【標準】円形に並べる(円順列)
ここでは、円形に並べる方法について考えます。「回転して同じになるものをどう扱うか」が問題となります。
円形に並べる
一列に並ぶ場合は ${}_5 \mathrm{ P }_5=120$ 通りですが、円形だとこれがどう変わるのでしょうか。何が違ってくるのでしょう。
例えば、「A-B-C-D-E」の順に一列に並んでいる状態から、時計回りに、A と E が隣に来るように並びなおしたとしましょう。
A / \ E B | | D --- C
少々図が不格好ですが、円形に並んでいると考えてください。今、A と E が隣に来るように並べましたが、別のつなぎ方でも同じ結果になりますよね。例えば、「B-C-D-E-A」と並んでいる状態で、B と A をくっつけると、次のようになります。
B / \ A C | | E --- D
1つ目の円形の並び方と2つ目の円形の並び方。この2つは違うように見えますが、グルグルと回転させれば同じです。数学の問題では、「円形に並ぶ」といった場合、「クルクルと回転させて同じ並びになるものは、同一視する(区別しない)」という前提で考えます
そうすると、今のように一列に並んでから円形に並びなおした場合、「違うように見えて実は同じ並び方」が含まれていることになります。これらを除外しないといけません。1つ目と2つ目を見て想像できるかもしれませんが、次の5つは、円形に並んだときに同じものになってしまいます。
- 「A-B-C-D-E」と一列に並んでいる状態から、A と E が隣り合うように、時計回りに並ぶ
- 「B-C-D-E-A」と一列に並んでいる状態から、B と A が隣り合うように、時計回りに並ぶ
- 「C-D-E-A-B」と一列に並んでいる状態から、C と B が隣り合うように、時計回りに並ぶ
- 「D-E-A-B-C」と一列に並んでいる状態から、D と C が隣り合うように、時計回りに並ぶ
- 「E-A-B-C-D」と一列に並んでいる状態から、E と D が隣り合うように、時計回りに並ぶ
他の並び方についても同様で、5つの並び方から同じ円形の並び方が1つできるので、「5人を一列に並べる方法」の総数を5で割ったものが、答えになります。つまり、\[ {}_5 \mathrm{ P }_5 \div 5 = 24 \]通りが答えになります。
実は、 n 個の異なるものを円形に並べるときの総数も、同じ考え方で求めることができます。 上と同じように、 n 個の異なるものを一列に並べてから、円形に並べることを考えましょう。
このとき、先頭のいくつかをまとめて後ろに並べなおしてから円形に並べても、同じ円形の並び方が出来上がります。上の5人を並べる場合を見てみてください。先頭の数人を後ろに並べなおしたものから、同じ並び方ができていましたよね。
後ろに移動させる方法は、 $0$ 個移動から $(n-1)$ 個移動までありえるので、「一列に並べてから、円形に並べる」という考え方では、それぞれ同じ円形の並び方を n 回数えることになります。よって\[ {}_n \mathrm{ P }_n \div n = (n-1)! \]通り、となります。
このように、円形に並べる配列を、円順列(cyclic permutation)といいます。ここまでのことをまとめます。
円の一か所を固定して考える
上では、円順列を考えるときに、一列に並べてから円形に並べなおす、という考え方をしました。ここでは、少し違う考え方をしてみましょう。
円形に並べる場合には、クルクルと回転させて同じになるものを同一視しなければいけません。このめんどくささは、「クルクルと回転できる」ところにあります。なので、逆の発想で、「回転できないようにする」という考え方をしてみましょう。
どう並ぶにせよ、A はどこかに並びます。この A を基準に考えます。A から、時計回りに見て、1番目・2番目・3番目・4番目を並べていけば、「同じ円形の並び方」が登場することはありません。誰か一人を基準にしてから並べるんですね。
この発想だと、基準以外の4人を並べることになり、 ${}_4 \mathrm{ P }_4=24$ 通りと求められます。 n 人であれば、基準の一人以外の $(n-1)$ 人を並べればいいので $(n-1)!$ 通りです。
このように、「自由に動けるものを、どこか固定してから考える」という発想も、場合の数では使います(場合の数以外でも使うことがあります)。
おわりに
ここでは、円形に並ぶ方法の総数を求める問題を考えました。異なる n 個を円形に並べる方法は $(n-1)!$ 通りであり、結果だけを見るととてもシンプルです。しかし、結果を覚えるだけでなく、なぜこれで求められるのかまで、しっかり理解しておきましょう。