【標準】あるベクトルに垂直なベクトル(内積利用)

ここでは、内積を使って、あるベクトルに垂直なベクトルを求めてみます。

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※ お知らせ:大阪医科大学2020年度第4問に関する動画を公開しました。

あるベクトルに垂直な単位ベクトル

例題
$\vec{a}=(1,2)$ と垂直な単位ベクトルを求めなさい。

単位ベクトルとは、大きさが $1$ のベクトルのことです(参考:【基本】ベクトルの成分)。大きさが決まり、「垂直」という条件から向きが決まるので、ベクトルが定まる、ということですね。

求めるベクトルの成分を $(x,y)$ としましょう。大きさについての条件から\[ x^2+y^2=1 \]が得られます。

また、これと $\vec{a}$ とが垂直なので、内積が $0$ です(参考:【基本】ベクトルの内積となす角#ベクトルの垂直)。よって
\begin{eqnarray}
(1,2)\cdot(x,y) &=& 0 \\[5pt] x+2y &=& 0 \\[5pt] x &=& -2y \\[5pt] \end{eqnarray}が得られます。

この2つの条件から
\begin{eqnarray}
(-2y)^2+y^2 &=& 1 \\[5pt] y^2 &=& \frac{1}{5} \\[5pt] y &=& \pm\frac{\sqrt{5}}{5} \\[5pt] \end{eqnarray}が得られます。 $x=-2y$ なので、求める単位ベクトルは\[ \left(-\frac{2\sqrt{5}}{5},\frac{\sqrt{5}}{5}\right), \ \left(\frac{2\sqrt{5}}{5},-\frac{\sqrt{5}}{5}\right) \]となります。2つとも答えです。

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日常学習と入試対策への必須問題を漏れなく収録。章トビラに、その章で扱う例題とコラムの一覧を掲載。本文は、定理や公式など、問題を解く上で基本となるものをまとめた「基本事項」、教科書で扱われているレベルの問題が中心の「基本例題」、入試対策に向けた、応用力の定着に適した問題がそろった「重要例題」などで構成。各単元末には、例題に関連する問題を取り上げた「EXERCISES」を収録。他の単元の内容が絡んだ問題や、応用度がかなり高い問題を題材とする例題は、「関連発展問題」として適宜章末などに収録。巻末には、基本~標準レベルの入試問題を中心に取り上げた「総合演習」、大学入学共通テストの対策ができる「実践編」を収録。
著者:チャート研究所
出版社:数研出版
発売日:2019-11-01
ページ数: ページ
値段:¥2,365
(2020年09月 時点の情報です)

あるベクトルに垂直なベクトル

ここでは、少し一般的な場合について考えてみましょう。

$\vec{0}$ ではない2つのベクトル $\vec{a}=(a_1,a_2)$, $\vec{b}=(b_1,b_2)$ が垂直であったとします。このとき、 $\vec{b}$ の成分について、どのようなことが言えるのかを考えてみましょう。

垂直だから、内積は $0$ になります。\[ (a_1,a_2)\cdot(b_1,b_2)=0 \]となるので\[ a_1b_1=-a_2b_2 \]が成り立ちます。もし、 $a_1\ne 0$ なら、 $b_1=-\dfrac{a_2}{a_1}b_2$ となるので、\[ \vec{b}=\left( -\frac{a_2}{a_1}b_2, b_2 \right) \]と書くことができます。 $b_2\ne 0$ なので、両方の成分に $-\dfrac{a_1}{b_2}$ を掛けると、 $\vec{b}$ は、 $(a_2, -a_1)$ の定数倍であることがわかります。つまり、 $\vec{a}=(a_1,a_2)$ と垂直なベクトルと言った時点で、 $(a_2, -a_1)$ の定数倍だとおくことができる、ということです。

このことは、 $a_1=0$ の場合でも成り立ちます。 $a_1=0$ なら、 $\vec{a}$ は $y$ 軸に平行なので、これに垂直なベクトルは $x$ 軸に平行なベクトルです。たしかに、 $(a_2,0)$ の定数倍になっています。

逆に、 $(a_1,a_2)$ と $k(a_2,-a_1)$ との内積は $0$ であることはすぐにわかるので、以上のことをまとめると次のことが言えます。

あるベクトルに垂直なベクトル
$\vec{0}$ でない2つのベクトル $\vec{a}=(a_1,a_2)$ と $\vec{b}=(b_1,b_2)$ が垂直であることは、次を同時に満たす定数 $k(\ne 0)$ が存在することと同値である。\[ b_1=ka_2, \ b_2=-ka_1 \]

成分を入れ替えて、片方の符号を反対にして、定数倍すれば、垂直なベクトルが得られる、というわけなんですね。向きが決まるので、あとは定数倍の部分だけを考えればよくなります。

これを踏まえて上の例題を考えてみましょう。

$(1,2)$ と垂直なベクトルは、 $k(2,-1)$ と書けます。この大きさが $1$ となるときの k を求めると
\begin{eqnarray}
k^2\{ 2^2+(-1)^2 \} &=& 1 \\[5pt] k^2 &=& \frac{1}{5} \\[5pt] k &=& \pm\frac{\sqrt{5}}{5} \\[5pt] \end{eqnarray}が得られます。このことから、\[ \left(-\frac{2\sqrt{5}}{5},\frac{\sqrt{5}}{5}\right), \ \left(\frac{2\sqrt{5}}{5},-\frac{\sqrt{5}}{5}\right) \]と求めることもできます。

ベクトルの成分を使うと、平行なベクトルも垂直なベクトルも簡単に求めることができます(参考:【標準】ベクトルの成分と平行)。

おわりに

ここでは、内積を使って、あるベクトルに垂直なベクトルを求めました。成分を入れ替えて、片方の符号を変えて、定数倍、で垂直なベクトルが得られることも見ました。この背景で、内積を用いていることをおさえておきましょう。