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【標準】順列

ここでは、【基本】順列で見た内容を振り返ったあとで、順列の総数と階乗に関する関係を見ていきます。

📘 目次

「順列」の復習

例題
A, B, C, D, E の5人が次のように並ぶ場合、並び方は何通りあるか。
(1) 5人のうち3人だけが1列に並ぶ場合(残り2人は並ばない)
(2) 5人全員が1列に並ぶ場合

【基本】順列で見た記号で書くと、(1)は ${}_5 \mathrm{ P }_3$ で表すことができます。値を計算すると\[ {}_5 \mathrm{ P }_3 = 5\times 4 \times 3=60 \]通りとなります。1番目が5通り、2番目が1番目を除いた4通り、3番目が3通りとなるので、このような掛け算で求めることができるんでしたね。

(2)は ${}_5 \mathrm{ P }_5$ と書くこともできるし、 $5!$ と書くこともできます。どちらも、 $1$ から $5$ までの整数をすべて掛け合わせたものですね。計算すると\[ {}_5 \mathrm{ P }_5 =5\times 4\times 3\times 2\times1=120 \]通りとなります。

順列の総数と階乗の関係

n 個の異なるものから r 個をとって1列に並べる方法の総数は、 ${}_n \mathrm{ P }_r$ と書くんでしたね。そして、 n 個すべてを並べる場合は、総数が $n!$ となるのでした。この ${}_n \mathrm{ P }_r$ と $n!$ についての関係を見ていきましょう。

$r\lt n$ のとき、 ${}_n \mathrm{ P }_r$ は次のように書けます。
\begin{eqnarray} {}_n \mathrm{ P }_r &=& n(n-1)\cdots(n-r+1) \end{eqnarray}これは、【基本】順列でも見ましたが、1番目が n 通り、2番目が $n-1$ 通りあり、以下、同様に考えていって、最後に r 番目が $n-r+1$ 通りになることからわかります。

この値は、 $n-r+1$ から $n$ までの整数をすべて掛けたものです。一方、 $n!$ は $1$ から $n$ までの整数をすべて掛けたものです。この関連性を利用すれば、「 $1$ から $n$ までの積」と「 $1$ から $n-r$ までの積」を使って、上の式に等しくなるように変形できます。上の式に続けて書くと、こうなります。
\begin{eqnarray} {}_n \mathrm{ P }_r &=& n(n-1)\cdots(n-r+1) \\[5pt] &=& \frac{n(n-1)\cdots(n-r+1)(n-r)\cdots 3\cdot 2 \cdot 1}{(n-r)\cdots 3\cdot 2 \cdot 1} \\[5pt] &=& \frac{n!}{(n-r)!} \\[5pt] \end{eqnarray}最後の式は階乗だけの式です。 ${}_n \mathrm{ P }_r$ と階乗にはこのような関係があるんですね。

ここで、 $r=n$ としてみましょう。上の式の ${}_n \mathrm{ P }_r$ は ${}_n \mathrm{ P }_n$ となり、 $n!$ と一致します。ということは、このときも上の式が成り立つとすると $0!=1$ となる必要があります。「 $0$ 個のものすべてを並べる方法」というのは意味が分かりませんが、上の関係式が成り立つように、 $0!=1$ と定めることにします。

また、 $r=0$ としてみましょう。上にある最後の式は $1$ になります。このときも上の式が成り立つとすると ${}_n \mathrm{ P }_0=1$ とならなければいけません。「 n 個のものから $0$ 個を取り出して並べる」というのも意味が分かりませんが、上の関係式が成り立つように、 ${}_n \mathrm{ P }_0=1$ と定めることにします。

まとめると、このようになります。

${}_n \mathrm{ P }_r$ と階乗の関係
$0\leqq r \leqq n$ のとき、次が成り立つ。\[ {}_n \mathrm{ P }_r = \frac{n!}{(n-r)!} \]

この関係式の右辺が何を表しているかを、樹形図で考えてみましょう。分子の $n!$ は、 n 個のものを並べる方法の総数を表しています。これを分母の $(n-r)!$ で割ることで、樹形図の右側にある $n-r$ 個の並び替えを同一視しているんですね。その結果、樹形図の左側の「 r 個のものを並べる方法」の総数が計算できることになります。

上の例題の(1)を例に考えると、5人を並べると
 A, B, C, D, E
 A, B, C, E, D
といった並びが出てきます。この4番目と5番目の並び方を同一視すれば、3番目までの並び方を考えることになる、ということです。ダブらせて数えた後で、そのダブりを後から割っていることになります。

おわりに

ここでは、順列の総数と階乗の関係を見ました。後半の部分はよくわからないかもしれませんが、「ダブらせて数えた後で、ダブりを解消するために割る」ということは、今後も登場します。徐々に慣れていくようにしましょう。

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