y$ の項が消えるように平方完成をすれば、\[ ax^2+by^2+cx+dy+e=0 \]がどのような曲線をあらわしているかがわかります。基準として使うのは、次の式です。
- $y^2=4px$
- $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$
- $\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$
上から、放物線、楕円、双曲線の式ですね。これらの形を標準形といいます。 $x,y$ を入れ替えたものも、標準形といいます。平行移動などを利用して標準化の形に変形することを、標準化といいます。
$ax^2+by^2+cx+dy+e=0$ が二次曲線を表す場合(つまり、点とか直線ではない場合)、 $a,b\ne 0$ のときは、 $x,y$ を平方完成することで、 $ax^2+by^2+f=0$ を平行移動したもの、と変形することができます。 $a,b$ が同符号なら楕円、異符号なら双曲線になります。また、 $a,b$ のどちらか一方のみが $0$ の場合は、放物線になります。
もし、 $xy$ の項があると、平行移動だけで標準化をすることはできません。この場合は、回転移動も必要になってくるのですが、このケースは別の機会に見ることにします。
おわりに
ここでは、平行移動を使って二次曲線の標準化を行う方法を見ました。「二次曲線の標準化を行いなさい」という問題はほとんど出ませんが、問題文中に二次曲線の式が与えられて、それに関する問題が出題される、というケースはあります。与えられている二次曲線がどのような曲線なのか把握するためには、標準化ができる必要があります。