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【標準】平行四辺形とベクトルの演算

ここでは、平行四辺形を使って、いろいろなベクトルの演算について見ていきます。

📘 目次

平行四辺形の辺とベクトルの演算

平行四辺形 ABCD と対角線の交点 O について考えます。

このとき、 $\overrightarrow{ \mathrm{ OA } }=\vec{a}$, $\overrightarrow{ \mathrm{ OB } }=\vec{b}$ として、他のベクトルを $\vec{a}$, $\vec{b}$ で表してみましょう。

まず、 $\overrightarrow{ \mathrm{ OC } }$ は、 $\overrightarrow{ \mathrm{ OA } }$ と同じ大きさで向きが逆ですね。なので、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ OC } }=-\overrightarrow{ \mathrm{ OA } }=-\vec{a} \]となります。【基本】ベクトルの引き算で見た、逆ベクトルですね。

同様に考えて\[ \overrightarrow{ \mathrm{ OD } }=-\vec{b} \]となります。

次に、 $\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }$ について考えましょう。 $\vec{a}$, $\vec{b}$ を使うので、基準を O にしたほうがわかりやすいですね。そのため、間に O が来るように、次のように分けます。
\begin{eqnarray} \overrightarrow{ \mathrm{ AB } } &=& \overrightarrow{ \mathrm{ AO } }+\overrightarrow{ \mathrm{ OB } } \end{eqnarray}右辺から左辺への変形はよくやります(参考:【基本】ベクトルの足し算)が、左辺から右辺への変形ももちろん成り立ちます。

こうすると、前半は、 $\overrightarrow{ \mathrm{ OA } }$ の逆ベクトルなので $-\vec{a}$ となります。後半は $\vec{b}$ だから、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ AB } }=\vec{b}-\vec{a} \]となります。

また、 $\overrightarrow{ \mathrm{ CD } }$ は、 $\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }$ と同じ大きさで向きが逆なので、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ CD } } = \vec{a}-\vec{b} \]となります。

$\overrightarrow{ \mathrm{ BC } }$ は、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ BO } }+\overrightarrow{ \mathrm{ OC } } \]と考えれば、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ BC } }=-\vec{a}-\vec{b} \]となります。 $\overrightarrow{ \mathrm{ DA } }$ はこの逆ベクトルなので、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ DA } }=\vec{a}+\vec{b} \]と書けます。

同じベクトルや逆ベクトルを使って、いろんなベクトルを表現できますね。

平行四辺形の辺の中点とベクトル

さて、さらに各辺に中点を追加して考えてみましょう。

ここで、 $\overrightarrow{ \mathrm{ OP } }$ について考えてみましょう。これは、間に無理やり A を入れて分ければ考えやすくなるでしょう。 PAB の中点であることから、 $\overrightarrow{ \mathrm{ AB } }$ の半分を足せばいいことを考えると
\begin{eqnarray} \overrightarrow{ \mathrm{ OP } } &=& \overrightarrow{ \mathrm{ OA } }+\overrightarrow{ \mathrm{ AP } } \\[5pt] &=& \vec{a}+\frac{1}{2}\overrightarrow{ \mathrm{ AB } } \\[5pt] &=& \vec{a}+\frac{1}{2}\left(\vec{b}-\vec{a}\right) \\[5pt] &=& \frac{\vec{a}+\vec{b} }{2} \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかります。同じように、間に頂点を入れて分けて考えると \begin{eqnarray} \overrightarrow{ \mathrm{ OQ } } &=& \frac{-\vec{a}+\vec{b} }{2} \\[5pt] \overrightarrow{ \mathrm{ OR } } &=& \frac{-\vec{a}-\vec{b} }{2} \\[5pt] \overrightarrow{ \mathrm{ OS } } &=& \frac{\vec{a}-\vec{b} }{2} \\[5pt] \end{eqnarray}と表すことができます。

さらに、このことから
\begin{eqnarray} \overrightarrow{ \mathrm{ PQ } } &=& \overrightarrow{ \mathrm{ PO } }+\overrightarrow{ \mathrm{ OQ } } \\[5pt] &=& -\frac{\vec{a}+\vec{b} }{2}+\frac{-\vec{a}+\vec{b} }{2} \\[5pt] &=& -\vec{a} \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかります。これは、 OAPQ が等しくて平行であることを意味しているので、四角形 OAPQ が平行四辺形だとわかります。

また、同様に計算すると
\begin{eqnarray} \overrightarrow{ \mathrm{ SR } } &=& \overrightarrow{ \mathrm{ SO } }+\overrightarrow{ \mathrm{ OR } } \\[5pt] &=& -\frac{\vec{a}-\vec{b} }{2}+\frac{-\vec{a}-\vec{b} }{2} \\[5pt] &=& -\vec{a} \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかります。これは、 SRPQ が等しくて平行であることを意味しているので、四角形 PQRS が平行四辺形だとわかります。

ベクトルで計算するだけで、線分が平行であることや線分の長さが等しいことがわかるんですね。

なお、 $\overrightarrow{ \mathrm{ OP } }=\dfrac{\vec{a}+\vec{b} }{2}$ であることは、次の図から直感的に理解することもできます。

OA, OB を使って平行四辺形 $\mathrm{ OAP'B }$ を作れば、 OP は $\mathrm{ OP' }$ の中点になります。また、 $\overrightarrow{ \mathrm{ OP' } }=\vec{a}+\vec{b}$ も成り立ちます。これらからわかりますね。

ベクトルを使って図形的な性質がわかることもあるし、逆に、図形的な性質を使ってベクトルの性質が理解できることもあります

おわりに

ここでは、平行四辺形を使って、ベクトルの演算を見てきました。1つのベクトルから、しりとりができるように間に点を入れて分けて計算することはよくあるので、覚えておきましょう。

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