【発展】無限多重根号
【導入】二重根号についてでは、「ルートの中にルートがある」という二重根号の話をしました。この発想を繰り返していけば、「ルートの中のルートの、そのまた中にルートがある」といった三重根号や、もっと内側にルートがあるケースもあるんじゃないか、と思う人がいるかもしれません。
まー、実際あるんですね。大学入試で出ることはありませんが。「ルートの中のルート」が繰り返されるものを「多重根号」と呼んだりします。もっというと、次のように、無限にルートが続いていくものを考えることもできます。\[ \sqrt{ 2+\sqrt{ 2+\sqrt{ 2+\sqrt{ 2+ \cdots} }} } \]うわー、気持ち悪いですね。しかも、不思議なことに、この値は次のようにして求めることができます。
\[ x = \sqrt{ 2+\sqrt{ 2+\sqrt{ 2+\sqrt{ 2+ \cdots} }} } \]とします。ここで、1つ目のルートの中をよく見てみましょう。「$2+$」の後に続いているのは、右辺全体と同じ形をしていますよね。つまり、この式は次のように変形することができます。\[ x=\sqrt{2+x} \]なんだかかなりシンプルな式になりました。これを両辺二乗して計算していくと、
\begin{eqnarray}
x^2 &=& 2+x \\
x^2 -x -2 &=& 0 \\
(x-2)(x+1) &=& 0 \\
\end{eqnarray}となります。$x$ は正なので、$x=2$ となります。つまり、上に書いたあのごつい式は、$2$ というシンプルな答えになるんですね
本当は、上の値が収束することをチェックする必要がありますが、ここでは省略しています。収束することは、【応用】漸化式と等比数列の極限で示しています。
\[ 2 = \sqrt{ 2+\sqrt{ 2+\sqrt{ 2+\sqrt{ 2+ \cdots} }} } \]不思議な式ですね。