🏠 Home / 数学A / 場合の数と確率 / 順列

【応用】条件のついた並べ方(隣り合わない場合)

【標準】条件のついた並べ方(隣り合う場合)では、隣り合う並べ方を数えましたが、ここでは「隣り合わない並べ方」を数えましょう。「全体から引く」という出し方でも数えられますが、人数が増えたときには難しくなります。

📘 目次

2つが隣り合わない場合

例題1
A, B, C, D, E の5人全員が一列に並ぶとき、A と B が隣り合わない並び方は何通りあるか。

2人だけであれば、「全体から隣り合う場合を引く」ことで求められます。5人全員の並び方は $5!$ 通りです。

また、A と B が隣り合う並び方は、この2人をセットにして、「2人、C、D、E」の"4人"を並び替えた後、2人の並べ方を考えればよく、 $4! \times 2!$ 通りとなります。

以上から\[ 5!-4!\times 2! = 120-48=72 \]通りと求められます。

2つ・2人が隣り合わない場合はこれでもいいのですが、3つ以上だとこの数え方ではうまくいきません。

3つが隣り合わない場合その1

例題2
A, B, C, D, E の5人全員が一列に並ぶとき、A と B と C が互いに隣り合わない並び方は何通りあるか。

「互いに隣り合わない」とは、「A・B」「B・C」「C・A」のどのペアで考えても隣り合うことがない、ということです。

上の例題1と同じように「全体から隣り合う場合を引く」方法は難しいです。というのも、「A・B が隣り合って C は離れている」「A・B・Cの3人がこの順に並んでいる」など、隣り合うケースがたくさんあるからです。

今の場合はよく考えると、直接数えたほうが早いことがわかります。「A と B と C が互いに隣り合わない」場合、1番目・3番目・5番目が、A・B・C のどれかになり、2番目・4番目が D・E のどれかになる、という並び方しかありません。

〇△〇△〇

列を上のように分けます。この〇に A・B・C の3人を並べ、そのそれぞれに対して、△に D・E の2人を並べる、と考えればいいですね。その結果、\[ 3! \times 2! =6\times 2 =12 \]通り、と求められます。

このように「〇△〇△〇」と特定できるのは、(条件のある)3人の間が2か所だからであり、また、(条件のない)2人の前後・間が3か所だから、です。そのため、このやり方が通用するのは、限定された場面だけです。次の例題では困ってしまいます。

3つが隣り合わない場合その2

例題3
A, B, C, D, E, F, G の7人全員が一列に並ぶとき、A・B・C が互いに隣り合わない並び方は何通りあるか。

先ほどと同じように、条件が付いている3人を〇、条件が付いていない4人を△とした場合、次のような並び方があります。

1. 〇△〇△〇△△
2. △〇△〇△△〇
3. △〇△△〇△〇

まだたくさんありますが、〇が隣り合わない場合というのはいろいろありそうです。先ほどと同じように、列を〇と△に分けてから並べるのは難しそうです。1番目が〇の場合、2番目が〇の場合、…と分けていくのは、場合分けが多すぎます。また、例題1の「全体から引く」方法も難しいでしょう。

実は、【標準】条件のついた並べ方(部分的に固定)で使った「条件を最後に考える」という数え方を、この問題で使うことができます。「条件の付いていない人を並べ、その後で条件のついた人を、隣り合わないように並べる」という方法です。

どういうことかというと、まず、条件の付いていない4人を並べます。

 △△△△

この並べ方は $4!$ 通りですね。この状態から、〇を追加で並べるとしたら、入る箇所は次の5か所の×のどこかになります。

 ×△×△×△×△×

△の前後と間ですね。

まず3人のうち A を並べるとしたら、5つの×からどれかを選ぶことになります。そして、次に B を並べます。先ほどと同じ×を選ぶと隣り合ってしまうため、残りの4つの×から1つ選ぶことになります。最後の C は、同様に考えると、残り3つの×から1つを選ぶことになります。つまり、 ${}_5 \mathrm{ P }_3$ 通りです。

こうして並べたものには、モレがありません。どんな並び方でも、まず〇の人たちを除いた△の並びは上の数え方の中に必ず出てきますし、その後で〇を並べたときに、上で数える方法以外で隣り合わないケースはありません。

また、ダブりもありません。上の数え方で、△の並びと〇の並べ方がダブることはありません。

よって、\[ 4! \times {}_5 \mathrm{ P }_3 = 24 \times 60 = 1440 \]通りとなります。

まとめると、「条件のついていない人をまず並べてから、その前後・間に隣り合わない人たちを順番に並べる」という数え方になります。

この考え方で例題1を解きなおすと、まず3人を並べて、前後・間の4か所に2人を並べるので\[ 3! \times {}_4 \mathrm{ P }_2 = 6\times 12=72 \]通りとなり、元の解き方と一致します。また、例題2は、2人を並べて、前後・間の3か所に3人を並べるので\[ 2! \times 3! = 2\times 6 =12 \]通りとなり、元の解き方とやはり一致します。

おわりに

ここでは、「隣り合わない並べ方」を数える方法を見ました。まず、条件の付いていない人並べ、その前後・間に条件の付いた人を並べることで、強制的に隣り合わないようにして数えました。

難易度の高い問題では、数え方も難しくなってきます。そうすると、正しく数えられているのかどうかがわかりにくくなります。樹形図で書くとどうなるか、モレやダブりはないか、過去に学んだことは活かせないかなどを考えながら、理解していきましょう。

関連するページ

YouTubeもやってます

チャンネル登録はコチラから (以下は、動画のサンプルです)
【むずかしい】防衛医科大学校2024年度数学第5問 藤田医科大学2024年度後期数学第1問8 岡山大学2024年度数学文理共通第1問 埼玉大学文系2024年度数学第3問 順天堂大学医学部2024年度数学第3問 東北大学2024年度後期数学文理共通第4問