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【標準】確率変数の標準化

ここでは、確率変数でよく行う、標準化という変換について見ていきます。

📘 目次

例題

【基本】確率変数の変換では、確率変数に定数を足したり掛けたりして、別の確率変数に変換することを見ました。その中でも、次のような変換をよく行います。

例題
確率変数 $X$ の期待値を $m$ 、標準偏差を $\sigma$ とする( $\sigma \gt 0$ )。
$Z=\dfrac{X-m}{\sigma}$ とするとき、 $Z$ の期待値、分散、標準偏差を求めなさい。

まずは、期待値から求めます。
\begin{eqnarray} E(Z) &=& E\left( \frac{X-m}{\sigma} \right) \\[5pt] &=& \frac{1}{\sigma}\cdot E(X-m) \\[5pt] &=& \frac{1}{\sigma}\cdot (E(X)-m) \\[5pt] &=& \frac{1}{\sigma}\cdot (m-m) \\[5pt] &=& 0 \end{eqnarray}となります。 $m$ と $\sigma$ は定数である(試行の結果によって変わるものではない)ので、1行目から2行目のように $\sigma$ を $E$ の前に出してもいいですし、 2行目から3行目のように $-m$ を外に出してもかまいません。最後は、 $m-m$ が出てくるので、計算結果は $0$ となります。

次に分散を求めましょう。 $Z$ の期待値は $0$ なので、 $Z^2$ の期待値を考えればいいですね。
\begin{eqnarray} V(Z) &=& E(Z^2) \\[5pt] &=& E\left(\frac{(X-m)^2}{\sigma^2}\right) \\[5pt] &=& \frac{1}{\sigma^2} E((X-m)^2) \\[5pt] \end{eqnarray}ここで、 $E((X-m)^2)$ とは、 $X$ の分散そのものです。なので、 $\sigma^2$ のことだから、\[ V(Z)=1 \]となります。これより、標準偏差 $\sigma(Z)$ も $1$ だとわかります。

確率変数の標準化

先ほどの例題では、確率変数 $X$ は($\sigma\ne 0$ なら)なんでもよく、期待値を引いて標準偏差で割れば、必ず、「期待値が $0$ で、分散・標準偏差が $1$ の確率変数」を作ることができます。このような変換を、確率変数の標準化(standardization) と呼びます。

確率変数の標準化
期待値が $m$ で、標準偏差が $\sigma$ の確率変数 $X$ に対し、 $Z=\dfrac{X-m}{\sigma}$ と変換することを、確率変数の標準化 という。

このように変換すると、その後の計算がしやすくなったり、分布の比較がしやすくなったりするので、確率の世界ではよく行われます。この単元では、この後に出てくる標準正規分布のところでよく目にすることになります。

おわりに

ここでは、確率変数の変換の1つである、標準化について見てきました。確率変数を使った計算ではよく行います。

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