【標準】順列と確率
ここでは、順列を使って確率を求める問題を考えます。
特定の並び方になる確率その1
確率は、「その事象が起こる場合の数を、全体の場合の数で割る」ことで求められるんでしたね。また、このように求めるには、それぞれの根元事象が同様に確からしい、という条件が必要なのでした。【基本】同様に確からしいで見た内容ですね。
今の場合、すべての場合の数というのは、5人の並べ方の総数なので、 $5!$ 通り、となります。また、くじ引きで順番を決めるため、どの場合も同様に確からしいと考えられます。
なので、「A と B が両端にいる確率」を求めるには、こうなる場合の数を求めればいいですね。【標準】条件のついた並べ方(部分的に固定)で見た、制約の強いところから考える方針で求めてみます。
A については、先頭の場合と、最後尾の場合の2通りあります。また、A の場所を決めると、B の場所は自動的に決まります。あとは、制約のない3人を並べればいいですね。よって、場合の数は $2\times 3!$ 通り、となります。
以上から、求める確率は\[ \frac{2\times 3!}{5!}=\frac{2}{5\times 4}=\frac{1}{10} \]となります。
特定の並び方になる確率その2
このケースでも、すべての場合の数は、5人の並べ方の総数であり、 $5!$ 通りです。また、どの場合も同様に確からしいです。
なので、「A と B が隣り合う確率」を求めるには、こうなる場合の数がわかればいいですね。【標準】条件のついた並べ方(隣り合う場合)で見た、隣り合う人たちをセットにして考える方法を使ってみましょう。
「2人, C, D, E」を1列に並べます。次に、「2人」の所を、「A・B」か、「B・A」にする、と考えます。こうすると、モレなくダブりなく数えることができます。前半は $4!$ 通り、後半は $2!$ 通りなので、これを掛けたものが、A と B が隣り合う場合の数となります。
以上から、求める確率は\[ \frac{4!\times 2!}{5!}=\frac{2}{5} \]となります。
特定の並び方になる確率その3
最後に、例題1と例題2を一般化した問題を考えてみます。並べるものの数が n になっていて考えにくいですが、考え方は同じです。なお、難しければ、ここは飛ばしてもかまいません。
(1) 両端が $A_1$, $A_2$ となる確率を求めなさい。
(2) $A_1$ と $A_2$ が隣り合う確率を求めなさい。
n 人を並べるので、並べ方の総数は、 $n!$ 通りです。どの場合も、同様に確からしいです。
(1)は、$A_1$ が、先頭か最後尾かで2通りあり、 $A_2$ は $A_1$ 以外の場所、残りの $(n-2)$ 人は制約なく並ぶので、こうなる場合の数は、 $2\times(n-2)!$ となります。上の例題1と見比べてみると、同じ考え方ですね。
よって、(1)の確率は\[ \frac{2\times(n-2)!}{n!}=\frac{2}{n(n-1)} \]となります。分母の $n!$ は $1$ から $n$ までの積で、分子にある $(n-2)!$ は $1$ から $n-2$ までの積なので、約分することができて、分母に $n(n-1)$ だけが残るんですね。 $n=5$ とすると、例題1の答えと一致していますね。
(2)は、 $A_1,A_2$ の2人をセットにして、 $(n-1)$ 人を並べると考え、その後でセットの中で2人を並べる、と考えます。こう考えると、場合の数は $(n-1)! \times 2!$ 通りだとわかります。例題2と同じ考え方です。
これから、(2)の確率は\[ \frac{(n-1)!\times 2!}{n!}=\frac{2}{n} \]となります。 $n=5$ とすると、例題2の答えと一致しています。
n 人になったとたんに難しくなったと感じるかもしれませんが、具体的な数字で考え、それを一般化する方針で考えれば、取り組みやすくなるはずです。
おわりに
ここでは、順列を使った確率を求める問題を考えました。場合の数が求められないと、確率も求められません。つまづいたら、さかのぼって場合の数の復習もするようにしましょう。