【標準】分数式の足し算・引き算
ここでは、分数式の足し算・引き算について見ていきます。【基本】分数式の足し算・引き算で見た内容を踏まえて、少し工夫をすると計算が楽になるケースを見ていきます。
分数式の足し算・引き算の復習
次の計算をしてみましょう。\[ \frac{x^2+x+2}{x+1} -\frac{x^2-x+2}{x-1} \]
分数式の足し算や引き算は、分母が同じになるように通分してから、分子を足し引きすればいいんでしたね(参考:【基本】分数式の足し算・引き算)。そのため、次のように計算することができます。
\begin{eqnarray}
& &
\frac{x^2+x+2}{x+1} -\frac{x^2-x+2}{x-1} \\[5pt]
&=&
\frac{(x^2+x+2)(x-1)}{(x+1)(x-1)} -\frac{(x^2-x+2)(x+1)}{(x+1)(x-1)} \\[5pt]
&=&
\frac{x^3+x-2}{(x+1)(x-1)} -\frac{x^3+x+2}{(x+1)(x-1)} \\[5pt]
&=&
\frac{x^3+x-2-x^3-x-2}{(x+1)(x-1)} \\[5pt]
&=&
-\frac{4}{(x+1)(x-1)} \\[5pt]
\end{eqnarray}これが普通の解き方です。
帯分数化して計算する
もちろん、上のように計算してもいいのですが、もう少し計算を簡単にする方法があります。上の計算では、次のような式変形が出てきました。
\begin{eqnarray}
\frac{x^2+x+2}{x+1}
&=&
\frac{(x^2+x+2)(x-1)}{(x+1)(x-1)}
\end{eqnarray}分子の計算が、少し面倒ですね。項の数が多いため、計算が煩雑になります。
そこで、分子を簡略化する方法を使えば、計算が楽になります。【基本】分数式の帯分数化で見たように、分子を分母で割って、分子の次数が分母の次数より小さくなるように変形しましょう。そうすれば
\[ \frac{x^2+x+2}{x+1}=x+\frac{2}{x+1} \]\[ \frac{x^2-x+2}{x-1}=x+\frac{2}{x-1} \]となることがわかります(実際に割り算をして計算してみましょう)。
このことから、上の計算は次のようにすることもできます。
\begin{eqnarray}
& &
\frac{x^2+x+2}{x+1} -\frac{x^2-x+2}{x-1} \\[5pt]
&=&
\left(x+\frac{2}{x+1}\right) -\left(x+\frac{2}{x-1}\right) \\[5pt]
&=&
\frac{2}{x+1} -\frac{2}{x-1} \\[5pt]
&=&
\frac{2(x-1)}{(x+1)(x-1)} -\frac{2(x+1)}{(x+1)(x-1)} \\[5pt]
&=&
\frac{2x-2-2x-2}{(x+1)(x-1)} \\[5pt]
&=&
-\frac{4}{(x+1)(x-1)} \\[5pt]
\end{eqnarray}分子の次数を減らしたため、分数式の部分の計算が少し楽になりました。
整式の割り算をする手間は増えますが、場合によっては、上のような「分子の次数を減らして計算する」方法により、分数式の足し算・引き算が楽になるケースがあります。
おわりに
ここでは、工夫をして、分数式の足し算・引き算を行う方法を見ました。帯分数化により、分子の次数を下げることによって、通分をしたときの計算を軽くする、という技です。分子の次数が分母の次数より高い場合、もしくは、同じ場合に、この技が使えないか、試してみましょう。