【標準】ベクトルの内積となす角
ここでは、ベクトルの内積を用いて、なす角からベクトルを求める問題を見ていきます。
ベクトルの内積となす角
「ベクトルを求めなさい」と言われたら、成分を答えることになります。なので、 $\vec{a}=(p,q)$ などとおいて、満たすべき条件を成分で表現していきましょう。
まず、大きさが $\sqrt{5}$ であることから\[ p^2+q^2=5 \]という条件が成り立ちます(参考:【基本】ベクトルの成分と演算#ベクトルの大きさ)。
また、なす角が $45^{\circ}$ であることから、内積が求められますね(参考:【基本】ベクトルの内積)。
\begin{eqnarray}
\vec{a}\cdot\vec{b}
&=&
|\vec{a}||\vec{b}|\cos45^{\circ} \\[5pt]
&=&
\sqrt{5}\sqrt{3^2+1^2}\times\frac{1}{\sqrt{2} } \\[5pt]
&=&
5 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。また、内積は成分を用いて表すこともできるので、
\begin{eqnarray}
\vec{a}\cdot\vec{b}
&=&
(p,q)\cdot(3,1) \\[5pt]
&=&
3p+q \\[5pt]
\end{eqnarray}となります(参考:【基本】ベクトルの内積と成分)。よって、この2つの式から\[ q=-3p+5 \]が得られます。これを1つ目の条件式に代入すると
\begin{eqnarray}
p^2+q^2 &=& 5 \\[5pt]
p^2+(-3p+5)^2 &=& 5 \\[5pt]
p^2+9p^2-30p+25 &=& 5 \\[5pt]
p^2-3p+2 &=& 0 \\[5pt]
(p-1)(p-2) &=& 0 \\[5pt]
p &=& 1,2 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。 $q=-3p+5$ に代入すると、求めるベクトルは、\[ \vec{a}=(1,2),(2,-1) \]となることがわかります。これが答えです。
ちなみに、この問題は、【基本】ベクトルの内積となす角で考えた問題を逆に考えています。
リンク先では、2つのベクトルからなす角を求めており、ここでは、ベクトルとなす角からもう1つのベクトルを求めています。図を見てもわかる通り、時計回りに $45^{\circ}$ の場合と反時計回りに $45^{\circ}$ の場合とがあるので、答えは2つ出てくるんですね。
また、これは問題とは直接関係ありませんが、上の図を見ると、2つの答えは、垂直であることがわかりますね。これは、成分で計算すると、\[ (1,2)\cdot(2,-1) = 2-2 = 0 \]となることからも確かめることができます。
成分による計算では計算量に差は出ませんが、 $|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta$ の値は、垂直なら絶対値の部分を計算しなくても $0$ だとわかるので、計算量がかなり減りますね。垂直と内積が $0$ であることは同値、というのは、これからよく使うので覚えておきましょう(参考:【基本】ベクトルの内積となす角#ベクトルの垂直)。
おわりに
ここでは、ベクトルのなす角からベクトルを求める問題を見てきました。内積を、角度を使った表現と成分での表現とで表し、比較することによって求めることができました。「内積」という言葉が問題文に出てこなくても、思いつけるようにしましょう。