【標準】条件のついた並べ方(部分的に固定)
ここでは、特定のものの位置が指定された状態で、あるものを一列に並べる方法が何通りあるかを考えていきます。例えば、5人を一列に並べるときに、ある人が真ん中に来る場合や、ある人が端に並ぶ場合が何通りあるか、を求める問題を見ていきます。
一部を指定した並べ方
(1) A が真ん中に並ぶ
(2) A が端に並ぶ
【標準】整数はいくつできるかでも見ましたが、基本的に、制限の強いところから考えるようにします。(1)であれば、3番目に A が来ないといけないので、ここから考えます。1通りですね。3番目以外は制限の強さは同じなので、順番に考えると、1番目に誰が並ぶかが4通り、2番目が3通り、4番目が2通り、5番目が1通りとなるため、\[ 1\times 4\times 3\times 2\times 1 = 24 \]通りとなります。
また、「〇番目が〇通り」ではなく「この人の並び方は〇通り」という考え方もあります。 A は3番目にいるしかないので1通り、B は3番目以外の4か所に並んでいいので4通り、C は空いてる3か所の選択肢があるので3通り、D は2通り、E は1通り、よって\[ 1\times 4\times 3\times 2\times 1 = 24 \]通りと考えることもできます。同じ式ですが、背景にある考え方は違います。
「制限の強いところから考える」が基本ですが、これとはまったく逆の「最後に条件を考える」という発想で、この問題を解くこともできます。つまり、A 以外の4人を並べてから、最後に A を真ん中に並べる、という考え方です。\[ {}_4 \mathrm{ P }_4 \times 1 = 24 \]通り、となります。
どう考えるかによって、いろいろ数え方がありますね。
端に並ぶ場合
(1) A が真ん中に並ぶ
(2) A が端に並ぶ
(2)も同じように考えてみましょう。まずは、「〇番目が〇通り」という考え方で数えてみましょう。A のいる場所が 1番目のパターンと5番目のパターンがあるので、場合分けをします。1番目が A の場合は、2番目、3番目、4番目、5番目の選び方は、それぞれ4通り、3通り、2通り、1通りとなります。5番目が A の場合は、1番目、2番目、3番目、4番目の選び方が、それぞれ4通り、3通り、2通り、1通りとなります。あわせると\[ 4\times 3\times 2\times 1 +4\times 3\times 2\times 1 = 48 \]通りとなります。
次に、「この人の並び方は〇通り」という考えで数えてみましょう。A は1番目か5番目の2通りが考えられます。以下、B、C、D、E の並び方が、それぞれ4通り、3通り、2通り、1通りとなります。よって\[ 2\times 4\times 3\times 2\times 1 = 48 \]通りとなります。
「最後に条件を考える」という数え方では、まず4人を並べ、最後に A を1番目か5番目に並べる、となるので、\[ {}_4 \mathrm{ P }_4 \times 2 = 48 \]通りと求められます。
もちろんどれも答えは同じになりますが、考え方・数え方の違いが、式に反映されていますね。
なお、(2)に関連して、「A が端に並ばない場合」が何通りあるかも求めておきましょう。全体から「A が端に並ぶ場合」を引けばいいので\[ {}_5 \mathrm{ P }_5 -48=72 \]通りと求められます。また、「この人の並び方は〇通り」という考え方で数えると、A は2番目・3番目・4番目の3通り、以下、B、C、D、Eの並び方が、それぞれ4通り、3通り、2通り、1通りなので\[ 3\times 4\times 3\times 2\times 1 = 72 \]通りと求めることもできます。どちらの出し方も、理解しておきましょう。
おわりに
ここでは、特定のものの位置が指定されている状態で、一列に並べる方法が何通りあるかを考えました。
樹形図をかくときは、普通は、1番目が何で、2番目が何で…という順番で書き出すことが多いですが、ここで見たように、1つ目のものは何番目に並ぶか、2つ目のものは何番目に並ぶか…という順番で書き出すという考え方もあります。順番を固定してものを書き出していくパターンと、ものを固定して順番を書き出していくパターンですね。こういう考え方も理解しておくと役立ちます。
また、条件のことをいったん忘れて、最後に条件を満たすようにつじつまを合わせる、という数え方も見ました。これがうまくいくケースは少ないですが、こうした考え方が必要となる問題もあります。出てくるたびにマスターするようにしましょう。