【導入】領域
ここでは、「領域」がどういうものかを見ていきます。
今まで、直線や曲線と方程式との対応を考えていきました。例えば、 $x^2+y^2=1$ という方程式は、座標平面上では、円と対応しているのでしたね。
ここでいう「円」とは、円周のことです。内側の点は含まれていません。
ただ、状況によっては、円の内側のことを言いたい場合もあります。内側の面積の話がしたいとか、ある点が円の内側を自由に動く場合を考えたい、などですね。言ってみれば、道路ではなく土地の話がしたい、という感じですかね。
今までは、線の部分についてしか考えていませんでしたが、このような「内側」にある点全体は、どのように表せばいいでしょうか。
今の場合であれば、原点からの距離に着目するのがよさそうですね。円の内側(円周は除く)の点であれば、原点からの距離は半径より短くなります。
よって、内側の点の座標を $(x,y)$ とすると、\[ x^2+y^2 \lt 1 \]が成り立ちます。円の内側の点は、すべてこの不等式を満たします。
一方、円の外側の点は、原点からの距離が半径より大きいので、\[ x^2+y^2 \gt 1 \]が成り立つことがわかります。
今までは、 $x^2+y^2=1$ という方程式と円(円周)を対応させていましたが、不等式 $x^2+y^2 \lt 1$ が円の内側全体、 $x^2+y^2 \gt 1$ が円の外側全体と対応していることがわかります。このように、ある不等式を満たす点の集まりを「領域」といいます。
今まで等式で考えていたものに対して、「等号」を「不等号」に変えて考えていく、というのが、「領域」の分野で学ぶ内容になります。
「領域」について学ぶと、今まで見てきた「方程式」は、世界を2つに切ったときの境目のように考えることもできます。新しい視点で、モノを見ることができるようになります。