【発展】グラフの平行移動
【標準】放物線の平行移動(変数の置き換え)では、変数の置き換えを使って放物線の平行移動を考えました。この話は、一般の関数に応用することができるので、ここではそれを見ていきます。なお、この話は、数学IIIでもう一度出てくることになります。
グラフの平行移動
関数 $y=f(x)$ のグラフを x 軸方向に p 、 y 軸方向に q だけ動かします。このとき、新しいグラフの方程式がどうなるか考えます。下の図の灰色のグラフが移動前、赤が移動後のグラフを表しています。
移動前の点を $(X,Y)$ とし、移動後の点を $(x,y)$ とします。このときの $x, y$ の関係式を求めればいいんですね。移動前の情報から\[ Y=f(X) \]が成り立ち、移動に関する情報から\[X+p=x, \ Y+q=y\]が成り立ちます。この2つの式から\[ y-q=f(x-p) \]が成り立ちます。これが移動後のグラフの方程式となります。
実際、平行移動した放物線の方程式は、 x を $x-p$ に、y を $y-q$ に置き換えて求められるので、このことと上の事実は整合性がとれていますね。(例えば、 $y=ax^2$ のときは、平行移動後の放物線の方程式は $y-q=a(x-p)^2$ となるんでしたね)
もう一度まとめると、次のようになります。
グラフの対称移動
対称移動についても同様です。移動の前後で点の座標がどうなるかを考え、 $Y=f(X)$ に代入すればおしまいです。【標準】放物線の対称移動の内容と、上の平行移動の場合を見比べれば、結果は予想できると思います。
結果だけ書くと、次のようになります。
- x 軸に関する対称移動: $-y=f(x)$
- y 軸に関する対称移動: $y=f(-x)$
- 原点に関する対称移動: $-y=f(-x)$
おわりに
抽象的な話でしたが、放物線のときにやったことと見比べながら読めば理解できるでしょう。今出てきている関数は、一次関数と二次関数しかないのでありがたみがわかりませんが、もっと多くの種類の関数を学ぶようになると、「変数を置き換えるだけでいい」メリットがわかるようになるでしょう。