【標準】期待値
ここでは、期待値を使ってどちらの選択が得かを考える問題を見ていきます。なお、期待値は、2022年度からの新課程で追加された内容です。
期待値を使った例題
A. さいころを投げて、出た目の数だけ 100円硬貨がもらえる。
B. コイン6枚を同時に投げて、表が出た枚数だけ 100円硬貨がもらえる。
期待値は、【基本】期待値で見たように、とる値とそれが起こる確率を掛けて足し合わせれば答えが出るのでした。Aの期待値は、リンク先の例題と同じ要領で計算できます。
\begin{eqnarray}
&&
100\times\frac{1}{6} +200\times\frac{1}{6}+ 300\times\frac{1}{6} \\[5pt]
&&
\quad +400\times\frac{1}{6} +500\times\frac{1}{6}+600\times\frac{1}{6} \\[5pt]
&=&
\frac{2100}{6} = 350
\end{eqnarray}なので、350円です。
Bの場合は、表が $n$ 枚出る確率は $\dfrac{ {}_6\mathrm{C}_n}{2^6}$ なので、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
&&
0\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_0}{2^6} +
100\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_1}{2^6} +200\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_2}{2^6}+ 300\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_3}{2^6} \\[5pt]
&&
\quad +400\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_4}{2^6} +500\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_5}{2^6}+600\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_6}{2^6} \\[5pt]
&=&
\frac{100\times(0\cdot1 +1\cdot 6 +2\cdot 15 +3\cdot 20+4\cdot 15 +5\cdot 6 +6\cdot 1)}{2^6} \\[5pt]
&=&
\frac{100(0 +6 +30 +60+60 +30 +6)}{64} \\[5pt]
&=& \frac{19200}{64} = 300
\end{eqnarray}なので、300円です。最終的に足し合わせるので、約分は途中ではなく最後にまとめてやった方がいいです。
以上の計算から、Aの期待値が350円で、Bの期待値が300円なので、Aの方が期待値が大きいことがわかります。
ところで、Bの期待値はなかなか大変そうな式でしたね。ただ、この結果はイメージで考えると自然なことに感じられるはずです。コインは 1/2 の確率で表になるのだから、6枚投げれば半分の3枚が表になると期待できます。なので、 $3\times 100=300$ になると考えられます。実際、計算結果もあっていますね。
この計算は、イメージとあっているだけでなく、実は数学的にも正しいのですが、これは数学Bで学ぶことになります。
おわりに
ここでは、期待値を使った例題を見ました。期待値を計算すれば、複数の選択の中でどれが有利かを考えるときに役立てることができます。