【標準】式の値(次数下げを用いて計算)
式の値を計算するときに、「次数下げ」という手法を使うと、計算が楽になる場合があります。ここでは、この「次数下げ」のテクニックについて解説します。
例題
直接計算することもできますが、4乗の計算は少し手間がかかります。しかし、条件式を工夫して変形すれば、計算量がかなり減ります。
そもそも、なぜ計算が大変かというと、ルートがあるからですよね。これがなければだいぶ楽になります。ルートをなくすためには2乗すればいいのですが、そのまま2乗してもうまくいきません。しかし、次のように変形して2乗してみると、うまい具合にルートがなくなります。
\begin{eqnarray}
x&=&1+\sqrt{2} \\
x-1&=&\sqrt{2} \\
x^2-2x+1&=&2 \\
x^2 &=& 2x+1 \\
\end{eqnarray}このことを利用すると、$x^4$ は次のように変形できます。
\begin{eqnarray}
x^4
&=&
(x^2)^2 \\
&=&
(2x+1)^2 \\
&=&
4x^2+4x+1 \\
&=&
4(2x+1) +4x+1 \\
&=&
12x+5 \\
\end{eqnarray}$x^2 = 2x+1$ の式を前半と後半で2回使っています。ここまで変形してから、代入すればいいんですね。計算結果は次のようになります。
\begin{eqnarray}
12x+5
&=&
12(1+\sqrt{2})+5 \\
&=&
17+12\sqrt{2} \\
\end{eqnarray}これが答えです。かなり楽になりましたね。
条件式の右辺をルートだけにして2乗することにより、$x^2 = 2x+1$ という式が得られました。この式を使えば、2乗の部分は1次式に置き換えることができます。代入先の式の次数が高くても、この「次数を下げる式」を繰り返し使えば、最終的には1次式にすることができます。直接代入するよりも計算が楽になるので、この方法は覚えておきましょう。