【標準】対数の計算
ここでは、対数の性質や底の変換公式を使って、対数に関する計算をしていきます。
対数の計算1
ここでまず注目する点は、底がすべて $2$ である、という点です。そのため、【基本】対数の性質(積や累乗の対数)で見た内容を使って、底が同じものをまとめるか、分解して計算していきます。
ここでは、同じものをまとめていく方向で考えていきましょう。3つ目の項について、累乗の対数の性質\[ \log_a M^p=p\log_a M \]を使うと
\begin{eqnarray}
-\dfrac{3}{2}\log_2 \sqrt[3]{3}
&=&
\log_2 (\sqrt[3]{3})^{-\frac{3}{2} } \\[5pt]
&=&
\log_2 (3^\frac{1}{3})^{-\frac{3}{2} } \\[5pt]
&=&
\log_2 3^{-\frac{1}{2} } \\[5pt]
&=&
\log_2 \frac{1}{\sqrt{3} } \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立ちます。累乗の対数の性質は、1行目の変形の部分で、 $p=-\dfrac{3}{2}$ として、逆向きに使っています。
これで、定数倍の部分がなくなりました。続いて、積の対数の性質\[ \log_a MN=\log_a M+\log_a N \]を使って、3つの項を1つにまとめましょう。
\begin{eqnarray}
& &
\log_2\sqrt{150} +\log_2\dfrac{1}{5}-\dfrac{3}{2}\log_2 \sqrt[3]{3} \\[5pt]
&=&
\log_2 5\sqrt{6} +\log_2\dfrac{1}{5}+\log_2 \frac{1}{\sqrt{3} } \\[5pt]
&=&
\log_2 \left(5\sqrt{6} \cdot \dfrac{1}{5} \cdot \frac{1}{\sqrt{3} }\right) \\[5pt]
&=&
\log_2 \sqrt{2} \\[5pt]
&=&
\frac{1}{2}
\end{eqnarray}このように計算できます。2行目から3行目への変形で、積の対数の性質を、逆向きに用いています。
まとめるのではなく、分解することもできます。例えば\[ \log_2 \sqrt{150}=\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2}\log_2 3 +\log_2 5 \]というように分解できます。各項をこのように分解してから計算することもできます。ただ、分解の仕方は1通りではないため、今の場合は、底をそろえてまとめていくほうが計算しやすいと思います。
対数の計算2
今度は底がバラバラです。こういう場合は、【基本】底の変換公式で見た、底の変換公式を使い、底を合わせてから計算するほうがいいでしょう。
底は何でもいいですが、 $2$ に合わせてみましょう。底の変換公式は\[ \log_a b=\dfrac{\log_c b}{\log_c a} \]という内容でしたね。これを使って、2つ目、3つ目、4つ目の対数を変形して計算していきます。
\begin{eqnarray}
& &
(\log_2 3+\log_4 9)(\log_9 2-\log_3 4) \\[5pt]
&=&
\left(\log_2 3+\frac{\log_2 9}{\log_2 4}\right) \left(\frac{\log_2 2}{\log_2 9}-\frac{\log_2 4}{\log_2 3}\right) \\[5pt]
&=&
\left(\log_2 3+\frac{\log_2 3^2}{2}\right) \left(\frac{1}{\log_2 3^2}-\frac{2}{\log_2 3}\right) \\[5pt]
&=&
\left(\log_2 3+\log_2 3\right) \left(\frac{1}{2\log_2 3}-\frac{2}{\log_2 3}\right) \\[5pt]
&=&
(2\log_2 3)\times \left(-\frac{3}{2\log_2 3}\right) \\[5pt]
&=&
-3
\end{eqnarray}となります。
おわりに
ここでは、積の対数や累乗の対数、底の変換公式を用いた、対数の計算について見てきました。基本的には、底をそろえて、各項をくっつけていけば計算しやすくなります。指数の計算も出てくるので、不安な人は復習しておきましょう(参考:【標準】指数の計算)。