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【標準】繁分数式(分母・分子に分数式)

ここでは、分母や分子に分数式がある、という式について見ていきます。繁分数式と言われるものです。見た目がごつい式ですが、簡単な形に変形するやり方を見ていきます。

📘 目次

繁分数式の計算その1

次のような式を考えてみましょう。\[ \frac{ 1-\frac{1}{x} }{ 1+\frac{1}{x} } \]なかなかごつい式ですね。このように、分母や分子に分数式があらわれるような式を、繁分数式 (complex rational expression) と言います。あまり登場頻度は高くありませんが、この式に対処する方法を見ていきましょう。

まずこの見た目がすごいので、なんとか普段見慣れている形にしたい、という方向で考えていきましょう。そもそも、分数というのは、分子を分母で割ったものです。そのため、次のように変形することができます。
\begin{eqnarray} \frac{ 1-\frac{1}{x} }{ 1+\frac{1}{x} } &=& \left(1-\frac{1}{x}\right) \div \left(1+\frac{1}{x}\right) \end{eqnarray}こうすると、分母・分子にあった分数がなくなります。見た目のごつさがなくなり、計算しやすくなります。以下、計算していくと \begin{eqnarray} & & \left(1-\frac{1}{x}\right) \div \left(1+\frac{1}{x}\right) \\[5pt] &=& \frac{x-1}{x} \div \frac{x+1}{x} \\[5pt] &=& \frac{x-1}{x} \times \frac{x}{x+1} \\[5pt] &=& \frac{x-1}{x+1} \end{eqnarray}となります。

分母・分子に分数式がある場合は、「分母÷分子」の形にして、分母・分子を切り離して考える、という方法を使うことができます。

繁分数式の計算その2

繁分数式の計算は、もう1つ方法があります。それは、「分母・分子に同じ数を掛けても、値は変わらない」ということを利用する方法です。

先ほどの式をもう一度考えてみましょう。\[ \frac{ 1-\frac{1}{x} }{ 1+\frac{1}{x} } \]分母・分子にある $\dfrac{1}{x}$ がやっかいです。これが消えてくれればうれしいですね。この分数が消えるためには、分母・分子に $x$ を掛ければいいです。つまり、こういう計算をする、ということです。
\begin{eqnarray} \frac{ 1-\frac{1}{x} }{ 1+\frac{1}{x} } &=& \frac{ 1-\frac{1}{x} }{ 1+\frac{1}{x} } \times \frac{x}{x} \end{eqnarray}こうすると、分母にある分数式も、分子にある分数式も、消えてなくなります。計算をしていきましょう。 \begin{eqnarray} & & \frac{ 1-\frac{1}{x} }{ 1+\frac{1}{x} } \times \frac{x}{x} \\[5pt] &=& \frac{ \left(1-\frac{1}{x}\right) \times x }{ \left(1+\frac{1}{x}\right) \times x } \\[5pt] &=& \frac{ x-1 }{ x+1 } \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

分母・分子にある分数式が、同じ分母を持っている場合は、この方法を使った方が楽になります。

繁分数式の計算例

最後に、もう少し複雑な繁分数式の計算例を見てみましょう。\[ \frac{ \frac{1}{x}-\frac{2}{x+1} }{ \frac{2}{x}+\frac{1}{x+1} } \]という式を簡単にしてみましょう。

上で紹介した1つ目の方法で考えることもできますが、ここでは2つ目の方法を使ってみます。分母・分子にある分数式が消えるためには、何を掛ければいいでしょうか。 $x$ を掛ければ1つ目の分数式が消え、 $x+1$ を掛ければ2つ目の分数式が消えることから、この2つを両方掛ければいいことがわかります。そのため、計算は次のようになります。
\begin{eqnarray} & & \frac{ \frac{1}{x}-\frac{2}{x+1} }{ \frac{2}{x}+\frac{1}{x+1} } \\[5pt] &=& \frac{ \left(\frac{1}{x}-\frac{2}{x+1}\right)\times x(x+1) }{ \left(\frac{2}{x}+\frac{1}{x+1}\right)\times x(x+1) } \\[5pt] &=& \frac{ (x+1)-2x }{ 2(x+1)+x } \\[5pt] &=& \frac{ -x+1 }{ 3x+2 } \\[5pt] \end{eqnarray}これが答えです。

おわりに

ここでは、繁分数式の計算を見てきました。分母・分子に分数式がある、という式でしたね。

2つの計算方法を紹介しましたが、どちらも「分母・分子にある分数式を消して、見た目をシンプルにしたい」という方針で計算していきます。見た目のごつさに惑わされないようにしましょう。

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